ネバーギブアップ:ログハウスの事件事例

これからご紹介する事件は、自分のため、子供達のため、いろいろなハウスメーカーを当たった末に、ログハウスを建てたいと考えたある建築主と、無責任で破廉恥な建築設計事務所との2年半にわたる建物完成までの記録です。

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建築主がまとめられた経緯

(注:筆者にて抜粋と加筆修正をしています)

出会い(H15.08)

ログハウスを建てたかった私は、平成15年夏ごろ、地元雑誌に載っていたログハウスの広告を見てD建築コンサルタントという設計事務所を知り、話を聞きに行った。その後土地が見つかり、設計も依頼する形になり設計料の手付けを支払った。

一回目の契約解除(H16.03)

平成16年の3月、設計が進んでいたが、打合時間に遅れる、メモを取らず打合の内容が忘れられているなどの不満があり、それを指摘し、改善を約束した直後の打合に約1時間遅刻したため、設計を断り、設計料は返金された。

再依頼(H16.09)

しばらく、ハウスメーカーも含めて他業者も探したが、ログで建てたいという希望が強く、ログにくわしいということでやはりD建築コンサルタントに再度お願いした。平成16年の9月にコンサルタント契約を交わし、費用は165万円。(設計、監理、申請のすべてを含む)

D建築コンサルタントは「ただの設計事務所ではなく、資金繰りから業者との折衝、原価での仕入れ、施行検査、工事検査など全てを行います」(*1)との事でした。
施主は何でも希望を行ってください。ハウスメーカーのように設備で利益を得ることなく、安く、いい家を建てる。施主の希望を可能な限りかなえる、一緒に楽しむ家つくり(*1)ということでした。

希望予算提示、平成17年10月には完成する(H16.09)

前回断っていることもあり、文書により最初に基本的なプランニングの要望(ポストアンドビーム工法)と金額の要望(外構やある程度の家電購入費や諸経費を入れて3000万円以内とすること)をした。そして工期をたずねると、できれば8月までに遅くとも10月までに建てる(*3)ということでした。

しかし、予算大幅超過(H17.02)

ところが最初の見積をとってみると、大幅予算オーバーの建築費計4100万円。(*2)
あまりにも要望とかけ離れているのでこれではとても建てられないと、見積再検討がなされた。翌1月になってもまだ当初予算に近づかず、ついに2月には大きく設計変更した(総二階建てからロフト二階建てに)。それでもまだダメということで工務店をかえるということになる。
さらに、保証について尋ねると、地盤には10年保証は付くが、丸太を使った家は雨漏りは避けられないことなので、保証を引き受けるところはない(*11)という。

カナダ木材個人輸入開始(H17.04)

4月半ばごろいよいよ予算内に収まりそうな見積もりができそうという事で、建物の骨格となるポストアンドビームの木材をカナダ木材個人輸入費としてカナダ業者に一部送金。(この時点で4月末工事契約5月15日基礎着工)。

着工予定日に建築確認が終わっていない(H17.05)

しかし5月末になっても、工事について何も言ってこないので問い合わせたところ、まだ建築確認も出さず、地盤調査もしていなかった(*4)。そして、日本の法律が悪い。ポストアンドビームは、建築確認では通らない(*5)、とうそぶく。輸入材の残金も求められる。

その後、地盤調査に別途費用が必要(*5)。地盤改良が必要なのでさらに追加費用が必要(*6)と言われる。 これだけいい加減なら、監理をきちんとしろ。というと100万円の追加請求を求められる(*7)。この時、『うちはコンサルタント会社なので契約もコンサルタント契約しかしていない。だから、設計監理と工事監理は別。本来しなくていいのに善意でやってる。』と、自分がなにを契約したのかさえ忘れて開き直る始末。

さらにカナダから木材が到着するため、見積もり自体もいい加減ななかで、工事契約を強引に勧められる。

設計契約の解除(H17.08)

基礎が完成し、カナダから木材が到着するというのに、アンカーボルトもおかしな部分があり、これまでのあまりにいい加減な対応で、このままの工事継続を不安に思い、ついに2度目の設計契約を解除するため、弁護士らと協議を始める。

電話連絡を入れても、一方的に切る。無言で切る。という事が続き、D建築コンサルタントも弁護士に相談したが自分の立場が不利とわかり、問題点を整理する会合では、私への批判、自己正当性主張とトンチンカンな技術的回答が用意されていた。

また、これらの交渉過程でわかったことは、予算内と思われていた工事見積もりも、実はD建築コンサルタントが適当に入れた工事見積もりであったことが判明した(*8)

いい加減な見積もり作成と工事契約(*8)

今回の工事契約は、実質的な見積もり作成はD建築コンサルタントが行い、それをあたかも大工工事をする大工さんがすべてしたように見せかけ、そして大工を一方の契約者とする工事契約をさせ、実際の設備工事や一部の材料は自分が手配し、工事契約をした大工さんには何も伝えていない。という不可思議でいい加減な方法を取っていました。

よく、設計事務所が分離発注をしてコストを抑える方式がありますが、この場合は、大工、設備業者などから別々の見積書が出てきて、それぞれの業者と工事契約をするのが当たり前ですが、これらの透明性もなく、ただただ、自分の意のなかで適当な作文を作り上げて見積もりを造り、契約をさせてようです。

契約解除と工事再スタート(H17.10)

長い交渉の末、D建築コンサルタントから、今までの設計料の全額を返金してもらうことで合意。工事を再開する。大工は最後に工事契約をした大工さんとの契約を続行した。そして、地元の一級建築士を工事監理者としてお願いした。

しかし、工事をスタートするもトラブルが続発。

部材の一部はD建築コンサルタントが個人的に確保していた物を使うことになっていたのだが、その費用を当初のものよりつり上げて大工に買い取れと言ってきたり、自分は設計料を全額返金させられたので、仕事を与えたやったのだから設計料をお前が払えと70万円ほど大工に要求してきた。(*9)

さらに、電気工事は見積では90万になっていたが、D建築コンサルタントと電気工事会社の話では100万円だったらしい(*8)。しかもログハウスとは聞いていなく、大工の手配も悪かったせいもあり、床が張られてから初めて工事に入ったので、こんな金額じゃできないと怒り出す。

給排水設備業者も、D建築コンサルタントに直接呼ばれて、依頼されたよう。
あまりに頼りないので、別の業者にチェックしてもらったら、排水の経路がおかしくこのままでは勾配がとれず後々トラブルが見えていることがわかった(*10)。結局最初の業者は仕事をおりた。

D建築コンサルタントの悪行、所業

  1. 耳障りの良い美辞麗句を並び立て、出来もしないPRする。
  2. 契約に際し、施主予算をいい加減に受け取る。
  3. 当てのない、いい加減な工期を説明する。
  4. 地盤調査、建築確認など行うべき手続きをしない。
  5. ポストアンドビームは建築確認を通らない特殊な建物だとうそぶく。
  6. 予算管理もせず、地盤調査、地盤補強費を要求する。
  7. 工事監理は何もしていない。しかし、監理をするために追加費用が必要という。
  8. 最終見積書も、D建築コンサルタントが適当に金額を入れたいい加減なもの。
    工事契約者は見積もりをしていないのに、さもしたように見せかけ、大工と工事契約をさせつつ、
    元請け的な動きをする。
  9. 契約解除後も、嫌がらせを行う。
  10. 値段があえば、いい加減な業者でも使う。
  11. 雨漏りは避けられず、10年保証は付かないと嘘を言う。
    注:ログハウスでも保証会社の10年保証はつけられます。

これは、ホンの抜粋です。あまりに多くのトラブルがあったため、抜粋でしか書くことは出来ませんでした。(著者)

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最初の段階で予算超過や、完成が遅れることは設計事務所に依頼してもよくあることです。しかし、多くの場合は、それらを修正しながら完成までこぎつけていくものです。また、ここまで極端な予算オーバーもありません。

しかし、この方の場合は、全く誠意の無い建築士に翻弄され、だまされ、開き直りをされ、夢のマイホームの工事がとっかかりの時に設計契約も、工事契約も解除せざるを得なくなるほどの状況でした。

しかし同時に、この方の持って生まれたバイタリティーによっても、設計契約の全額を返金させ、工事を再開し、もうすぐ完成しようとしています。

幸いにも、D建築コンサルタントの紹介で工事契約をされた業者の方が、ハングライダーが趣味の個人の大工さんで、この方の状況を理解され、工事契約を続行することによって工事を再開することが出来ました。(筆者)

 

心境

D建築コンサルタントの口癖に『信頼がないとできない』というのがありました。
信頼をしてくれないとできないよ。その辺はこちらを信用してください。

信頼、信用と口に出すやつほど信頼、信用できない、とよく言いますが、渦中にはまっていると、本来、信頼とは客観的根拠なくしてなりえないということが見えなくなります。

住宅購入を目指す一般人はなにを信用信頼すればいいのでしょうか。プロの言葉を盲目的に信じてしまうのが悲しいかな素人たるゆえんです。
ダマされる方が悪い、ダマされないように賢い施主にならなければならない。もっともな意見でしょう。

しかし、みんなが賢くなれるわけでもなく、なるには時間と労力がいります。
むしろみんな賢くなれればみんながプロであり、プロがいらなくなるでしょう。何のために国家資格があるのでしょうか。
素人が安心して頼れる存在が有資格者ではないでしょうか。その有資格者がその資格の上にあぐらをかき(先生、先生と呼ばれ)素人をだますようなことをしていることは、一般的な犯罪者より悪質で卑劣で許しがたいものです。

現在の状況(H18.01)

家は遅れていますが2月末ごろには完成するとおもいます。夢と希望と自分の生きた証、子供への伝承物として大きな楽しみと喜びをもたらすはずの家のはずでした。今回のトラブルは心に大きな傷を残しました。

喜びの家が傷みの家に見えてしまう悲しさは経験しないと理解しがたいかもしれません。
今話題の構造偽装マンションの住人の方々は同じ気持ちを御持ちでしょう。テレビで見るたびに心が痛みます。

規模、大きさを言われるとわたしは大げさなことはいえないかもしれません。 しかし、うけた傷の大きさと悲しみは同じです。
まだまだ伝え切れないことが沢山あります。乱文お許しください。

冒頭のタイトルをいろいろ考えましたが、私がいままで遭遇した事件のなかでも、ここまで無責任で破廉恥、設計監理能力すらない建築士が、素人の建築主をだましにだまし続けた事件はありませんでした。

もし、私が事件の当事者であったとき、ここまで踏ん張って工事の完成までこぎつけられたかどうかは疑問です。D建築コンサルタントへの賠償をあきらめて泣き寝入りし、あるいは仕方なしにいい加減な工事を心配しつつ、工事を続行したかも知れません。

しかし、建築主の方の不屈の精神で弁護士を入れつつ交渉を行い、地元の建築士の助けも得ながら、最初に夢見た建物の完成に近づきつつあります。

問題解決の方法は、人によって様々です。
でも、この方には、この言葉が一番似合うかも知れません。そういう感じた事件でした。

このページの写真は、この方の工事中の写真(筆者撮影)です。 外部は終わっていますから、完成までもう少しです。外部の木部の塗装は、新しい建築士さんと建築主のご家族、友人達総出で塗られたようです。
建物が完成する頃には、薪ストーブは必要のない季節になりますが、次の冬には、一家団欒の中心になって、暖かい火をともしているでしょう。

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