未熟化する配管工

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最近では、非常に簡単な工事で配管が出来あがり、しかも漏水のリスクが低くなると言うヘッダー工法が多くの住宅現場で行われ、いまや配管工事の中心的工法になった感があります。

ところが、その工法のおかげで漏水事故が増えているようです。
しかもヘッダー工法に関係する水道管の漏水事故だけでなく、排水管の接続をしていなかったり、配管勾配が逆になっていたりとあまりに初歩的なミスを目にするようになってきました。

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ヘッダー工法

昔から行われている水道管や給湯管の配管工事は、ホームセンターでも昔から売られている塩ビ管を一本一本つないでいく方法でした。

そのため、配管が曲がる部分や、直線でも4mを越える部分には継ぎ手が設けられ、1つの建物でも多いときは、継ぎ手が数十箇所以上になる場合もあります。

そして、この工法の弱点は、継ぎ手部分から漏水するリスクが高いと言うことでした。
言い換えれば、継ぎ手の接続部分の接着技術、配管職人の腕の善し悪しによって、漏水のリスクが高くなったり、低くなったりしていたのと、所詮継ぎ手が多く発生するために、いくら職人の腕が良くても、絶対に漏水はしない、と言うほどにはリスクは低減されませんでした。


そういった漏水リスクを劇的に低減させると宣伝され、急速に普及しはじめたのが、「ヘッダー工法」といわれる工法です。
従来の塩ビ管を使った配管工事に比べて、配管材料費は高くなるものの、作業時間が短くてすみ、その結果工賃が低く抑えられるため、トータルでは安くなり、いまや住宅の配管工事(給水・給湯)のほとんどがヘッダー工法になり代わっています。

軽微な事故の多発

しかし、ヘッダー工法が多くなるにつれて、「漏水事故」が多くなっているような気配なのです。

ヘッダー工法を使った給水管や給湯管の器具との接続不良によって漏水する、という直接的なことから、ヘッダー工法に関係のない、排水管を逆勾配で配管する、という初歩的なミス、さらには、排水管のつなぎ忘れによって床下にキッチンからの排水が溜まる、といった事故も発生しています。
注:排水管はヘッダー工法ではなく、昔ながらの配管を継いでいく工法です。

一例上げれば

  1. キッチンの食器洗浄機用の排水管が接続されていなかったため、床下にキッチンからの水が流れ出て溜まる。
  2. キッチンの排水管の接続が不良だったために、床下にキッチンからの水が流れ出て溜まる。
  3. 2階トイレの排水管の勾配が逆だった。
  4. 給水管でも接続不良を起こし漏水していた。

等々・・・・・・

職人の未熟化

なぜ、そんなことが発生するのでしょうか。
少し前まで、配管工事は、簡単だとはいえ、一定の技量が必要でした。しかし、ヘッダー工法のおかげで、短時間の指導を受けるだけで、後は配管をコネクターにカチッとつけるだけ。いわば、インターネットのLAN配線の受け口と同じような感覚で施工出来るため、一定期間の習熟した技量が必要になるということが無くなりました。
(写真はヘッダー配管の管同士の接続部分)

そのため、配管工の低年齢化あるいは経験年数の未熟な職人が増え、その結果ヘッダー工事では問題が生じていなくても、同時に工事を進めていく排水管などの管工事の施工不良やうっかりミスが多くなったような感じなのです。

言い換えれば、誰でも明日から配管工・・・という簡単な工事になったことが配管工の未熟化を促進しているようなのです。

最近では、機械ものの修理は『調整』ではなく、『部品交換』が多くなっています。つまり、職人の腕に頼るのではなく、工事用で製造された『部品交換』で故障に対処するというスタイルが多くなっていますが、これらの傾向は住宅にも広がり、ますます『未熟練工』が多くなっていくのでしょう。

住宅の初期不良やうっかりミスの発見には、入居後1.2ヶ月目頃の点検が欠かせなくなるかも知れませんね。

注:上記の異変は、ほとんど入居後1.2ヶ月以内に発見されています。

入居1ヶ月たったころには、チラッと床下点検口を開けて、床下をのぞいてみましょう。


これからますます
職人の人数は減っていく

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