裁判に勝つための弁護士の選び方

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自分が欠陥住宅の被害者になってしまった。
交渉したがラチがあかない。後は裁判しかない・・といった時に始めて弁護士を探さなければと思うのですが、これがなかなか大変です。

 最初に少し私が関わったケースをご紹介しましょう。

私も「欠陥住宅」の被害者を支援する立場で、すでに10件以上の訴訟案件の裁判や調停に関わり、それ以外でもご相談を受けてきましたが、その中でいろいろなケースを見てきました。そして、そういったケースの中で弁護士がかえって被害救済の足を引っ張っている裁判や調停に出くわしたことがあります。私が関与あるいは相談を受けた案件のいくつかはそういった状態だったのです。さて、どんな状態だったのでしょうか。共通するのは独りよがりの弁護士。さてどんな話でしょう。

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瑕疵を一杯並べさせる弁護士

今でも多い弁護士のタイプなのですが、設計や工事の違法性ではなく、「ドアが開きにくい」「傷や汚れがひどい」「欠けている」「こうすべきだ」といったいわば客観的な判断基準が無い問題に重きを置き、そういった問題を、出来るだけ多く羅列しましょう。と言ってくる弁護士がいます。
依頼者にとっては、一杯問題点を並び立てた方が裁判としては効果的だし、私の気になっている部分を全て取り上げてくれる良い弁護士さんと思いがちですが、実はこれ、大きな間違いなのです。

裁判というものは裁判官にジャッジしてもらうのが裁判です。(調停でも基本は同じです)つまり、裁判官がジャッジしやすい主張をすることが大事なのです。そのため、「瑕疵」でも違法性の明確な部分を追求していった方がはるかに裁判官にもわかりやすく、相手からの反論も防げるのですが、客観的基準のない「瑕疵」を並べても争点が多くなるだけで、たとえば「汚れや傷」といった問題もどこまでの「汚れや傷」を直すべき範囲なのか・・なんて判断は人それぞれで明確ではありません。その結果、裁判の進行は遅くなり、基準が曖昧なので裁判官も判断しにくく、いくらでも反論を許すことになり、延々数年がかりの裁判という馬鹿げた裁判をしてしまうことになります。
注:こういったケースでは、ほとんどが建築士を利用せず、弁護士だけで裁判や調停を薦めている例が多いように感じます。(注:建築士自体がこのタイプの建築士もいます)

建築士を利用しない弁護士

上と同じなのですが、提訴の段階では建築士に調査書などを書いてもらうのですが、裁判になってからはほとんど建築士にも相談せず、自分で建築基準法などの関係法規や仕組みを調べて弁護活動をしている弁護士がいます。布基礎とべた基礎の違いを知らずに、べた基礎なのに布基礎の補修方法で延々と2年間の裁判の時をムダに過ごしている弁護士がいました。相手側から基礎の補強案の提示を受け、技術的にはそんな工事をしても効果がないのも分からず、それを真に受けて対応している弁護士がいました。
こういった弁護士は本当の意味での建築技術的な問題には対処出来ないのですが、どうも『自分は頭がよいから、自分が調べてやれば対応出来るのだ』と誤解しているのか、あるいはプライドが高すぎて、『人にものを聞くのがイヤだ』と考えている節のある弁護士もいました。

いずれも上の2つに共通したことは、被害者の方が『いつまでダラダラした裁判をしているのか。これでは見通しもたたない』と私の方に相談に訪れた事でした。やはり、いくら裁判進行にズブの素人の建築主でも裁判が長引き、弁護士だけが勝手にやっているような雰囲気で、弁護士が説明する内容も曖昧でわかりにくい説明が続くと、『なんかおかしい。この弁護士に任せておいて本当に大丈夫?』と弁護士に不信感を感じる時期が来るのです。裁判途中なのについに弁護士を変える決断をした人が2人もいました。 弁護士本人は一生懸命やっているつもりなのかも知れませんが、外から見ると全くピントはずれの弁護活動をして、被害者にとって本当に役に立たない弁護士もいるのです。

主体性の無い弁護士

調停の手続きは進めても、あるいは調停も常に一緒に立ち会ってくれても、自分から発言せず、被害を受けた建築主に向かって「他に言うことはありませんか」といつた態度に終始して、裁判や調停を自らリードしない弁護士がいます。
ところが物事の進行が停滞して問いただしても「専門的な進め方は任せてください」と言うだけで何も手を打ちません。そして私に相談したことを告げると、『私には私のやり方があるんだ。勝手な行動はするな』といらだつ弁護士もいたようです。上の「瑕疵を一杯並べされる弁護士」タイプに多いのですが、たぶん、進め方すら分からないのでしょう。でも受けてしまった。着手金という売上ほしさに経験もないのに手を挙げたのかも知れませんね。いるんです。こんな弁護士。

欠陥住宅が得意という弁護士

「欠陥住宅ネット」的なグループに参加している弁護士もいますが、この中の弁護士には大きく2つのタイプがあります。一つは、本当に被害者を助けたいとまじめに取り組んでいるし、どうやったら有利に早く裁判が終結出来るかを考えている弁護士です。
もう一つは、「欠陥住宅」の弁護を売上を増やす窓口の一つと考え、そういう目的(受注目的)でこういった団体に加盟している弁護士です。(最近の-余分に支払った利息は取り返せます-という広告を打つ弁護士もこのタイプかも知れませんが)
後者の弁護士に遭遇すると上の2つの例のようなダラダラした裁判になるかも知れません。私が知る限りでも、このような「・・ネット」的な弁護士さんに相談に行ったが、『どうも合わない』と言われる方が多いですから、なにか独特の雰囲気があるのでしょう。

地方県の弁護士探し

これは正直なかなか大変です。特に訴えようとする相手が地元で大きな会社であったり、あるいは有力な人物(商工会の主要メンバーといった意味)であったりすると、弁護士を捜すこと自体が困難です。なぜでしょうか。
地方県は大変狭い人間関係の中で仕事をしています。そして、商圏が小さいですからみんな顔なじみです。しかも弁護士も経営を安定させていくためには、地元企業の顧問弁護士となって顧問料を定期的にもらえるような状態にならない限り経営が安定しませんと言うことは、そんな顧問料まで支払ってくれる企業は、それなりの企業です。そして、それなりの企業は地元のいろいろな企業とも、あるいは商工会や青年会、ロータリークラブ等々の団体活動でそれなりに仲良しです。
『あの弁護士は、○○会社の裁判の相手側に立っているらしいぞ』
そう。地方で有力者相手(会社を含む)の裁判は大変難しいのです。そう嘆いて私に相談された方だけでも3人もいるのです。

さて、いろいろなダメ弁護士さんをご紹介しましたが、今までご紹介したのはいわば独りよがりな弁護士ばかりです。もちろん全てがこんな弁護士ばかりではないですよ。まあ、だらしない弁護士がいるから書いたのですが、でも、誰だって弁護士は正義の味方と思ってしまいますよね。

さて、頼りになる弁護士をどうやって探すか・・・・・。

探す労力と費用を惜しむな

まず、すぐに見つかると思うな。と言うことです。2.3人の弁護士に当たって『この人は~』と思う人が見つかればいいのですが、最低でも4.5人の弁護士に当たる根気が必要ですし、そのための費用(相談料など)も惜しんではダメです。
こればかりは急がば回れです。焦ってヘタな弁護士に依頼するよりね。

一つの基準は、「信頼関係を感じる人」

そしてひとつ大切なこと。それは、この人なら自分と一緒に闘ってくれると信頼できる弁護士さんと出会うこと。そして、その弁護士さんと信頼関係が築けるかどうかがポイントです。
もっとも、あなたも人間。相手も人間。ある一定の割合で相性というものも存在します。あなたの言っていることを理解してくれて、一緒になって解決していこう、という雰囲気が感じ取れる弁護士さんを探しましょう。

見つけるまでがあなたの最大の仕事で、唯一の仕事

よく考えてみましょう。あなたは確かに当事者なのですが、あなたが裁判手続きや難しい法廷論争や立証が出来るわけではありません。これらは専門家である弁護士や建築士がしなければ裁判には勝てません。つまり、裁判になればあなたがする仕事は実は全く無いのです。見つけるまでがあなたの最大、唯一の仕事です。 あとの法律的なやりとりは弁護士さんや建築士がやってくれるのです。

言い換えれば、あなたが3000メートル級の登山をしようと決意したとしましょう。あなたの仕事はあなた自身が山登りの知識を調べ、研究し、どういうトレーニングがよいかを自分で考えるのではなく、あなたの探しうる最良のガイドを捜して雇え、ということと同じなのです。後はガイドが導いていってくれます。

このポイントを忘れないようにね。。

上の話は抽象的な事ばかりですが、少し私が気になったポイントを書いておきましょう。

裁判の目処はどのくらい?
『欠陥住宅裁判は時間がかかります』と語る弁護士は基本的に止めた方が良いかも。どういう裁判をすれば早く解決出来るかを一緒に考えてくれるのも弁護士の大事な仕事です。
また、その詰め方(勝ち方)を知らない弁護士もいます。
基本は2年程度で結審が一つの目処です。
注:相手が負けを覚悟して和解になる場合は、もっと早い場合もありますが、それでも相手が負けを覚悟する時間として最低1年はかかります。
建築士との連携は大丈夫か?
欠陥住宅裁判では、建築士が作成する鑑定書や調査書が最大の武器になります。このことを重要視していない、建築士との連携に消極的な弁護士は止めるべきです。
注:欠陥事由やその法令根拠の書かれていない調査会社の調査書も、裁判ではほとんど役にたちません。
弁護士報酬は?
多少の違いはあれ、下の報酬基準に前後する額で弁護士報酬を提示する弁護士は良いですが、着手金に非常に多額の着手金を請求する弁護士は止めた方が良いです。
注:多額の着手金は、負けることを承知で、それを言わずに弁護活動を引き受けた可能性があります。
勝てることを考えてくれる人?なかなか『勝てる』と言ってくれる弁護士はいません。
それだけ弁護士というのは勝ち負けに慎重です。
それはまぁ、相手(相手側弁護士の力量)のあることですし、裁判官だってクセのある裁判官がいます。なので予想外の反論が来たり、偏向裁判官だったり、いろいろなのでしょうが、それでもあなたの意見をよく聞き、『勝てるためにやりましょう』といってくれる弁護士を捜しましょう。

信頼関係だけではなく、『勝つためにやりましょう』と感じさせてくれる弁護士を捜すのですよ。
そういう人は勝つ方法を知っています。
上で説明した多くの例は、自分よがりで勝つ方法を知らない弁護士なのです。

どうやって探すのか。

弁護士をどこから捜すか。というのは大変難しい問題です。知り合いや、つてがあればいいのですがそういう人は少数派でしょう。やはりその地域の弁護士会や法テラスなどから斡旋を受ける。あるいはホームページ等から探っていく、と言う地道な方法しか無いのが現実です。

弁護士を捜すときに一番気になるのが弁護士に支払う費用ではないでしょうか。今は各弁護士が自由な料金を設定して良いとなりましたが、昔は日弁連(日本弁護士連合会)で弁護士報酬の基準を設けていました。今でもその基準を自らの弁護士報酬として使っている弁護士が多いですから、その一例を挙げておきましょう。着手金は提訴前に支払うお金。報奨金は裁判確定後ですから、損害額によって実際には変動します。

日弁連の旧報酬基準より (消費税別)

損害額着手金報奨金
300万円24万円48万円
500万円34万円68万円
700万円44万円88万円
900万円54万円108万円

*欠陥住宅裁判は損害賠償請求になります。
*鑑定費用とは、建築士が作成する欠陥の原因や法的根拠を示した裁判用資料です。これがないと欠陥住宅裁判は戦えません

日弁連のホームページより転記

欠陥住宅裁判で一番つらいのは、完成後に欠陥が発覚した場合です。すでに住宅ローンなどの支払いがスタートしていますから、その中で弁護士費用を支払い、建築士に鑑定費用を支払うのは、なかなか大変です。 ただそれでも100万円程度の資金があれば何とかなりそうですが・・・。

注:不法行為を含む損害賠償の場合は、弁護士費用や建築士の鑑定料、一定の慰謝料なども判決で認めてもらえる場合が比較的多いですから、損害額だけの判決になるのではありません。つまり、弁護士費用や建築士の支払う費用は、全て持ち出し・・と言うことでもない場合が多いです。

欠陥住宅の相手と戦う。

とにもかくにも、
あなたの仕事は、勝つ方法を知っている弁護士と建築士を見つけることなのです。

そうすれば、後は彼らがやってくれます。

(下記の法律事務所は、当サイトお勧めの弁護士事務所(関東)です)

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