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 建物が揺れる・・〜。
 私のような建築の関わる者からすると考えられない話ですが、意外と多いのではないでしょうか。
 私が直接関わって是正工事をした建物だけでも3件。電話相談だけで終わって、その後のどう解決されたのか分かりませんが、これ以外に3件の話がありました。すべて強風が吹くと建物が揺れる・・という説明です。

■事件の経緯と対処

 築数年を経た建物のある方から、雨漏りがあるのと、建物が強風が吹くと揺れるのです。という話が舞い込み、現地に伺いました。

 私の場合はいつもそうですが、問題が発生している建物の図面や構造計算書などの資料を先にもらい、あるいは工事中の写真などを送ってもらって、ある程度「当たり」を付けてから現地に行くことにしています。

 雨漏り自体はその建物を建てた業者に以前直してもらったのですが、再度雨漏りがしたために、一緒に建物が強風時に揺れることも気になっていたから見てもらいたい・・というお話しでした。

 ここでこの方の依頼の方法に気がつかれたでしょうか。
 実は建物が揺れる〜と言ってこられるほとんどの方が、最初から建物が揺れることがおかしいと気づいたのではなく、雨漏りがあった。あるいは1年に数回の強風のたびに建物が揺れるので何かおかしいと感じ始めた・・といった事が発端で、あまりにたびたび強風のたびごとに建物が揺れるのがおかしいことなのだ、と気づくのにしばらく時間がかかると言うことなのです。

■私の推定

 建物が台風以外の1年に数回程度しか無い強い風程度で揺れることはおかしいですから、何か原因があるわけです。(注:超大型台風でない限り、台風で揺れることもおかしいのですが。。)

 さて、現場に行く前に図面を見ると、建築確認の図面には、筋交いが少しだけ書かれており、それ以外に「外壁:構造用合板N50@150」という記載が書かれていました。

 建築基準法では、建物に最低限備えるべき耐力壁の量が決まっていますが、それを計算すると、図示された筋交いだけでは足りません。
 そこで、図中に書かれていた「外壁:構造用合板N50@150」という記載から、この建物が外壁を構造用合板で張り、耐力壁として設計されていることが推測されました。

 そこまで分かるといわゆる建物が揺れる原因の「読み」としては、外壁の構造用合板が法律で定められた所定の方法で張られていないのではないか。言い換えれば、所定の耐力が出ていないから強風時に建物が揺れるのではないかという推測を得ることが出来ます。

 後は、その推測が正しいかどうかを現場で確認するだけです。

注:そもそも現在でも木造2階建ての住宅では、建築確認に耐力壁の配置や量の審査(耐震性の審査)は行われていないため、建築確認の図面だけで耐震性などが分かるまで書かれている図面とそうでない図面があります。→→→詳しくは建築確認は構造審査をしていないをご覧ください。

 

■やっぱり。。。。

 現地を確認してみると、目視出来る範囲で筋交いなどは図面通り入れられていました。
 しかし、構造用合板が法律の規定通り張られているかどうかは、壁の一部を剥がして見ないと分かりません。
 建築主の方の協力の下、部分的に壁を剥がすと、やっぱり。。。。
 下のような違法工事が見つかったのです。

■耐力は半分に低下していた

・違法−1 釘の種類の違い
 法律では、構造用合板につかう釘はN50と言う釘で釘でなければなりませんが、実際に使われていたのはFN50という細釘で、強度はN50という釘の6〜7割程度の強さしかない釘でした。実はこの例(違法施工)は非常に多いのです。(N50の釘の直径は2.75mm、FN50などは、2.15mm)

・違法−2 縦列のみの釘打ち
 法律では、構造用合板の外周部、つまり4周のすべてに150mm間隔で打つ必要があるのですが、打たれていませんでした。これだけで、所定の強さの6割程度に落ちてしまいます。(右図の×印のAの状態)
 

・違法−3 合板継ぎ手の受け材無し
 次ぎに合板を階と階の間で途中で継ぐ場合には、受け材が必要なのですが、これも入っていませんでした。(右図の×印のBの状態・・受け材を入れて水平方向に釘を150mm間隔で打ちます)

 つまり、本来、法律で定められた施工方法で施工された耐力壁に比べて、釘の種類の違いで強さが7割に落ち、周囲に打たず、受け材が無いために、さらに6割落ちると、このときの強さは、本来の性能を100とすると、100*0.7*0.6となり、実に4割程度の強さしか無かったのです。

 というよりも、これでは耐力壁として全く機能していない状態です。
 強風が吹けば揺れて当たり前です。

注:図の×印のように合板を継いでいても、横列に釘が打たれていれば問題ありません。逆に○印のように、上から下まで1枚の合板で張られていても、横列に釘がなければ、これも違法であり、耐震性は6割程度に減少しています。

■なぜこんな事が起きるのか。
「審査していない」「現場検査でも見ていない」
「だから間違いにすら気づかない」

 このような建物は、非常に多く出来ているのではないでしょうか。
 その理由は「審査していない」「現場検査でも見ていない」「だから間違いにすら気づかない」という負の連鎖です。
 いまでこそ中間検査は当たり前のように行われていますが、平成12年以前は、上棟後に行う中間検査などありませんでした。
 さらに中間検査といっても、木造住宅の場合は構造審査自体をしていないですから(木造2階建て)、中間検査で見ていても、厳密な意味の構造上の検査はしていません。
 つまり、業者にすれば間違ったまま施工していても、誰からも指摘されないから、その方法が正しいのだと思いこんだまま、延々と違法建築を作り続けているのです。

 なお、冒頭に直接関与せずお話しだけのものが3件あった、と説明しましたが、そのいずれもがいわゆる「耐震性の不備」あるいは「耐震性に関わる施工不良」が原因だったのです。


 断崖絶壁に建つ家ならいざ知らず、普通の立地で強風だけで建物が揺れることはあり得ません。もし、あなたの家がそうなら、構造的に何かおかしいのです。

 そういう懸念のある家は、一度点検をしておくべきでしょうね。

注:たとえば、トンネル上になった地形なので電車の風圧によって建物がきしむことがありますが、これは建物の構造的欠陥とは異なります。


いるんですねぇ。まだまだ

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