見積は誰もわからない

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サポートサービスを受けられ、建築会社からの工事見積書をとられていた方から、今までのブログをみて、下のようなメールをいただきました

『堀さんのプログを読みましたが、あれを読むと業界の価格透明性はあまり期待出来ず、ムリにがんばらないことにします。』

このメールの中の『価格透明性』という言葉を見たとき、正直、『ハッ』という驚きを覚えました。それがこのページのテーマなのですが・・・

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誰も見積書の比較を出来ない。

私たちがものを買うときには、誰もが価格の目安を知っていますし、比較しながら買うものを決めていきます。一例を挙げましょう。

・自動車、中古車、旅行代金、ホテル代、衣料・食品等々スーパー、小売店で売っている商品はすべて価格がオープンで比較出来ます。

つまり、ほとんどの商品やサービスは、いつでも、どこでも、誰でも消費者であろうと、供給者であろうと公平に価格を比較することが出来るのです。

例外として、医療費がいくらかかるのかはなかなか想像は出来ませんが、でも健康保険制度によって公正な医療費用(点数制)になっています。ある病院は手術代も薬代も安いが・・この病院は高いなんて医療費の差はありませんね。

では、工事の見積書はどうでしょうか。
もし、あなたが4社から見積もりをとれば、その中身を知っているのはあなただけです。

もちろん、それは当然なのですが、見積書を提出した4社それぞれは、自分以外の他社がどんな価格なのかを一切知ることが出来ません。

逆に言えば、それぞれの工務店、ハウスメーカーは、他者の価格を全く知らずに、想像をめくらして見積書を書き、競争をしているのです。

「価格透明性」という言葉を聞いたとき、「そうだ。見積書を出している業者自身すら、相手の価格を知るよしもない」

つまり、上に紹介した商品やサービスのように、誰もが競争相手の価格を知る機会など全くない、極めて閉鎖的な仕組みで動いているのです。

価格がわかりやすい。比較出来る。透明性がある・・・というのは、お互いに価格を公開している場合に限って言えることですね。それは、市場で当事者であるたとえばメーカーも知ることが出来る。エンドユーザーも知ることが出来ることですね。

でも、そもそも、そういう仕組みがないのですから、各社各様の勝手な見積書がまかり通るし、以前ご紹介した坪単価水増しや項目分散、あるいは「見積書にはストーリーが隠されている」といった透明性など確保のしようのない仕組みが生じているのです。

言い換えれば、あなたに提出した価格と違う人に提出した価格は違っても、誰も分からないのです。そうでしょ。

このように考えてくると、工事の見積書は、私たちの日常の消費生活とは、全く異質な世界なのです。

少なくとも「工事の見積書は、見積書を提出する工務店やハウスメーカーですら、自社の価格が高いか安いかを公正に比較出来ない。

ましてや、それを見る建築主にいたっては、物差しなど無く、その価格を始めて見るのですから、もともと比較のしようのないものなのです。

簡単に言えば、『見積は誰もわからないものなのだ。』とも言えるのです。

変な話ですが、分からない・・と言うことに自信を持ちましょう。
そして、そういうときのとっておきの奥の手があります。
それは開き直りです。
そして何よりも、あなたに提示された金額は、あなたに対してでしかないのです。

わからないものだ、と開き直れ!?

 

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