モルタルとサイディングの優劣

建売住宅や建築条件付きなどの分譲住宅の場合、あるいは注文住宅でも仕様が最初から決まっているシリーズものを依頼する場合は、最初から外壁材が決まっているために悩むことはありませんが、完全な注文住宅の場合は、モルタルで吹きつけ仕上げの外壁が良いのか、あるいはサイディングの方が優れているのか悩ましいところです。

モルタル系の外壁は塗り壁ですから、いろいろな形状に対応出来、仕上げも吹き付け系の塗料の中からいろいろ選ぶことが出来ます。場合によっては部分的にタイルや石を貼ることも可能です。

しかし、サイディングは、サイディングそのものが工場製品であり、豊富な種類の中から選べることは出来ても、いくらレンガ調の柄であっても、所詮は作り物であることに代わりはありません。

そういうメリット ・デメリットはあるにしても、その優劣はどちらが優れているのでしょうか。
一つ一つをチェックしていきましょう。但し、それぞれ標準的なモルタルであり、標準的なサイディングであると仮定しておきます。

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モルタルとサイディングの優劣

意匠性

目地を付ける、アーチを掛ける、凸凹のくり抜きを作る、タイルを貼るといった事はモルタルだけにしか出来ないことです。
そのために輸入住宅系ではモルタルを外壁のベースにしているところが多くあります。

その点、サイディングは四角形の連続でしか加工出来ず、柄を変えることもせいぜい1階と2階の柄を変えたり、モールディングをはわせるといった程度のことしかできず、デザインの自由性はモルタルに軍配が上がるでしょう。

コスト

モルタルとサイディングでは、コスト自身はそんなに大きな差があるわけではなく、同程度の費用がかかると考えて良いでしょう。

宿命・天敵

どんな材料でも万能で完璧な材料は存在しません。必ずメリットとデメリットが共存しています。
そのなかで、それぞれの材料の天敵、あるいは宿命という避けて通れないものといえば、モルタルはひび割れ、サイディングはシーリングの劣化が代表的なものでしょう。

漏水リスク

雨水はたった1mmの隙間からでも壁の中に浸透していきます。
そういう点では、すべてが現場仕事であるモルタルの方が漏水リスクは高いでしょう。
注:モルタル、サイディングの下には防水紙や防水シートが張られているので、モルタルやサイディングに穴が開いたから直ちに漏水するわけではありません。

退色、劣化(太陽、紫外線)

下地となるモルタル、仕上げを兼ねたサイディングのどちらも劣化についてはほとんど同じです。

モルタルの場合は仕上げ塗り材によって退色や劣化は変わってきますが、モルタルそのものが著しく劣化することはありません。
つまり、退色、劣化はモルタルの場合は仕上げ塗り材によって大きく変化し、サイディングの場合も仕上げの塗装グレードによって変化します。

外壁通気

建物を長持ちさせる工法の一つに外壁通気工法があります。
サイディングはかし保険の規定で通気工法としなければなりませんが、モルタルの通気工法は非常に少なく、壁内通気という点に関しては、まだまだサイディングの方に軍配が上がります。

総合評価

これらの総合評価は好き嫌いもあり、難しいですが、独断と偏見で言えば、自由なデザインを選ぶなら、モルタルでしょう。
しかし、仕上げのレベルによってメンテナンスの時期も変化してきます。また、すべてが現場作業ですから、多少は職人さんの腕も耐久性には影響するでしょうね。

サイディングは、一定のデザインしか選べませんが、施工の安定性はモルタルよりも良いでしょう。
つまり、普通の家で良いから(見かけは気にしない)メンテを気にしなくても良い材料となれば、どちらかというとサイディングの方に軍配が上がるでしょうね。 しかし、サイディングの中にも材料の優劣はありますよ。

実は、優劣がそれぞれにあるからこそ、両者並び立ち、どちらも仕上げ材として残っているんですね。
だからこそ、どちらが良いかを決めるのはなかなか難しい問題なのですね。

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