確認申請とは

建物を建てようと思えば、工事の着工前に「建築確認」を役所に提出して審査を受けなければならない。と言うことぐらいは、多くの方が聞きかじったことがあると思いますが、そういうことは知っていても、意外とその中身を正しく知っている方は少ないので、少し予備知識を知っておきましょう。

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建築物に関わる代表的な法律

住宅を建てるには、いろいろな法律の規制を守って建てる必要があります。
住まいに関係する代表的な法律を例に挙げておきましょう。

都市計画法用途地域、建ぺい率や容積率などの規制
宅地造成規制法崖のあるような地域での宅地のよう壁などの規制
建築基準法建物そのものを規制する法律ですね。
建物の構造、耐久性、防火、シックハウス、避難など
消防法戸建て住宅ではほとんど関係しませんが、マンションなどではいろいろな規制が設けられています。

建築確認の目的

建築確認では、これら建築物を取り巻く法律に、その計画が適合しているかどうかを「確認」する事を行っていることから、「確認」という言葉が使われ、一般的に「建築確認」あるいは「確認申請」という「確認」という言葉を含んだ二通りの言い方で呼ばれています。
建築確認とは、設計図書の中身が法律に合致しているかどうかを確認する行為であって、建物を許可すると言った意味の許可や許認可ではありません

また、建築確認を申請すれば、「都市計画法」と「建築基準法」が審査され、宅地造成規制法や浄化槽を設置する場合の手続き、あるいは消防法といったものの規制を受ける建物では、建築確認申請の前に審査されています。

建築確認は何を審査しているのか

さて、建築確認は何を審査しているのでしょうか。
の表は、戸建て住宅などで審査されている代表的なチェック項目です。

審査項目木造2階建てプレハブ住宅木造3階建て
重量鉄骨造
鉄筋コンクリート造



地盤補強などのチェックは×*1
この建物の耐震性は×*1
この建物の耐久性は
土台や柱の樹種、防腐処理など
×
この建物の断熱性能は
断熱材が入っているかどうかや厚みのチェック
×
この建物のシックハウス対策はされているか
この建物の24時間換気は設けられているか



容積率はオーバーしていないか
建ぺい率はオーバーしていないか
斜線の関係はオーバーしていないか
道路に接した敷地であるかどうか
この建物の防火の関係は大丈夫か

*1・・チェックはしていますが、建築基準法の耐震性をクリアしているかどうかの審査であって、耐震性の高い低いの評価はしていません。

上の表の左側に単体規定と集団規定と書かれていますが、集団規定とは、その規定を守っていなければ他の敷地や建物に迷惑を与えるような建ぺい率や容積率、斜線制限などを言い、単体規定とは、個々の建物だけが対象でその規定を守らなくても他の敷地や建物に迷惑をかけないような規定を指しています。

そして、上の表を見てのとおり、建築確認では、その建物固有の問題(単体規定)である耐震性や耐久性、断熱性等の審査は、3階建てなどの構造関係以外はほとんどしていないのが分かりますね。つまり、建築確認を提出したからと言って、なんでもかんでもチェックしているわけではないことを知っておきましょう。

確認申請はどちらかというと、集団規定という他に人に迷惑をかけるような部分の審査が中心だ。と言うことですね。

どこで審査しているの?

平成12年に建築確認の窓口も民間開放され、国から認定を受けた多くの民間審査機関が活動し、今では役所の審査窓口によりも民間の審査機関に多く申請されているようです。また、フラット35等の申請時も、建築確認と同じ窓口で処理される例が多いです。

なお、役所だから、民間だからということで審査内容が違ったり、目こぼしがある、と言ったことはありません。基本的にどこに申請しても審査内容も審査レベルも基本的には同じです。ただ、都市部に行くほどシビアな審査で、地方に行くほど鷹揚・・といった大雑把な傾向があります。(注:脱法という意味ではないですよ。)

それは、近隣トラブルに敏感な都市部と、トラブルそのものに鷹揚な地方という社会性そのものの違いでしょうね。

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申請者は誰か?

建築確認を提出しないと工事がスタート出来ない、と言うことを知っている人は多いのですが、誰が申請者なのかを意識している人は非常に少ないのが現実です。
建築確認の申請者は、「あなた(建築主)」です

例外は、間取りも全て決まって変えられない、本当の建売、分譲住宅以外は、注文住宅はもちろんのこと、「フリープラン・間取り自由」という「建築条件付き」にしても、申請者は 「あなた(建築主)」なのです。(間取り変更が出来ない建売、分譲住宅だけが、申請者は売り主になります)

建築確認の費用(審査機関に支払う手数料)

法律では料金の上限が決まっているだけで、今では審査機関によって多少の金額の幅がありますが、概ね下表の通りです。ちゃっかり見積書の中にも、下の費用(審査機関に支払う手数料)+設計事務所の手続き手間といった費用も含められて計上されているいるはずですよ。

東京都の申請手数料(例)

申請中間検査完了検査合計
30m2を超え、100m2以内9,40011,00011,00031,400
100m2を超え、200m2以内14,00015,00015,00044,000
200m2を超え、500m2以内19,00021,00021,00061,000

審査期間は、多少の幅がありますが、木造2階建て程度なら2週間程度、木造3階建てなら、4週間程度でしょう。

完了検査は義務

ところで、建築確認とセットなのが「完了検査」です。
「完了検査を受けずに建物を使用した建築主は、懲役1年又は100万円以下の罰金」なんていう法改定も行われています。(主として住宅以外の建築物に対しての措置)

ただ、金融機関によっては、「完了検査済み書」が融資実行のための提出資料の一つとなっている銀行もありますから、要注意の一つです。

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ちょこっとCOLUMN

建築確認と確認申請

建築確認も確認申請も意味は同じです。
主として不動産業者と言われる人達の間では、「建築確認」あるいは略して「建確(けんかく)」と言う場合が多く、住宅以外の設計を本業としている設計事務所の間では、「確認申請」といっている場合が多いと思います。言っていることは同じです。

まぁ、不動産業者の中には、自分が申請するわけでも、その知識を持っているわけでもなんでもないのですが、さかんに「けんかく」「けんかく」という省略した言葉を用いて、『この後は建確を出して、着工はえ~っと・・』と、さも自分は何でも知っている業界のプロだ~的なニュアンスを漂わす、ええ格好しぃ~の営業マンも多いですね。「建確」「建確」と多用する人ほど、何かを省略した専門用語を片っ端から並べ立てることでしか、自分をそれらしく見せかけることが出来ない底の浅い人間と見ておいた方が良いですよ。

トラブル対応はしてくれるのか・・NO!!

もし、工事中にトラブルがあったときに建築主の味方になってくれるのか、ということが気になりますが、 建築確認を提出した役所の窓口、あるいは民間の審査機関とも、トラブルには極めて及び腰です。
隣地の建物は容積率違反だ~といった、上で言う集団規定(よそ様に迷惑をかける規定)の違反には飛んできますが、建築主と建築会社間の工事上のトラブル(当事者同士の問題)には、ほとんど出てきません。「お宅の工事監理者とよく相談してよ~」でお茶を濁されてしまいます。

いざというとき、全くアテにならないのが役所であり、審査機関だ、と言うことも知っておいた方が良いかも知れませんね。

代願(設計)事務所-申請の専門家

いろいろネットを見られている方は、この言葉を聞かれた方があるかも知れませんね。代願(設計)事務所とは、建築確認の申請を専門に行っている設計事務所のことです。
建築確認というのは、難しいようで、慣れるとほとんどルーチンワークです。また、審査機関のクセなどもあるため、数多くその審査機関に申請をしている者ほど、そのクセをわかり、申請作業も漏れなく進み、早く済ますことが出来ます。大手ハウスメーカーでさえ、効率を考えて、設計そのものは自社の設計担当者が図面を書いても、建築確認の申請自体は、そういった建築確認という業務に特化した設計事務所に外注する会社もあるのですよ。

まぁ、商売!商売!
設計事務所と言っても、いろいろなタイプの事務所があるのです。

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