災害に備えるなら住まいと法律・タイトル

 

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はじめに

 平成16年10月、台風23号と新潟県中越地震が大きな被害をもたらしました。
台風23号では、各所で洪水、河川の氾濫、冠水、土砂崩れが発生し、多くの家屋を濁流や土砂崩れが飲み込みました。兵庫県の豊岡市では、市内の半分が水没し、家屋や家財に大きな被害を与え、新潟県中越地震では、人や家屋の被害は小さかったものの、ライフラインに大きな打撃を与えています。

 このページのタイトルは『災害に備えるなら』という非常に意味深な表現を使っています。それは、多くの人が災害は人ごとだと思い、自分には降りかかってこないのだと、漠然と考えています。
 テレビで流されている被災地域の情報も、毎日毎日垂れ流しされる情報の一つにすぎません。災害は当事者でなければ体験することも、想像することも出来ないものです。


お断り:この記事は都市型災害をテーマとしています。
このページでは阪神淡路大震災、平成16年の23号台風、新潟県中越地震などをもとに、都市に災害が起きたら・・という想定の元で資料提示や記載をしています。地方都市、郡部では違った局面の災害となることをご了承ください。

増える異常気象、局地災害

 もうもう、言われ続けて久しいですが、地球温暖化の影響や都市化などにより、異常気象や局地的災害が発生する確率が多くなっています。
 私たちが何不自由なく生活している都市圏でも、河川の氾濫や高潮被害、鹹水、土砂崩れなどは以前よりも起きやすくなっていると思います。

1.雨はどこに流れる

 雨が降れば、どこかに流れていってしまいますね。
 ・・・どこかへ、、、、、
 ま、一応、家→道路側溝→下水や河川→海
 といった流れになるのはご存じだと思いますが、最近では、都市の排水機能がじょじょに低下しつつあるように感じます。それは、地域のよっても違うでしょうが、冠水の多さです。

 大規模な造成をおこなう場合、単純化すれば次のような式で必要な雨水の排水量が導かれます。



この計算式の降雨量は1時間当たり実に70mm〜120mmの極めて強い雨を想定しています。でも、都市ではなぜ冠水が多くなっているのでしょうか。台風23号被害のように、わずか30mm前後の雨が連続的に降ったとしても、どうして小河川の氾濫や道路の冠水が発生するのでしょうか。


2.インフラの脆弱化

 それは、家→道路側溝→下水や河川→海へと流れる部分のどこかが疲弊してきているのかも知れません。

1.広がりつづける宅地化
 今まで田圃であったところが住宅地として開発されれば、上の流出係数のように、0.7や0.8といった降雨量を減少して計算できるのではなく、降雨量そのままの雨を河川や下水に放流しなければならなくなります。
 下の図は、昔、田園地帯だったものが、宅地化していくと、右の図のようになり、宅地の排水は1つの排水溝にまとめられ、最終的には近くの河川に放流されます。地図では宅地の上下にある小さな河川に放流されていきます。
 もちろん、一時的に水を蓄えたりできる地形が無くなると、降った雨は一気に河川に流れています。




2.蓄積する土

 水路や河川には、上流から砂や土砂が流れ落ちていきます。以前、長野県知事が治水はダム建設よりも河川底のしゅんせつの方がコストもかからず合理的だ。という話をしていましたが、身近にある小さな河川も砂や土砂の堆積は免れません。
 それは、河川が雨を流す量の減少につながります。
 ん!宅地化して雨がすぐに流れるのに、流れる河川は小さくなっている??


3.地下水のくみ上げによる地盤沈下
 平成16年の台風23号で円山川が氾濫した豊岡市では、地下水のくみ上げにより、過去25年間で45cmも街の地盤が沈下していたといいます。大阪市でも同様の地下水による地盤沈下があり、東京など水事情の悪い都市圏でも同様の地盤沈下が指摘されていました。

4.堤防のシロアリ。
 堤防のシロアリ。といっても、堤防のシロアリがいるわけではありません。堤防のシロアリ、それはモグラです。最近では外来種も増えているようですが、土でつくられた堤防は彼らの格好のすみかです。その長い長い巣穴の道は、堤防を弱くする原因のひとつとなっています。

 都市が広がり、宅地が増え、雨が降るとすぐに河川に流れていく、
 河川の底が上がり、宅地開発と共に河川に入る水の量は増え、
 住んでいる町の地盤が知らず知らずのうちに下がっている。
 ビル化が進み、30年前に埋められた下水道も、そろそろ余裕が無くなってくる。当時つくられた堤防はモグラのすみ家で穴だらけ。

 そう。都市のインフラは、少しづつ、少しづつ脆弱化していき、局地的な集中豪雨などの災害の対応には余裕がない状態になりつつあるのかも知れませんょ。
都市によって差はあるにしても、雨対策は都市の難問となる日は遠くないかも知れませんょ。

平時のインターネット、有事の判断

1.円山川氾濫の推移

 台風23号によって氾濫した兵庫県、豊岡市を流れる水の変化はどのようなものだったのでしょうか。
 下の図のように、極めて劇的な推移の変化を遂げています。
 10月22日、午後0時の推移が普通よりも少し高い0.99m、そして、その7時間後には、危険水域6.5mを越える7.58mまで達しています。



上の図は、円山川の水位変化をグラフにしたものです。

円山川の警戒水位は4.5m。危険水位は6.5mです。
右の表では、少し水位が多い状態から、警戒水位の4.5mに達するまで、5時間。

しかし、警戒水位から、危険水位の6.5mになるまでの時間は、わずか1時間しかかかっていません。

 

 


 上2つのデータは 川の防災情報(国土交通省)より

 でも、そんなこと調べてどうなるの??
 そう。起こったことはどうにもなりませんね。

 しかし、インターネットの普及は様々な情報を私たちに与えてくれます。
 下の図は、レーダーの図ですが、どの程度の雨雲が、今どこを通り、いつ頃晴れ間や雨のとぎれがあるかを予測することができます。

    
平成16年10月26日、16:00のレーダー  平成16年台風23号の雨雲イメージ図

 普段、雨が予想されているときの犬の散歩は、このレーダーが大変便利です。いつ頃、小降りになり、あるいは雨がとぎれるかがある程度予想できるため、『おぃ。おまえ達(犬2匹)。後少しで雨がとぎれるから、それまで、お散歩はお預け・・・』といった具合です。
 あるいは、洗濯物を出したままでも大丈夫か、いつ頃から雨が降りそうだから、洗濯物をしまっておこう・・といったことにも使えます。

 また、災害に備えるとき、もっと大事な雨の量や代表的な河川の水位といったことは、今では過去のデータはもちろん、リアルタイムのデータの多くを知ることができます。


■どうして普段の情報で有事がわかるのか。
 いつも雨雲の様子を眺めていると、台風23号の時の雨雲が、今までの台風と全く異なり、とぎれなく、絶え間なく、隙間無く、しかも、台風が通り過ぎた地域でもずっと雨雲がかかっていたのがわかります。それをみれば、いつもの台風や豪雨と異なっていることがすぐにわかります。
 『この台風はいつもと違う。』
 大切なのはこのことなのです。
 『いつもと違う・・を知るためには、普段の何気ない情報が大切なのです。』
 
 
『平時のインターネット。有事の判断』のタイトルの意味はここにあります。
 過去の災害の情報収集が、有事の判断につながる。
 そういうときこそ、インターネットの裏に隠されている情報はまさにデータの宝庫です。
 普段、ボーッと生きていたら、何時、危ないものが飛んでくるのかわかりませんね。
 もっとも、有事のインターネットはアクセスオーバーでつながりませんょ〜。

有事の時に見たって、、、遅い・・ちゅうの!!


・気象庁/過去のデータ(気象庁、電子閲覧室)
・川の防災情報(国土交通省)/一級河川の主要な河川水位
 などのホームページを、普段から見ておき、台風や集中豪雨などの時の過去のデータを参考することによって、次に起こるかもしれない危険を予想することができるのではないでしょうか。


2.平成12年東海豪雨

 平成12年9月に発生した東海豪雨はどうだったのでしょうか。

 平成12年9月11日から12日にかけて、日本付近に停滞していた秋雨前線は、台風第14号からの暖かく湿った気流の流れ込みにより活動が活発となり、東海地方は愛知県を中心に記録的な大雨となりました。
 このため、市内河川では、西部を流れる一級河川新川で左岸堤防が破堤したのを始め、破堤3箇所、越水17箇所の被害が発生しました。
 浸水等による住家被害は、全壊4棟、半壊98棟、一部破損18棟、床上浸水9,818棟、床下浸水21,852棟(平成13年3月30日現在)に及び、市内の約37%が浸水し広範囲で内水・外水被害が発生するなど、伊勢湾台風に次ぐ浸水被害となりました。また、がけ崩れ(市内で87箇所が発生)により1名が犠牲になったほか、合計で51名の死傷者(死者4名、重傷者13名、軽傷者34名)が発生しました。( 名古屋市ホームページより引用)


このときの水位の変化も劇的です。
時間当たり80〜100mmの驚異的な集中豪雨の後、わずか6時間程度で、名古屋市の広い地域に災害をもたらしています。


ちょうどこの時、私は東海道新幹線の名古屋駅の手前で立ち往生となり、それから24時間、新幹線の中で缶詰を食らったのでした・・・
『当時者は何もわからない』のごとく、新幹線の車内では、何が起こっているのかさえ、わからないのでした。


水害は、ぼんやりしている時間などありません。

洪水、堤防の決壊、いずれも警戒水位から、危険水位に上昇するまではあっという間です。 1〜2時間の判断が生死を分けるのが水害です。
当時者は何も分からない

 平成7年、阪神大震災が起きたとき、私の自宅は、震度7を記録した神戸の西隣の街、明石市に居住していました。
  地震が起きたのは、明け方5時。
  ベッドにしがみついていないとおれない激しい揺れに見舞われましたが、建物はとりあえず何ともなく、最初の地震が収まり、余震が続くなか、近所を見渡しても倒壊した建物は無く、水道とガスが止まっていたものの、電気は来ており、地震の影響なので、すぐに復旧するのかに・・と軽く考えていました。

 とりあえず電気が来ているので、いつも通りポットでコーヒーを入れ、オーブントースターで焼いたパンを食べ終わると、テレビを見ても、地震関係の映像による速報は無く、神戸で震度7の地震があったと速報(テロップ)を流しているだけです。そしてなんと、通勤しようとヒョコヒョコと、最寄りのJRの駅まで徒歩で向かったのでした。

 もちろん、途中でも倒壊した家屋も、倒れかかった家屋も、火事もなく、普段に近い感じで駅に着いたのですが、駅の構内では、地震により、電車が止まっている。との案内で、「まぁ、そのうち復旧するだろう」と軽く考え自宅に戻ったのでした。
 そして、自宅に戻ってしばらくして、神戸の街がいくつもの大きな火災を起こして炎上しているヘリコプターからの映像を見て、初めて、地震の規模と範囲をやっと知ることができたのです。

 我が家は、水道とガスが止まっていたものの、幸い電気が通じており、一応、情報をえることはできました。しかし、そのテレビの情報も断片的なものであり、地震の全体像がつかめたのは、テレビクルーが衝撃的なビルの倒壊現場などが放映され始めた翌日だったです。

 大地震の周辺地区で地震に遭遇した私でさえ、このように、災害の全容をつかめていない時、災害のまっただ中にいて、電気も途絶えた地域では、どのような災害がおきたのかさえ、つかむことは出来ないのです。

 当事者はそのとき何が起こっているのかもわからない。それが災害の当事者だと思います。

20km先は別世界。そして疎外感

 下の図は、阪神・淡路大震災の神戸周辺の被災地と、新潟県中越地震の被災地の主たる被害を受けた地域のマップですが、どちらも地震の被害を受けたのは、半径30〜60kmの比較的狭い範囲です。
 別の項で『当事者はわからない』というタイトルがありますが、大きな災害のまっただ中にいると、どのような被害が、どの地域で、どの程度起こっているのかは全くわかりません。
 そして、避難生活やインフラが破壊された苦しい生活を送っていても、実は、その場所から20kmも離れれば、全く普段の日常生活がおこなわれています。電車もバスも普通に動き、通勤をし、スーパーやデパートに買い物に行っています。 


  ・阪神・淡路大震災時の神戸被災地     ・新潟県中越地震の被災地

 そして、多くの被災者が災害発生からしばらく経ち、何らかの理由で一時的にせよ、今の被災地を離れて、何気ない普段の生活をしている街に出て感じることがあります。それが『疎外感』です。
それは、いくらボランティアが被災地に多く集まり、いろいろな支援活動を続けていても感じる『心の隙間』です。
 なぜ、私たちのところだけがこんな被害に遭うの・・・
 どうして、他の街の人はいつも通りの生活を営んでいるの・・・
 もしあなたが大災害の被災者となり、被災生活が少し軌道に乗れば、その地を一時的に離れて、ゆっくりと周りを見渡してみるのもひとつかも知れませんょ。温泉に行って、被災の垢を流すのもひとつです。災害から2週間も経てば、テレビには被災地のための情報などほとんど流れず、バラエティ番組の甲高い馬鹿笑いが聞こえています。
 それがいっそう精神的苦痛となるかも知れませんが、何だ。こんな狭いところに起こったのか。もう一度やり直そう。という気になるかも知れません。
 いずれにしても、20km先は災害とは無縁の別世界なのです。

避難路は救援路。道を捜せ!

 『20Km先は別世界』で述べているように、災害では被災地から少し離れるだけで普通の生活をしています。被災地のスーパーが被災して営業していなくても、日用品の一部が不足していても、20kmも離れれば、何不自由しない物資が揃っています。
 同様に、被災地に救援物資を運ぶのも道路です。また、道路の下には例外なく、水道、下水道、ガス管など通っています。
 つまり、今、自分の置かれている場所が、いろいろな方向に出やすい場所なのか、袋小路の場所なのかによって、救援物資もインフラの復旧も、物資の買い出しも大きく異なってきます。

 下の左の図は、いろいろな道路に囲まれた住宅地です。右の図は、住宅地に入る主要な道路が1本しかない住宅地です。必ずしも、道路が被災し、道路の下の水道やガス管が破壊されるとは限りませんが、住んでいる場所から、複数の道路を使って移動できることは、災害を受けた後の対処が大きく変わってくることに違いはありません。
 いざとなったら、他の地域に自動車で避難できる複数のルートがあるか。袋小路の土地かによって、災害対策も違ったものになってくるでしょう。

 

 災害に強い住宅地とは、単によう壁がしっかりできている。広い道路がある。というだけでなく、複数の道路を通って移動できるという地形的要素も大きな要因のひとつになります。
被災地ルック
 阪神・淡路大震災と新潟県中越地震では、地震の起こった地域の生活スタイルが違うため、同列の比較はできませんが、移動が電車を中心としていた神戸市の被災地で、震災後2〜3年間以上も定着していた服装があります。
 それは、運動靴、帽子、マスク、リュックサックという、いわば軽い登山に行くときのスタイルに似た被災地ルックです。
 このスタイルは、電車やバスが寸断される土地災害では、徒歩でなければ移動できないため、動きやすい運動靴やスニーカー。解体や復旧工事のすごい粉塵から喉を守るマスク。災害発生当初の万が一の落下物からや埃から頭を守る帽子。ガレキが散乱する危険な道を歩くときに両手がつかえるリュックサック。そして自動販売機も動いていないための水筒。
 そう。実は山歩きに近い服装が都市型災害にはうってつけの服装なのです。
電車もバスも動いていない。歩く道は凸凹。ゴミとガレキの山。頭上も注意。自販機なんか動いていないょ。
 新潟県中越地震と異なり、都市型災害では自動車は移動手段として、あるいは避難生活の場所としてほとんど使えません。都市では新潟県中越地震のように自動車を避難場所として多く収容する場所などどこにも無いからです。(阪神大震災の神戸、阪神地域では、敷地が狭く、建物の被害も大きかったため、自動車での避難生活はほとんどありませんでした。)
鈍感な過敏症

 台風23号で市街地の過半が水没した豊岡市の市長は、国土交通省の河川事務所から、警戒水位を超え、危険な状態になりつつある。という連絡を受けながら、その予測データを実感できず、避難勧告を出すのが遅れました。
 違う街では、避難指示を曖昧な表現にしたために、住民にその意味が伝われませんでした。 いずれも公費でヨーロッパ旅行をしていた人達です。

 日本の平均寿命は世界一です。でもそのデータをつくっているのは、戦中、戦後の苦しい時代を乗り越えてきた今のお年寄り達です。どろんこ遊びをせず、かけっこもせず、テレビゲームに夢中になり、柔らかなハンバーガーをかじる世代が本当の意味で長生きをできるのでしょうか。

 安心、安全、快適、便利な生活は、危機を知らせるシグナルも見落とし、鈍感な五感をつくり、反対に少しの刺激で過敏に反応する現代人をつくり出しています。

 鈍感で過敏な現代人です。

 霞ヶ関の官庁街には『75日の法則』があるようです。
 熱しやすく冷めやすい日本人の特性を利用して、一時的に世論の反対があっても、その反対は75日もすれば当事者はともかく、周囲の世論は関心も薄れ、薄れた頃に法案などを通したり、施策を実行したりする。という意味のことですが、今、テレビで放送されている災害を自分のこととして、どこまで考えられるか。見ている一人一人が問われているように思います。

 新潟県中越地震の3日目前後には、防災グッズが普段の3倍以上も売れたとか。
 「売れるのは今のうちだけさ。飽きっぽい日本人だもの。」
 と冷ややかに防災グッズメーカーは思っているかも。

どことなくぼんやりと他人事。
でも刺激には敏感。そんな人ほど危機管理は不向きですね。


どろんこ遊びをしない・・腸内細菌の免疫力の低下
かけっこをしない・・・・基礎体力の低下
テレビゲームに夢中・・・対人関係の希薄、コミュニケーション能力の欠如
柔らかなハンバーガーをかじる・・噛む力の低下=体力、消化能力低下、基礎疾患の増加
簡単に言えば、すぐに風邪をひく、ひ弱な子。

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