阪神大震災を契機として2000年に大きな法改正が有り、10年保証や性能表示の創設、耐震性の向上などが図られ、その後は住宅エコポイントなどの制度によって省エネ化が進むなどこの15年、20年で住宅は大きく変化しています。その足跡を少し振り返ってみます。
■最初は浸透しなかった
2000年に品確法が作られ、新築住宅の10年保証と性能に対する等級基準が作られました。この法律で「性能」を考える住宅に大きく舵を切ったと言えます。しかし、なかなか性能表示は浸透しませんでした。
■3つの制度で動き出す
ところが、数年はあまり進展が無かったこの法律も、2008年から2010年にかけてつくられた「長期優良住宅制度」「かし保険制度」「住宅エコポイント制度」などで大きく動き出しました。。
「長期優良住宅制度」と「住宅エコポイント」は、建築主にも税制優遇や還元金などメリットがある制度です。「かし保険」制度は、2000年の「10年保証」が実効性があるようにした制度で、「工事の仕様規定」が設けられ、かつ、個々の建物に対して「配筋検査」が義務づけられました。
その結果、2000年の「性能表示制度」だけでは浸透しなかった仕様が、この3つの制度のおかげで劇的に浸透するようになりました。
■建物性能の高性能化
その結果、全体としては耐震性の向上。断熱性能の向上。耐久性の仕様も向上し、全体として建物性能が上がっています。
今では平均的に、大手であれば耐震性、耐久性、断熱性は全て最高レベルが当たり前。大手建売系でも、耐震等級2。耐久性と断熱性能は最高レベルというのが標準仕様だ、として販売している会社も多いです。
また、2005年頃には構造規定が変わったことも知らずに、耐震金物の計算も出来ない業者、設計者もいましたが、今ではそういう業者を探すのも難しくなりましたし、基礎工事で変な配筋をする業者は無くなりました。
いいかえると、3つの制度。その中の建築主にメリットがある2つの制度は普及も早く、建物の性能を高めることに大きく貢献しました。そして、検査など実効性のある制度も不良な施工をなくす大きな要素になりました。
その結果、10年前と比べても今の住宅の質は良くなっていますし、20年前と比べれば格段に良くなっています。
■なお、耐震性に限っていえば、右の図のように少しずつ耐震性は強化されていき、2000年以降耐震等級という制度が出来てから、少しずつ浸透し、今では、大手は耐震等級3で建てるのが当たり前。それ以外の住宅でも耐震等級2前後の実力を持っている住宅も多くなっています。
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