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2階建てと3階建て
耐力壁の必要量を求める
設計者のお寒い耐震設計力
不完全な法−積雪をみない
不完全な法−地震力の低減



 

 

 

 前ページでは軸組工法の2階建て住宅の場合は、「積雪を全く無視した法律」だったという説明をしました。
 このページでは、今まで説明してきた「建物に加わる地震力を低減して良いよ。」という法律のお話です。
 これを「地域地震係数」と言いますが、 地震が少ない地域では、そんなに無理して高い耐震性を建物に付加する必要は無いと思うから、計算で出てきた地震力を低減しても構いません。という法律で、この規定を使うのは任意なのですが、下のようなエリアで区分され、本来の数値を1とすると、その数値の9割の地震力でよい。あるいは、8割の地震力でよいという地域が示されています。
注:詳しいエリアを知りたい場合は、Google等で「地域地震係数」で検索してみてください。

    

 当然ながら、地震力を低減しても良いと言うことは、必要な耐力壁の量も少なくて良い・・ということに他なりません。

 ところが、この10年ほどの地震を調べていくと、この低減地域でもそれなりに大きな地震が起こっているんですね。

 象徴的なのは、新潟中越地震です。震度7を記録しています。大きな被害が出ました。 そして、それ以外に大きな被害があったところでは、福岡県の福岡西方沖地震や鳥取県西部地震などが上げられます。

 それ以外にも図示しているように、マグニチュード7前後の地震がいくつも起きていますが、幸いにも都市部など人家が密集した地域でなかったから被害が少なかったというだけのことに過ぎません。

 さて、この地震力を低減できるいわばボーナス制度。 実際の計算ではどう働くのでしょうか。 実は、「私の家は、長期優良住宅仕様で建てたから耐震等級2なのよ・・」と喜ぶのは早い!! この係数を使うと「大どんでん返し」の結果になってしまうのです。

 

■大どんでん返しの地域地震係数

 さて、地域地震係数を使うとどうなるのでしょうか。
 耐震等級2または3の場合は、下の図のように、
「床面積 x 地震係数 x 上下階比率 x 地域地震係数」です。
これは、壁量計算という方法での求め方ですが、構造計算でも同じで、
建物の自重 x 層せん断係数 x 地域地震係数」となります。
そして、地域地震係数を使うかどうかは任意です。

 そうすると、仮に地域地震係数が0.8で良いと指定されている地域を例に取り、1階が100u、2階が80uの住宅で計算してみると、図のように地域地震係数を考慮しなければ、耐震等級2では、等級11.37倍の強さになるのにたいして、地域地震係数を加味すると、たった1.09倍、言い換えれば等級1(建築基準法)にほんの少し毛が生えた程度の安全度でしか無くなってしまうのです。 耐震等級3も同様に、何もしなければ1.64倍の強さだったのに、地域地震係数を加味すると、耐震等級2程度の1.31倍程度に耐震性が下がってしまいます。

    

 地域地震係数は、地震の確率が少ないという理由から決められているのだろうと思いますが、0.8の地域で起きた福岡西方沖地震などの例のように、あるいは地域地震係数が0.9の地域で見られた新潟中越地震を含む幾多の地震のように、これらの地域だから、地震は起きない。あるいは起きても地震の力は弱いのだ・・というものでもありません。

 もし、この地域で住まわれている方が、
「長期優良住宅は耐震等級2が必須だから地震にも安心だ」
「耐震等級2または3にしておけば地震に対して安心だ」
 というお考えで、耐震等級2または3を目指されるのであれば、
 地域地震係数を考慮しない計算をするように、設計者に求めるべきでしょうね。

 遠い将来、未知の断層を震源とした大きな地震を受けて被害を受け、「おかしいなぁ。耐震等級2で作ったのなぁ・・」と疑問に思いつつ、計算書を精査してみたら、コソッと地域地震係数が入れてあり、地震力を低減されて計算されていた・・ホントの実力は基準法の1.09倍だった・・なんてことにならないように・・ね。
注:単に融資利率のためや、地震保険料低減のためで、耐震性を高くすること以外の目的で耐震等級を理由される場合は、それはそれで良いと思います。


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