外装材は何が良い

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外装材で使うものと言えば、『屋根材』、『外壁材』、そして、『防水材料』でしょうか。

この中にはいろいろな材料が出回っていますが、これらの材料にも早く劣化する材料とそうではない材料があります。
また、瓦をのぞく多くの材料は、15年前後でメンテナンスを必要としています。
材料の長持ち度合いは、どちらかというと価格に比例した関係を持っていますが、一般的な材料の耐用年数を説明していきます。

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最初にお断り(耐用年数の見方)

下記の図では、それぞれの材料の耐用年数が書かれていますが、その年数が経つと材料としてダメになるのではなく、それ以降はメンテナンスに気を使う必要があると考えてください。(人間で言えば60~65才前後の時期を示している)
言い換えれば、『耐用年数』はメーカーや施工者が一般的な使い方をして保証できる材料の使用限度のことで、『寿命』は環境やメンテナンスに左右され、一般的には耐用年数よりも長いです。
材料は、日々のメンテナンスが良ければ長持ちして、指定された耐用年数をはるかに超えて使うことが出来ますし(人間で言えば90才、100才まで長生きしているのと同じ)、メンテナンスをしなかったり、置かれた環境が劣悪であれば、図に書かれている耐用年数ギリギリか、それ以前にダメになる(人間で言えば若くして無くなる、あるいは定年前後になくなる)と考えれば良いです。
そして、ここで説明している材料の年数は、耐用年数を指していますので、ご注意ください。

屋根材は・・

屋根で言うとやはり昔ながらのが圧倒的に寿命が長いですね。
フッ素樹脂鋼板とコロニアル葺きが約30年。
書かれていませんが、ガルバニウム鋼板なら40年程度かも知れません。
ステンレス鋼板の屋根は50年と書かれていますが、住宅では使用されていません。
カラー鋼板は、住宅の屋根材としては今ではほとんど使われていませんが、鋼板に錆止めを施して工場塗装したものと考えてください。
フッ素樹脂鋼板の寿命が長いのは、カラー鋼板と同じ鉄板を使うのですが、鋼板の上に塗る塗料の耐候性が高いために材料としての寿命も長くなっています。反対に、いま流行のガルバニウム鋼板は、鋼板の組成成分を変えて、鋼板自体の寿命が長くなるように作った鋼板です。

はやはり、メンテナンスフリーの屋根材で、50年程度は何もせずに持つと考えておけばいいでしょう。ただし、屋根形状が複雑だと、台風、地震時に瓦がずれたりすると、修理費用がそれなりにかかります。複雑な屋根形状で瓦・・という組み合わせは、むしろ、不測の費用が発生したりしますから、よい組み合わせではありません。
また、軟弱地盤などは地震の揺れが増幅する地質です。 軟弱地盤=地盤補強が必要な土地は、地震対策として瓦ではなく、軽い屋根が良いでしょう。

では、軽い屋根でもカラーベストの系統と、ガルバリューム鋼板の2つの方法があります。メンテだけで考えれば、どちらを選んでも優劣無く、むしろ同じ製品の中でも塗装がしっかりした製品を選ぶと塗り替えサイクルを長くすることが出来ます。高耐候性商品であれば20年前後の塗り替えで十分でしょう。

外壁材の耐用年数

外壁材はが、どんな材料が長持ちしますか。というご質問をよく頂くことがあります。
あるいはモルタルとサイディングとどちらが良いですか・・というのも多いご質問です。
そういう中である機関が、とりあえずの材料のライフサイクルを決めています。それが右の表です。

これによると、住宅関係では代表的なサイディングが40年。モルタル外壁が30年となっていますね。
そして上の表をみるときに注意しなければならないことは、材料でも、厚みが指定されているALCやスパンドレルといったものは、その厚みよりも薄くなると、当然に寿命も短くなります。

そういう意味では、およそ住宅の外壁に使われている外壁材の寿命は、ほとんどが公称30年から40年程度のものだと思っておけばいいと思いますが、今の時代、そんなに材料毎の寿命が極端に違うわけではありません。

特に上の表で30年と書かれたモルタル外壁も、40年と書かれたサイディングもほとんど同じ程度の材料寿命と考えた方が良いと思います。

つまり、モルタルもサイディングも、パワーボードも、金属サイディングも、タイル張りもおよそ住宅の外壁材料自体はほとんど寿命は変わらない。
むしろ、材料を選ぶ目安は、材料そのものの寿命ではなく、その後のメンテが必要なのか、必要でないのかといった部分で選んだ方が良いでしょうね。

注:この資料では、コンクリート打ち放しで100年と書かれていますが、建築物ではなく、よう壁などの工作物と考えた方が無難です。コンクリート打ち放しの住宅が100年もつことは無いと思います。

雨漏りリスクの統計

最近の外壁はその半分以上が「サイディング」で占められ、次が「モルタル」、最後に「パワーボード(ALC版)」や「タイル」が続きます。
そのような外壁材でも、「モルタル」は比較的雨漏りが多いようです。

住宅保証機構等が、雨漏り等の研究で日本建築学会で発表した研究資料では、サイディングの雨漏りリスクを「1」とすると、モルタルの雨漏りリスクは「2.79」まで上がっています。
対して、一番雨漏りリスクが少ないのは、「パワーボード(ALC版)で、雨漏りリスクは「0.3」ですね。
モルタルの雨漏りリスクが高いのは、モルタルそのものがひび割れを起こしやすく、また、サイディングのような外壁通気工法ではなく軸組に直接施工する工法が多く、雨漏りがあればすぐに壁内に侵入しやすいといった理由からです。

雨漏りと厚みの因果関係

また、パワーボードに雨漏りが少ないのは、シーリングを確実に施工できるという製品の特性が大きいですね。サイディングも14mm程度の薄いものよりも16mmと厚くなるほど、耐久性やデザイン性も高くなり、雨漏りリスクも低下します(価格は上がりますが)。

防水材料は・・

防水方法で、一番長いアスファルト防水(保護モルタル仕様)30年というのは、住宅では鉄筋コンクリート造の大成パルコンの住宅以外は使われていません。
住宅のバルコニーなどで多く使われているのが、FRP防水シート防水ですが、寿命はそれぞれ15年程度ですから、その前後には防水層の全面やり換えを考えておく必要があります。

注:屋根材と防水の大きな違い
屋根材は、長持ちをさせようと思えば瓦屋根でなくても、メンテ次第で、建物の寿命である35年から40年程度持たせることは出来ますが、バルコニーの防水に関しては、基本的にどんな防水工事をしようが、雨が直接吹き込みパネルニーでは、15~20年程度経つと目に見えない部分で劣化が進みますから、建物の寿命である35年から40年も持つ防水材はありません。

外装材のメンテ時期、費用の目安

絶対的優劣はつけがたいのですが、
屋根は軟弱地盤でないなら瓦でメンテナンスフリーを企む。
軟弱地盤ならカラーベスト又はガルバリューム鋼板の高耐候性タイプの屋根材で塗り替えサイクルを伸ばす。
外壁は、モルタルよりは、サイディング又は、デザインの選択の幅が少ないですがパワーボードの方がメンテコストは少なくできる。
ガルバリューム鋼板の外壁もサイディングとまったく同じで、いくら鋼板自体の耐候性が高くてメンテ不要でも、窓周りなどのシーリングの打ち替えは10~15年に一回は必要になります。
つまり、外壁はどんな外壁を選ぼうが、10~15年に一度は足場を立ててメンテをする必要がありますね。でも意外な穴場は、パワーボードです。この材料はデザイン性は悪いですが、メンテだけを考えればトータルバランスの取れた優良材料ですよ。
注:あくまでもメンテ費用の優劣です。

年令とは、35才で家を建てた人の年令を仮定した
建物年令とは、筑後年数のこと

費用の目安(2階建て30坪程度の家)

・サイディングは、シーリングの打ち替えと高圧洗浄・・・45万円
・モルタルは、高圧洗浄と再塗装・・・・・・・・・・・・80万円
・パワーボードは、シーリングの打ち替えと再塗装・・・・90万円
費用は、樋や軒天など付属物の多少、建物形状によっても差が生じます。

★サイディング
サイディングの弱点はシーリングです。シーリングが劣化したときがメンテ時期とも言えますが、概ね10年を過ぎると「シーリングの打ち替え+サイディング表面の汚れを落とす高圧洗浄」が必要になります。
★モルタル
モルタル表面に塗られた塗装の劣化次第です。
塗装も防水の一翼を担っています。表面の塗装が劣化するとモルタルにも雨が浸透しやすくなります。メンテの時期は塗装の値段に比例します。安い塗装ほど塗り替え時は早くなります。
★パワーボード
シーリングも劣化しにくく、パワーボード表面に塗られた塗装も厚みのある吹きつけ塗装が多いですから肉厚で、劣化の進行も遅いです。本来パワーボードに打たれたシーリングの保証期間は10年ですが、シーリングの厚みが厚いので劣化の進行も遅く、そういう意味で上の図の時期まで『メンテを遅らせても大丈夫だろう』と言うことです。
■注意-1
よく屋根材メーカー、外壁材メーカーのメンテのしおりなどを見ると、非常に早いサイクルでメンテ時期を示していますが、これはメーカーにクレームが来ないように早め、早めのメンテ時期を示しているだけで、現実的なメンテ時期ではありません。実際には、もっと遅いタイミングでメンテナンスをしています。
ただ、サイディングなどではシーリングの劣化を放置すると雨漏りを誘発します。最近は、完成時にメンテの説明を受けていない方も多く、この手のトラブルが増加中です。
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