住まいの性能 基礎知識住まいと法律・タイトル

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●性能表示制度ダイジェスト
はじめに
構造の安定性(耐震性)
火災時の安全性
光・視環境
劣化の低減(耐久性)
維持管理の配慮
温熱環境(省エネ性)
空気環境(シックハウス)
高齢者への配慮
音環境
防犯に関すること

●住宅性能と記号
○断熱系
C値 :相当すきま面積
K値 :熱貫流率
Q値 :熱損失係数
○防音系
L値 :床の遮音等級
T値 :サッシの遮音等級
D値 :壁などの遮音性能
○木材系
D1材:木材の耐久性区分
KD材:乾燥木材
○地盤系
N値 :地盤強度の指標
○シックハウス
Fc値:ホルムアルデヒド

●住まいの防犯対策
ドロボウの手口と侵入口
防犯対策の基本
それぞれの場所の防犯対策
ガラス知識・CPマーク

●住宅の防音と遮音
音とは
2世帯住宅と防音
外部からの防音と遮音
マンションの防音

●性能ミニ知識
長期優良住宅

 
長期優良住宅

 これからの時代は、使い捨てでなく長持ちする建物が求められる時代です。
 そして、これからの長寿社会で自分の寿命よりも住まいのほうがさきにくたばってしまっては困りますね。

 その様な時代背景を受け、平成21年6月4日から、新しい制度として「長期優良住宅制度」というものが始まります。一時200年住宅といわれていたものを制度化したものです。

 似たような制度に性能表示制度いうものがあります。これは、耐震性や耐久性(劣化の低減)、維持管理、断熱性など8つの項目に対して、自分が取得しようとする性能を決めて設計し、それを設計段階と工事段階でチェックしてもらう制度がありましたが、この制度では次のようなメリットがあります。


■バランスが取れた建物性能が取得出来る。

 いちいち性能を自分で考えなくても、たとえば耐震性は等級2以上。維持管理や耐久性は最高等級。断熱性は次世代省エネルギー仕様にしなければならないなど、制度そのものが必要な仕様を決めているために、あれこれ考える必要もなく、この制度を利用するだけで建物を長持ちさせる仕様が盛り込まれています。


■税制面で優遇され、優遇金利がある。

 建物の登記をするときに必要な登録免許税が、通常0.15%の税率が0.1%になります。そして、建物の不動産取得税の控除額が増える。普通1200万円の控除額から、1300万円の控除に100万円増えます。さらに、建物の固定資産税の減税期間が伸びる。 普通、固定資産税の住宅減免期間は3年なのですが5年間に延長されます。
 所得減税が100万円上乗せ。 500万円の所得減税に100万円をプラスする所得減税が打ち出されています。

 金利面では、フラット35Sが使え、フラット35Sを使うことで、当初5年間年0.3%優遇されます。


中古住宅として売却するときでも、「長期優良住宅」としてのお墨付きを見せることが出来る。

 丈夫な造りをしています。と言うだけでは誰も信用してもらえませんが、「長期優良住宅」で作ったと言うことが分かれば、右に書いたような性能面がはっきりしていますから、アピールできるポイントとなります。 


■業者の値踏みにもなる
 この制度を使うためにはある程度の技術力が必要です。サポートサービスの事例でも耐震等級なんかあることも知らずに漫然と耐震設計(耐力壁などの配置)をしている設計者が数多くいます。
 そんな設計能力の低い業者は工事監理も下請け任せになりがちです。「長期優良住宅」の制度が使えるということは、一定の技術力が備わっていると考えることが出来ますから、一種の業者の値踏みに使えます。

長期優良住宅の仕様は、
耐震性、耐久性、維持管理、断熱性など建ててからでは変更出来ない住宅の骨格となる、見えない部分の性能を高めています。


■必要な仕様(建物の性能)
 では、この「長期優良住宅」の仕様は、どの程度のものが必要なのでしょうか。それを簡単に表したものが下表です。

長期優良住宅・図1

 耐震性は耐震等級2。劣化対策と言われる耐久性の関する仕様は最高等級の等級3。維持管理の仕様も最高等級の等級3。そして、省エネルギー性向をしめす断熱性も最高等級の次世代省エネルギー仕様が必要となっています。
 言い換えれば、これらの仕様は、建物が建った後でやり換えが出来ない、そして、隠れてしまう部分がほとんどです。

 建物の骨組みをしっかりさせて、長持ちするように・・という仕様ですね。
注:水セメント比の指定は、木造住宅では任意事項です。

■平均的な住宅との違い
 次に、平均的な住宅の仕様とどのように違うのでしょうか。
 いわゆるハードルの高さですが、平均的な住宅の仕様という統計データそのものが無いために、ここでは当サイトで行っているサポートサービスの住宅1500件のデータを平均的なデータとして考えてみます。
 そうすると下の左図のように、大手ハウスメーカーではほとんどが標準仕様として耐震性・耐久性、維持管理、断熱性などは最高等級となっていますが、大手ハウスメーカーでも仕様の低いものや、他の一般的な住宅会社の平均的な仕様、特に建売系や建築条件付きなどの建物では、右図のように、耐震性は概ね等級2程度の実力があるものの、断熱性、耐久性の面ではワンランク下。維持管理では等級1と及びません。

長期優良住宅・図2

■ハードルを越えろ!!
 耐久性(劣化の低減)、維持管、そして、次世代省エネルギー仕様までもしなければならないとなるとなにかハードルが高そうですが、そうでもありません。上の平均的な仕様からなにをプラスすればよいのかをシミュレーションしてみましょう。
耐震性
 平均像は、耐震等級2程度の実力を持っているのですから、工事のコスト自体はほとんどかかりません。+10万円
耐久性(劣化の低減)
 サイディングではほとんどの場合追加費用無し。外壁モルタルなどの湿式の外壁の場合は、外壁通気工法とするために、専用の通気可能な防水シートを使う必要がありますから、少しアップします。+数万円
維持管理
 これは、さや管方式の排水管にかえればクリアするような状態ですから、これもあまりコストアップはありません。 +数万円 ★断熱性
 もっともコストがかかるのがこの仕様ですが、でも断熱材に凝らなければサッシは、普通のアルミサッシで良く、ペアガラスも今時標準ですから、後はもっとも安いグラスウール系の断熱材の厚みを増せば良いだけです。+30万円 (W地域の時)

■大手ハウスメーカーは標準仕様化の流れ!!
 (社)住宅精算団体連合会という業界団体が、「長期優良住宅」に仕様変更するためには、木造住宅で33,000円/m2もの費用がかかると試算しています。105m2(35坪)の住宅なら346万円もの追加工事が必要・・となり、−坪当たり10万円のアップ−ですが、こんな馬鹿げた費用はありません。
 業界団体のため、消費者が見たときのことを考え、このような過大な費用を演出しているのでしょうが、あまりに大げさで非現実的な数値です。

 土台も防腐塗料ではなく、ヒノキの芯持ち材を使おう。柱は総檜だ・・。断熱材は良い物を使い、サッシは樹脂サッシを入れよう・・・と言い出せばきりがなく、限りなくコストは上がっていくのは仕方ありませんが、「長期優良住宅」制度の最低限の仕様をクリアさせればよいのであれば、外壁サイディングで平均的な仕様の建物(建築条件付きで売れている平均的仕様)では、かかるコストはせいぜい4〜50万円程度のアップなのです。

 そのためか、大手ハウスメーカーでは、「長期優良住宅仕様」を次の商品戦略のひとつにしようと、新たな新商品の広告が行われようとしています。


長期優良住宅で、老後の建て替えを愁うことなく、
一生を終えるまで住み続けられる我が家にしよう。

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問題点申請後は誰も見ていない
 でも、制度の建前は立派でも落とし穴もあります。それは、書類審査をするだけで現場審査は行われないことと、点検計画を提出する必要はありますが、細目は全て建て主に任せられており、点検も自主点検です。

 つまり、工事で手抜きをしようが、間違った施工をしようが、完成後の点検が行われていなくても、形の上では申請のとおった「長期優良住宅なのです」



 少し仕様を細かく見てみましょう。


維持管理、劣化の低減−等級3
 『維持管理の配慮』の等級を3にするのは難しいことは何もありません。
 基本は
長期優良住宅・図31.基礎コンクリート内に給排水管を埋め込むな
 さや管方式の排水管を使い、給水管はヘッダー方式を作用するだけ。でも給水管のヘッダー方式はほとんどの住宅会社が採用していますから、後は排水管をさや管式にするだけです。材料費のわずかなアップだけです。(右の写真)
2.2階に給排水を持ってくるなら、その下に点検口を作れ。
 排水管などを下から見られるように1階の天井に点検口を作るだけですから、これも1万円程度の費用アップです。
3.縦管があるところは、点検口を作れ。
 これも塩化ビニールの壁用の点検口が市販されていますか、点検口代1カ所わずか数千円のアップです。  代表的で大事なものを書くとこれだけのことをすれば良いのですから、等級3にするためには、要所に点検口を作るという設計上の配慮と、排水管をさや管式に変えると言うだけのことなので、数万円のアップ程度で十分に対処出来るのです。長期優良住宅・図4
     

 上の事以外にもちろん、土台はヒノキ、柱もヒノキ・・・なんて素材に凝っていけば値段はうなぎ登りです。この制度の目的は、最低限の建築材料を使っても、50年程度は十分に長らえる建物・・という感覚で捉えた上で、別の視点として素材の吟味を行った方が良いでしょう。

 なぜなら、今の建物はいくら木材が長持ちしたとしても、建物に使っている金物などの金属類の腐食対策はまだまだで、木材よりも金属類の痛みが早くなってくる可能性が高いのです。(そのために、金属、金物の腐食対策をしない限り200年持つ住宅というものは現実に不可能です)

 


次世代省エネルギー仕様−等級4
 長期優良住宅の使用をクリアする上で、もっともコストがかかりそうなのが、「次世代省エネルギー仕様」のクリアなのですが、これも案外難しいものではありません。
 次世代省エネルギーの仕様を外から見ていると、なにか難しそうに感じるのは、実はいろいろな仕様が混ざり合って販売されており、ハウスメーカーによって次世代省エネルギー仕様のギリギリの断熱性能から、非常に高い断熱性能を持っている建物まで、一緒くたに次世代省エネルギー仕様と言われているからなのです。

 その一端を下の表にしてみましたので見てみましょう。  コスト算定の前提は、
・省エネルギー仕様のレベルがある(建売レベル)
・W地域・・関西、関東、中四国、九州地方の住宅という前提です。

     長期優良住宅・図6


・断熱材
 これも種類を上げればきりがありません。最も価格の安いグラスウールから、ロックウール、ウールなどの天然素材、スタイロフォームに代表される板状断熱材、現場で吹き付ける発泡ウレタン、あるいはセルロースファイバー等々、コストもバラバラですが、もっとも安いグラスウールを中心とした場合であれば、端熱材の厚みを増せば良いだけなので、+20万円内外のアップで可能になります。
・サッシ
 サッシのいろいろありますね、一般的なアルミサッシから、樹脂サッシ、木製サッシになるほど断熱性能も上がる代わりに、断熱材のアップよりはるかにコストアップになっていきます。でも、高いサッシに変えなくても、普通のアルミサッシで次世代省エネルギーはクリアするんですよ。
・ガラス
 最高レベルはトリプルガラスですが、ペアガラスでも次世代省エネルギーはクリアします。
・防湿気密シート
 次世代省エネルギーを調べた人なら、誰もが気になる気密シートを設けろ、気密値はいくらまで・・という規定は、実は今回の改正(平成21年4月)から無くなりました。
 そして、グラスウールなどの繊維系断熱材を施工する場合は防湿シートを設けろ・・というに規定が変わりました。まぁ、断熱材に付いている防湿層を使っても良いわけです。つまり、世の工務店が多く競い合っていた気密化競争など意味が無くなったのです。
・換気システム
 換気システムの規定は特にありませんから、24時間換気の換気システムで最低限はクリアしています。

・クリアさせるだけなら、30〜40万円アップのみ
 標準的な断熱性能(等級3の省エネルギー仕様レベル)が備わっており、アルミサッシにペアガラスの建物なら、24時間換気など法的な義務ですからあって当然。つまり、断熱材の厚みのアップと防湿シートの施工をキチンとする程度のアップだけで、最低限の次世代省エネルギー仕様はクリアするのです。

■省エネ法の法改正  
  平成21年の4月から、省エネ法が改正され、 ・気密性能の規定が無くなった ・玄関土間の断熱などは省略出来る ・床面積の2%までの窓は、ペアガラスにしなくても良い などなど、規制が緩和され、次世代省エネルギー仕様の敷居も低くなっています。
 簡単に言うと、W地域では、ペアガラスが標準ついていれば、断熱材の厚みを増やすだけで、ほとんど次世代省エネルギー仕様をクリアさせることが出来る・・と考えればいいでしょう。

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