耐震性、耐久性、断熱性比較

ここでは、それぞれの工法を耐震性や耐久性、リフォームの容易さといったいろいろいな視点からその比較をしてみましょう。

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耐震性・・地震への強さ

すべての工法で、耐震等級3は可能。しかし・・・・

耐震性には、建築基準法をクリアした程度の強さを持った建物から、性能表示の耐震等級3(基準法の1.5倍の耐震性)をクリアする建物までありますが、すべての建物は、耐震等級3をクリアすることは可能です。

しかし、ここでは、計画時にあまり考えずに容易に耐震等級3程度をクリア出来るのか、設計時に配慮が必要なのかを比較しています。

木造では、軸組工法よりも2X4工法の方が容易に高い耐震性を確保できる傾向にあります。

サポートサービスの例でも、軸組工法の平均像は耐震等級2前後に対し、2X4工法では、よほど変形している建物でなければ、何も考えなくても耐震等級3をクリア出来る建物がほとんどです。それは、筋交いなどをひとつひとつ計画していく軸組工法に比べ、2X4工法は壁であればほとんどを耐力壁にすることが出来る工法上の違いがあります。

軸組工法は、緻密な計画が必要。2X4工法はほとんど耐震等級3になる。
右の図は、木造住宅の壁を表していますが、普通の壁の強さを0.5とすると、軸組工法でもっとも多く使われている片筋交いの入った壁の強さは2.5程度。2X4工法の外壁の壁の強さは4.5にもなっています。つまり、軸組工法は慎重に筋交いなどを配置する必要があり、2X4工法は壁を作るだけで強い建物になるという工法上の違いがあります。
注:右の比率は簡易的に説明しています。

他方、プレハブ工法では、メーカーそのものが耐震等級3を標準仕様として考えている場合が多く、耐震性をチェックする必要はあまりありません。また、重量鉄骨造やRC造でも、無理なく耐震等級3をクリアすることは可能です。

等級1は、建築基準法と同等
等級2は、基準法の1.25倍
等級3は、基準法の1.5倍の耐震性

耐久性・・建物の長持ち度

工法によって視点が違う

その建物が保って欲しい寿命は、木造、プレハブ系で35年以上、重量鉄骨造で45年以上、RC系で55年以上がひとつの目安になりますが、その寿命を全うするためには、建物の骨格となる構造材がしっかりとしている必要があります。

建物の耐久性を考えるときは、工法によって大きく、その視点を変える必要があります。

軸組工法や2X4工法、ログハウスなどの構造材が木材である場合は、構造材である木材をいかに乾燥させるかが大事で、プレハブ工法や重量鉄骨造などの鉄を構造材に使った建物では、鋼材の錆対策がポイントになります。さらにRC造では、コンクリートの中性化を押さえることがもっとも大きなポイントになっています。

ただ、木造住宅については、公庫の耐久性仕様などで木材を腐らせない対策は広く用いられていますが、重量鉄骨造の場合は普通の錆止め塗料だけですます場合が多く、RC造でも中性化対策まで厳密に行っている建物は少なく、これらの建物では特別な指定をしないと、耐久性対策はおざなりと言ってもいいでしょう。

等級1は、最低基準。等級が上がるほど耐久性は高くなる

断熱性・・建物の省エネルギー度

工事の容易さ

断熱工事は、何も難しい施工技術が必要なわけではなく、グラスウールのような断熱材を使おうと、スタイロフォームのようなものであっても、要は如何に丁重に断熱材を取り付けるかどうかに関わっています。それは、いくら断熱材を厚くしても同じで、断熱材を丁寧に取り付けなければ、その効果も減少してしまいます。

そして、もっとも断熱工事が容易なのが2X4工法。まっとも難しいのがプレハブ住宅を含む鉄骨造と言えます。下の写真は、軸組工法の断熱工事の写真ですが、何も無い壁はきれいに張れても、筋交いなどがある壁では、施工する人の丁重さによって、断熱材が空くなどの不具合が起きる率が大きくなります。

同様に鉄骨造では、鉄骨部分の柱や梁まで断熱工事を施工する会社は珍しく、熱を伝えやすい鉄骨造では、これらの部分が断熱の弱点となります。

そのため、断熱工事の容易さや気密工事の容易さから、断熱レベルは、2X4工法、軸組工法、鉄骨造の順に難しくなっています。

なお、プレハブ工法では、鉄骨の柱、梁などの断熱を平成28年基準レベルでは標準化していますが、重量鉄骨造では施工者の技量に大きく大きく左右され、もっとも断熱性能を確保しにくい構造体です。

写真左:軸組工法(2X4も同様)
写真中:軸組工法の筋交い部分
写真右:重量鉄骨造

 

等級3は、省エネルギー仕様。
等級4は次世代省エネルギー仕様。
等級2は、最低断熱。

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