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【経緯】
一部に不安を残しながらも契約された建築主。
突然基礎工事が始まり、このサイトの「建築主デジカメコース」を依頼されましたが、すぐに「隣地境界にある既存のよう壁が気になっている」という問い合わせがありました。
図面には正確に書かれていないため、分からなかったのですが、写真を送って頂くと高低差2m近くもある所に、どうもブロックを積んだだけのよう壁がある、という。
よう壁底版の長さも60cm程度しかありません。そして、建物は柱状改良杭で支えている状態でした。(右図)
本来、この高さのブロック積みよう壁(*1)は違法で、底版は最低でも1.2m必要なので、キチンとした鉄筋コンクリートのよう壁でないといずれブロックよう壁が傾いていく。という返事を返しました。
建築主の方は、その後売り主に大丈夫なのか。という問いかけと根拠を求めたのですが、返ってきた返事は、あたかも地下室があり、よう壁に土の荷重などかからないと言う、何も知らない素人だから計算書を誤魔化して作ってしまえというようなよう壁の構造検討書だったのです。(右下図は、その時の図)
また、柱状改良杭の検討書もよこしてきたのですが、よう壁が傾こうが、柱状改良杭は残るのだから、建物は大丈夫なのだ、という趣旨なのです。
しかし、どう考えても、現状のブロックよう壁では、いずれよう壁が傾くのは火を見るより明らかで、ましてや古い土留め程度の構造で、水抜き穴すら無いブロックよう壁です。
また、建築基準法の敷地の安全性ということから考えても、建築確認の段階でOKとなるはずもなく、そして、柱状改良杭は、周囲の摩擦力も考慮した杭のため、よう壁がズレはじめれば、杭の周囲の土がずれていき、摩擦力も効かなくなるため、柱状改良杭も計算の前提が崩れるからダメなのです。
そういう返事を返し、そこから、話を誤魔化そうとする売り主だけでなく、建築確認の審査をした民間審査機関を相手とする交渉は、実に延々2ヶ月に及び、市会議員、弁護士も巻き込んだ事態になっていったのです。
つまり
・建築確認の段階で審査機関は、よう壁等々があれば、そのよう壁が大丈夫かどうかの判断を行うと同時に、敷地の安全性が担保されているかどうかを審査をしなければならないのにしていない。
・柱状改良杭は、周辺摩擦力と先端支持力の2つから成り立っており、杭の周囲の土がずれていけば、周辺摩擦力がなくなり、杭の計算上の強さは出ない。
(詳しくは、「柱状改良杭のチェックポイント」をご覧ください)
・だから、よう壁が崩れかければ、建物も安全でなくなる
ということを民間審査機関に対する疑義に上げたのです。
【その後の状況】
工事はどんどん進みつつ、上記のように、この建物を審査した民間審査機関に、ブロックのよう壁を使ったものは、建築基準法の「敷地の安全性を確保する」という規定に反している。違法ではないか・・・・
という問いを投げかけたのですが、明確な返事がなく、仕方なく上棟時の中間検査の時に、その審査機関の検査員が来るので、その人に直接現場状況を見てもらえとアドバイスを行い、見てもらったのですが、担当の者に伝えておく、とたらい回しの返事をしたっきり、その担当者からも返事がない。
また、建築主から中間検査の検査済み書の発行も違法だから止めるように求めても、検討すると繰り返すだけで、結局「中間検査の検査済み書」は発行され、 そうこうしているうちに、工事はどんどん進み、建築主が民間審査機関に問い合わせをしても、むにゃむにゃと曖昧な返事を繰り返すだけ。。。
そんななか、売り主と話し合って解決出来ないか、という提案まで出してくる始末。
ついに、工事も末期、建築主は市会議員と弁護士を通じて、質問状を作り、その民間審査機関に圧力をかけ始めました。(実際には、市会議員、弁護士が直接交渉するのではなく、審査機関や売り主とおこなう打合せの議事録配布先として、市会議員、弁護士を議事録の明記し、後ろに○○市会議員、○○弁護士がいるぞ。という手法を取った)
そして、建物の完成間際。
やっと、その民間審査機関は、「ブロックよう壁では、敷地の安全性が確保出来ないので、違法である。したがって建物の完了検査済み書は発行出来ない」という回答を送ってきたのです。
それは、基礎工事の時に「おかしいじゃないか」という疑問を民間審査機関に提示してから、実に2ヶ月以上を経て、室内のクロスを貼ろうか・・という時期になっていたのです。
【状況写真】
写真を見てみましょう。

・幅60cの底版には、鉄筋すら入っていない
・底版幅も著しく不足している。
・ブロックから曲げられている鉄筋は、40cm間隔の横筋
(まさに、ブロック塀仕様の構造です。)
建築の専門家でなくても、何かおかしいな。。。こんなので建物は大丈夫なのだろうか。と疑問に思うのが当たり前のような状態です。
ましてや、中間検査に来ていた建築士の資格を持つ者なら、誰だって『ダメだ。』と判断出来るシロモノです。
それでも、現場に背を向け、頑なに返事を拒み続け、曖昧な返事に終始し、あげくは、売り主と話し合いをおこなったらどうか、とまで問題を転化する発言をしていたのですが、市会議員や弁護士名の圧力が通じたのか、他の理由かは分かりませんが、やっと、やっと、重い、重い腰を上げたのです。
この審査機関は、『あそこは、役所の天下り連中どもがやっているところ』と揶揄されている人口3,602,263人(平成18年10月1日時点)の大都市にある民間審査機関です。
その後、建築主の方は、無事売り主と解約され、その後別の場所で家を建てられました。事件のあった建物は、どうなったのでしょうか。ほとぼりを冷ました後に中古住宅として売られたとしてもあり得ない話ではありません。
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