住宅事件簿

・インデックス
業界による
   チェック思想の違い


■断熱・気密の施工不良
空気は好きに流れまっせ
コンセントから隙間風
 

■通気層が塞がれ内部結露
A邸の場合 (外壁通気)
B邸の場合(勾配天井)

■心の隙間に入るトラブル
帰趨本能と巣作り本能

いいお客さんに恵まれて
『善意』が生むトラブル

■事件いろいろ
『傾き』事件
「建て替えろ!」は、
危険な言葉

ウソのようなホントの話
モラルなど無い
後付け太陽光発電工事
悪質リフォーム詐欺−1
悪質リフォーム詐欺−2
悪質リフォーム詐欺−3

シーリング劣化と雨漏
未熟化する配管工
誤解 床のたわみ

■間違いだらけの
     耐震リフォーム
正しい施工と事例1.2
事例3と、起こる理由


■断熱、結露のトラブル
間抜けな断熱工事
経験に勝るもの無し
小屋裏換気の実力
冬の過乾燥に要注意

■土地の事件簿
こんな土地まで売るか
ブロック土留めに
        建つ家

急傾斜地に建つ家
よう壁にまたがる家

■意外と多い漏水事故
給湯管から漏水
設備工事の不備
コンクリートの誤解

■欠陥工事の定番
耐震金物の不備
内部耐力壁の不備

■ログハウス
ネバー・ギブアップ!
俺たちは、無責任さ!

■揺れる〜建物
建物が揺れる〜3
3階建てが割れる〜2
3階建てが揺れる〜1
浦島太郎−事件

■基礎編
基礎に雪がかぶった2
本当のべた基礎事件
基礎に雪がかぶった


 

 

 

 このお話はちょっと特異な換気システムを使ったためと、建物の気密性が高すぎたことで起こったトラブルです。
 Aさんから、「コンセントから隙間風を感じる」というご相談をいただきました。場所は兵庫県の普通の住宅地です。

■ A邸:極めて特殊な換気システム

 普通、24時間換気は下の左の図のように壁で吸気を取り、外壁又は天井に換気扇をつけて換気するのが一般的です。
 ところがAさん邸は、右の図のように床下に全熱交換型の24時間換気扇を設置して、床面に換気用のガラリを設けて、自然に室内間の空気を循環させるという非常に特殊な換気システムを取っています。
(床面の換気ガラリは、右の写真のようなもの)

 私もこのようなシステムは初めて見ました。
 どういうメリットがあってこんなシステムを考え出したのか良くわかりませんが、世の中にはチャレンジャーというべきか、なんと言うべきか、変わった事を考案する人もいるものです。
 地方の大きくはない工務店なので、自社で考えたと言うよりも、どこかのシステムを入れたのでしょうね。「パッシブハウスだ・・」とか何とか言って・・。

 それはさておき、調べてみると、確かにコンセントやスイッチから風を感じます。
 
 

■ いろいろ調査をして見ると

 まずは調査の方法として、上の図にある床に設けた吸気口がキチンと機能しているかどうかを調べてみました。排気する側の機械としては、床下に設けた全熱交換型24時間換気とキッチンにあるレンジファンです。浴室、トイレの換気扇は局所的で時間も限定的なので対象から外します。

1.どちらも一切稼働しないと床面ガラリから吸気はありません。
2.どちらかを稼働すると吸気が始まります。空気が動いています。
3.両方を稼働させていくと、風量は増加します。レンジフードの運転を「強・中・弱」に切り替えると、それに応じて吸気量も変わっていきました。

 同時に、床下にある全熱交換器(24時間換気)の外部の吸気口の風速を計ると同様の結果になりました。(24時間換気を回したり、レンジフードを回すと給気される)

 このことから吸排気は機能していることがわかました。
 そして、24時間換気を止めてレンジフードだけを運転させても給気していましたから、この吸気口は閉鎖されておらず、どこかで排気されると同量が給気される仕組みでした。

■給気された空気はよそに流れていた

 換気システムが機能しているのに、コンセントの隙間風を感じる。
 そのために外部からの吸気量と室内の吸気量を調べてみると、外部から入っている空気の量を500m3/hすると、床面ガラリからは200m3/h前後しか空気が流れておらず、外部から入っているはずの空気がどこかに消えていたのです。

 結局原因は・・・。
 この建物は外壁、屋根ともに発泡ウレタンで断熱されています。発泡ウレタンはもともと高い気密性があります。
 そのために、外壁から入った吸気は、自然に任せて流れようとします。
 しかし、排気は機械なので強制的に排出しようとします。
 そのため、外部の吸気口から入った空気は、下図のように好き勝手に動き、隙間があれば壁のなかに入り、そしてコンセントから隙間風として流れていたのです
 特に電盤廻りなどは、配線のために壁に大きな穴が開いていますが、そういう穴から壁のなかに空気が入りこみ、あるいはユニットバスと壁の隙間から壁の中に入りこんだ空気が、コンセントを出口として出て行っていたのです。
 言い換えると、外部の吸気口から入った空気の6割は壁のなかに入り込み、コンセントやスイッチを経由してレンジフードや24時間下記の排気として排気されていたのです。
 それが、コンセントから隙間風を感じる原因だったのです。
 

 近年の住宅は発泡ウレタンという気密性の高い断熱材を使わなくても相当に気密性が高くなりました。
 以前の事件簿でも書きましたが、断熱性能が高くなるほど気密性も高くなり、同時に断熱や気密を原因とするトラブルが増えるんですね!

 
そして、空気を自然の流れにまかす〜なんてことも不可能なことですね!
 空気は好きに流れまっせ!
 あんたの思い通りになんか流れてくれません!

 パッシブハウスなんて高尚な理屈はあるんですが、そんなに建築家が思うほど計画通りに流れているのでしょうかねぇ?


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