住宅事件簿

・インデックス
業界による
   チェック思想の違い


■心の隙間に入るトラブル
帰趨本能と巣作り本能

いいお客さんに恵まれて
『善意』が生むトラブル

■事件いろいろ
『傾き』事件
「建て替えろ!」は、
危険な言葉

ウソのようなホントの話
モラルなど無い
後付け太陽光発電工事
悪質リフォーム詐欺−1
悪質リフォーム詐欺−2
悪質リフォーム詐欺−3

シーリング劣化と雨漏
未熟化する配管工
誤解 床のたわみ

■間違いだらけの
     耐震リフォーム
正しい施工と事例1.2
事例3と、起こる理由


■断熱、結露のトラブル
間抜けな断熱工事
経験に勝るもの無し
小屋裏換気の実力
冬の過乾燥に要注意

■土地の事件簿
こんな土地まで売るか
ブロック土留めに
        建つ家

急傾斜地に建つ家
よう壁にまたがる家

■意外と多い漏水事故
給湯管から漏水
設備工事の不備
コンクリートの誤解

■欠陥工事の定番
耐震金物の不備
内部耐力壁の不備

■ログハウス
ネバー・ギブアップ!
俺たちは、無責任さ!

■揺れる〜建物
建物が揺れる〜3
3階建てが割れる〜2
3階建てが揺れる〜1
浦島太郎−事件

■基礎編
基礎に雪がかぶった2
本当のべた基礎事件
基礎に雪がかぶった


 

 

 

 少し前、太陽光発電の設置をしている会社から電話をいただきました。
「御社では、第三者的に判断や評価をしていただけますか」
「はい」
「弊社が太陽光発電を設置した家で、屋根瓦が破損していたのですが、それを直して欲しいといわれています。しかし、それは弊社が太陽光発電を設置したときのものではないので、そのことを相手に説明して欲しいのです」
「以前に他の工務店にも見てもらったのですが、これは最初からずれていましたね、と言われました」
「ついては、現状の写真をお送りします」

 といって届いた写真を見ると、確かに太陽光発電を設置している場所ではなく、全く違う場所の瓦がずれていたのです。どうも、最初から瓦を釘で止めていなかったり、接着剤で端材を留めていなかったためにずれていたようなのです。

 

 で、電話をかけてきた会社に聞きました。
「ところで、この状態は、太陽光発電を設置する前に確認されたのですか」
「はい。職人は知っていたようです」
「それをそのときに家の方に説明しなかったのですか」
「いいえ。説明していないようです」
「だったら、疑われても仕方ないじゃないですか」

 

 と、ここまではごくごく普通の会話だったのですが、ここから様子が一転します。
 驚くべき事実が明かされます。
 少し長いですから、じっくり読んでください。

 

実は、私どもは太陽光発電を設置するのに、屋根屋さんを使っています
その屋根屋は、最初から瓦がずれていたのを知っていながら、そのまま家の人に言わずに太陽光発電の設置を終わり、そのあとしばらくして、その家のポストにずれている瓦の写真とともに、『私は屋根診断士ですが、お宅の瓦がずれています。このままにしておくと雨漏りを起こしますから、直した方が良いですよ−電話番号』といとったチラシを入れていたのです。
それを見た家の方が、最初は家を建てた工務店に直すように求めたのですが、このズレは太陽光発電の設置の時に出来たのだろうから、自分たちは知らないといって、直してもらえなかったために、弊社に直せとせがまれているのです」
だから、弊社には非がないと説明をして欲しいのです

 

 私は、この説明を聞いて開いた口がふさがらないとはこのことだろうと思ってしまいました。
 つまり、私への依頼者は今を話題の、トラブル続出と言われている太陽光発電の設置業者から。 既存の家に太陽光発電を設置すべく、屋根屋を手配した。 確かに、屋根屋なら、屋根の構造を知っているので「適材適所」ですね。

 ここまでは、なるほど、思いました。

 しかし、この屋根屋は、あろう事かそのときずれていた瓦のズレを一言も家の人に言わず、知らん顔をして太陽光発電をつけたんですね。 そして、少しほとぼりが冷めてから、自分は屋根診断士だと言って写真入りのチラシをその家のポストに張り込んだ。 う〜ん。悪徳リフォーム会社顔負けの商売ですねぇ。

 でも、ここまでは、使った屋根屋が「悪」だった・・というだけの話です。
この程度なら、私も驚きません・・・。 なぜ驚いたか、上の説明をよ〜くかみしめればわかると思いますが、 下に続きます。

■モラルのかけらも持ち合わせていない太陽光発電設置業者

 まともな会社であれば、太陽光発電の着工前に屋根を点検し、瓦のズレや割れが無いかをチェックし、何か不都合があればそれを家の人に報告した上で工事に着手します。
 そうでなければ、太陽光発電の工事の為に屋根の上を歩き回るのですから、以前からずれていたものか、太陽光発電の工事中に歩き回る中でずらしたのかがわからなくなり、不具合が生じていれば全て自分のところが直さなければならなくなっても仕方がないからです。
 それを避ける意味で事前チェックは当たり前、常識的なリスク管理なのですが、この会社はそれを怠っていました。

 さらに、
「瓦は最初からずれていたので、弊社には非がないと説明をして欲しいのです」という。 それを聞いてちょっと待ってください、と思ってしまいました。

 事前チェックもせず、下請丸投げで現場を施工させ、後でポスティングまで行うモラルのかけらもない屋根屋を使ったという自らの無責任さをも棚に上げて、つまりは下請の管理という問題すら棚に上げて、自らに非がないという。

 本来ならば、事前チェックをしなかった自らの責任を恥じ、そして、破廉恥にもその家に瓦のズレをたれ込んで、自分の仕事にしようと企んだ厚顔無恥、無責任な屋根屋にその始末をつけさせるべき事柄ですが、それすら出来ない一回限りの下請だったのでしょう。

 トドのつまりは私に、会社が犯した2つのミスの尻ぬぐいをしてくれ・・というような依頼なのです。 あまりのばかばかしさに、躊躇せずお断りをしました。

 以前から、太陽光発電の施工にともなうトラブルが国民生活センターなどの消費相談でも多く見られていました。この会社もホームページを見る限り2000某年発足で、数百人の社員がいるように謳っています。でも、その人数すら疑問ですし、仮にいたとしても所詮は寄せ集めでしょう。モラル教育よりもまずは売上。そんな会社でしょう。

 当初、この話を「モラルの崩壊」というタイトルで書こうと考えていましたが、まてよ。もともとモラルなど無かったんじゃないの・・と思い、冒頭のタイトルとなった次第です。

 モラルなど無い会社に、モラルを求めることが間違いなのです。
 モラル無き元請け。モラル無き下請。
 いえいえ。恥も外聞も持ち合わせていないからこそ、こういう馬鹿げた依頼をしてくるのです。


 ちなみに500万円以下の工事に建設業許可は不要です。
 口から先に生まれたような人ならば、いつでも参入可能。
 そんなアブク銭商法ですが、良かったらどうぞおやんなさい・・・・。
 世の中、ウブな人が多いから、数百人の社員がいると言うだけでも信用あらたかで、きっと儲かります。
 それに屋根の上なんて、誰も見ていないのですから、何をしようとわかりゃあしませんよ。

 ちなみにその屋根屋が取り付けた太陽光発電。台風で飛ばなければ良いんですが・・・。
 でも落っこちりゃ、「いや〜。この地域だけ予想外の強風だったのでしょう」なんて言ってその場を逃れればいいんです。この手の便利な逃げ口上は、いくらでも先人が残してくれていますから、世の中悪いモン勝ちです。ハッハッハ・・。と高笑いが聞こえてきそうな、怖〜いお話で・・し・・た・・。


太陽光発電のトラブルは多発しています。太陽光発電本体の保証も大事ですが、屋根の防水の保証もキチンとしてくれる業者でない限り、危険きわまりない契約になりますよ。
注:いったん屋根の上に太陽光発電が設置されれば、その直下と周囲の雨漏りは建物を建てた業者は免責になってしまいます。


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