不動産広告の種類と信頼度

土地や中古住宅、分譲住宅など不動産の情報源としては新聞の折り込み広告を代表的なものとしていろいろな広告があり、下のようなものに分類されますね。そしてほとんどはあまり苦労をせずに手に入れられるものばかりです。

でも、その情報源には、一定の長所、短所があると同時に、「おとり広告」で代表されるように危険な広告も中には存在しています。そういう意味では同じように見える広告でも、信頼度もまちまちなのです。

正しい事を伝えている広告。客の目を引くことだけが目的の広告等々、広告にも信頼度があるということを知って、うまく広告と付き合うと大きな失敗をすることはありません。

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広告や情報の種類と信頼度

広告や情報の種類内容信頼度
新聞本体に載せられる不動産広告新聞の本体に掲載されている不動産広告。マンションや大規模分譲地など大規模で長期的なスパンで営業活動をしている物件に多い。
広告内容は新聞社本体がチェックしているために広告のルールに準拠した広告が出される。
新聞の折り込み広告大手不動産業者から、地元の零細業者まで雑多な情報が手に入る。
不動産会社が地元の新聞販売店に依頼して入れるため、広告物そのもののチェックはされていない。
△~○
ポスティング広告不動産会社が直接その地域の住宅のポストに入れる広告形態。
近くに建てているマンションの購買を求める大手マンションメーカーのまともな広告から、悪質不動産会社のおとり広告まで多様。
×~◎
住宅情報誌(有料)開発の事前情報から、販売中の物件まで多種多様な情報が載せられている。
住宅情報誌(無料)有料のものは、駅売店などで売られ、無料のものは、飲食店その他店舗の店頭に置かれているものが多い。
不動産業者の店頭店頭、あるいは店内にある手持ち物件情報。
広告に載せられていない物件も多数ある。
インターネット情報最近多くなっている広告形態。
だれでも、いつでも見られる。
住宅サークル
(友の会)
大手不動産会社が作っている交流組織で、入会金、会費は原則無料。会員になれば、その不動産会社の会員誌や発売予定物件などが送られてくる。

信頼度の意味
◎・・・広告の法律やルールに遵守した広告を載せている
○・・・概ねの広告がルールを遵守しているが、中にはそうでない広告もある
△・・・広告のルールを遵守していない広告も多い
×・・・おとり広告など違法な広告掲載をしている

信頼度の意味

不動産広告には一定のルールが設けられています。それは、「宅地建物取引業法」、「不当景品類及び不当表示防止法」という法律と「 不動産の表示に関する公正競争規約」(表示規約)」というルールですが、上の広告の中には、これらの法律やルールを守らずに掲載している広告が少なくありません。

そのため広告自体の信頼度は次のような状態になっています。

◎印はこれらの法律やルールを完全に守って掲載された広告。
これを見るとある特徴に気づきませんか。それは、有料である新聞本体の広告と有料である住宅情報誌に◎印がついていますね。これらに掲載された広告は、上の3つの法律やルールを完全に遵守した広告が掲載されています。その理由は、消費者が有料で手にする広告媒体であるために法律で決められた事を書かずにその広告を見て買い手が損害を被ると、その有料媒介(新聞社や住宅情報誌等)が訴えられるおそれがあるため、広告を載せる媒介側(新聞や有料情報誌)も広告内容のチェックをしていると思われます。

ところが、新聞の折込広告や無料の住宅情報誌などでは、必ずしも広告のルールに基づいて掲載されている広告ばかりではありません。特にポスティング広告になると、大手マンションメーカーが近くに建てるマンションのチラシを入れるといった真っ当な広告から、単に値段だけでおびき寄せて実際にはその物件が無いという悪質な不動産業者のいわゆる「おとり広告」も含まれ、危険な広告の割合が増えていきます。

違法な広告例

下の広告は右側の広告が違法な広告なのですが、知識がなければ何が違法なのか誰も分かりませんね。

どこが違法なのかというと、宅建業法では、「建築確認が通っていない建物は、広告も契約もしてはならない」という決まり(法令)があります。この広告では「フリープラン」と書かれていますから、間取りも自由に決められる。・・・と言うことは建築確認はまだ提出されていないのですから、建物の広告をすることは禁じられているのです。

正しい広告は左側のように、土地の価格を記した上で、建物の価格は参考程度に書くのが正しい方法です。でも、このように宅建業法という国が決めた法律すら、平気で破っている広告が多いのです。
たぶん巷の広告の半分近くがそうではないでしょうか。

正しい広告違法広告

注:違法な広告は、建築条件付きに多い
違法な広告や買い手に不利な契約を迫ると言った営業行為は、土地売買や分譲住宅・中古住宅ではなく、建築条件付きの販売で数多く見られます。

広告の信頼度と業者の信頼度

では、なぜ違法な広告か、そうでない広告だということを知っておいた方がよいのでしょうか。
それは、違法な広告をだしてまで販売している不動産会社は、他の部分でも違法な行為に手を染めている可能性が無いとは言えないからです。

そして、そうやっている多くの不動産業者が、「建築条件付き」の意味を説明せず、自分たちに有利で、買い手に不利な、土地と建物の同時契約を勧める傾向があるからです。

非常に簡単に分けると、広告と不動産業者の関係には

  • 正しい広告を出し、正しい営業方法で仕事をしている不動産会社
  • 不正な広告を出すが、正しい営業方法で仕事をしている不動産会社
  • 不正な広告を出し、不正な方法で契約を進めている会社

の3つのタイプの会社があると言うことを知っておくことが大事なのです。

レインズ(REINS)

不動産の情報は、上のような消費者が直接取得出来る情報だけでなく、不動産会社を結んだレインズというネットワークを間接的に利用することが出来ます。

要は、自社だけでなく他社が扱っている情報を広く知ることが出来る情報ネットワークですね。このレインズは登録された不動産会社からのアクセスだけしかできませんが、折込チラシや不動産会社の店頭にない物件でも調べることが出来ます。

注:レインズとは、全国の不動産業者をリアルタイムオンラインで結んだネットワークで、宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣の指定を受けた「指定流通機構」である全国4つの公益法人によって運営されています。(東日本、中部圏、近畿圏、西日本の4エリアに分けられています)

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ちょこっとCOLUMN

建築条件付き販売の落とし穴

不動産広告の中でもっとも多いのが「建築条件付き」の宅地販売ではないでしょうか。ところがこれらの広告の概ね半分程度の広告には、「建築条件付き」の意味や仕組みを全く載せず、買い手に不利益な同時契約を迫る不動産業者が後を絶ちません。

「建築条件付き」と土地では、土地と建物の契約を同時にする必要はなく、土地だけの契約をした上で、3ヶ月程度の期間を設けてゆっくりと建物の間取りを考え、仕様を確認し、あるいは追加工事の見積もりをとることが出来るような販売形態なのですが、その説明を広告で一切しないために、不動産業者が消費者の無知につけ込み、土地と建物の同時契約を迫り、買い手にとって不利な立場に立たされた契約をしてしまうのです。

一応安心な会社って?

上の図にある「一応安心出来る不動産会社」とは、広告の掲載内容は違法な内容で書いているが、営業活動は法律に則して行っている会社で、奇異に感じるかも知れませんが、折込広告など市場に出ている広告は、現実的には広告内容を逐次チェックするような機関はありません。

そのため、正しい広告を掲載方法を熟知せずに違法な広告を掲載していても掲載した会社はそのことに気づかず掲載しているという場合があります。あるいは広告で顧客を引き寄せたいために気づいていても気がつかないフリをして違法な広告を載せているが、営業行為では法律に則した行為をしている・・と言う会社があります。

いわば、本当の悪になりきれないが、チョット悪さをしたい気がある会社と言えます。

広告チェックは誰がしているのか?

でも書いているように、行政側で広告のチェックをしているところは無く、社団法人不動産公正取引協議会がモニター制度として広告物のチェックを募集したモニターに依頼していますが、実態は「チェックしている」という名目だけを果たそうとしているに過ぎず、有効に広告物をチェックしているという状態ではありません。

つまり、誰も広告物のチェックはしていないと考えておきましょう。

上でも説明しているように、広告の信頼度は業者の信頼度につながります。戸建て住宅の一時取得で最も多い「建築条件付き」の販売方法については、下のページでも説明していますので、十分にその意味を確認しておきましょう。

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