業者選びと契約−失敗しない工事契約書のカンどころ住まいと法律・タイトル

インデックスページ・・

●交渉術を考える
交渉ベタな現代人
うまくいく
  コミュニケーション術とは

要点を書け!馬鹿を演じよう
言葉の裏を見抜け-1
言葉の裏を見抜け-2
言葉の裏を見抜け-3
危険到来!
   契約急かす営業マン


●広告のウソ!ホント!
はじめに
あざとい比較広告
構造用面材は強い?
基礎はみんな強固?
HM標準仕様の怪

●失敗しない
   工事契約書のかんどころ

もっとも大事なポイント
契約約款の解説
勘違いしないこと
安全神話の落とし穴(実例)

●身を守る法則−記録に残せ
はじめに
文字に残せ!
写真を残せ!

●不確実な時代の
    「倒産リスク」管理

過去、現在、未来
倒産ってどういう事
工事費の支払い
自己防衛策
コラム

●契約ミニ知識
延長かし保険
現場見学会に臨むコツ
施主支給のコツ
契約自由の原則を
       知っておこう

誤解するな。瑕疵保険
瑕疵担保保険
相手を知れ(建条付宅地)
架橋に学べ(注文住宅)
フラット35Sで選別しよう
提携ローン

●式典
地鎮祭・上棟式

建築主さんの感動ドラマ
HMを20社回って決めました。
惚れ惚れする基礎!
バカ仲介屋との闘い!
最高の住み心地です。

 


 

 

 
失敗しない工事契約書のカンどころ−契約約款の解説

 契約約款には、初めて聞く難しそうな用語が並んでいます。
 でも、一つ一つは、実は民法などで決められている規約をベースに書かれている場合がほとんどですから、少し法律的な言い回しがありますが、びっくりしなくても良いですよ。また、民法がベースである以上、私のもらった契約約款は書かれている内容(条項)が少ないから大丈夫かしら、という心配もあまりする必要はありません。

 また、契約約款には4つほどのスタイルがあり、建設業団体、建築士団体などが民間工事の契約行為全体に使えるように作成した『民間連合契約約款』、住宅工事に的を絞り、住宅金融公庫が作成している『公庫の契約約款』、あるいは、日弁連が独自に作成している『日弁連の契約約款』等があります。
 しかし、どの約款も基本的なベースは同じようなもので、民法などをベースに定められており、大手ハウスメーカーの独自の契約約款も実は、『民間連合契約約款』とほとんど同じですし、自社用にアレンジしている建築会社でも、そのベースには、『民間連合契約約款』がひな形となっています。

 ただし、日弁連作成の『契約約款』は、支払い条件があまりに注文者サイドに偏りすぎているため、現実に戸建て住宅レベルで使われた事例は無いと思います。(工事引渡後、工事金額の1割の支払いを2ヶ月間残すため)

 それは、さておき、このページでは難解な契約約款の言葉の一つ一つを解説しておきましょう。


工事契約書のひな形は、右よりどうぞ
(すでに改訂している場合もあるかも
知れませんが、ご容赦ください)

★約款の用語解説

■ 損害の防止

   工事中に火事が起こればどうなるの?

 工事中、火災が発生した場合などが想定されますが、まだ引き渡しがされていない工事中の建物への損害を防止するのは建築会社の義務です。

この条文は民法では、第400条で「善管注意義務」として規定されているため、契約約款に記載されていなくても問題ありません。民法が注文者を守っています。
約款記載例 乙は、工事の引き渡しまで、自己の費用をもって、契約の目的物、工事材料その他工事施工に関する損害並びに第三者に対する損害の防止に必要な措置をしなければならない。

■ 第三者傷害

   工事中、他人にケガをさせたらどうなるの?

 工事中の建物に子供が入り込み、ケガをした場合や、荷下ろし中に通行人にケガをさせた場合などが考えられますが、 第三者に対する損害は、建築会社が責任を負っています。

この条文は民法では、第716条で「第三者への損害は請負者の義務」として記載されているため、契約約款に記載されていなくても支障ありません。民法が注文者を守っています。
約款記載例 施工のため、第三者の生命、身体に災害を及ぼし、財産などに損害を与えたとき又は第三者との間に紛議を生じたとき、乙はその処理に当たる。ただし、甲の責に帰する事由によるときはこの限りではない。 2. 前項に要した費用は、乙の負担とし工期の延長はしない。ただし、甲の責に帰する事由によって生じたときは、その費用は、甲の負担とし必要によって、乙は工期の延長を求めることができる。
注:ここでいう甲の責とは、たとえば見積書で工事用フェンスが 入っているのに、自分(甲)で用意するから見積もりからはずせ、といったのに、工事用フェンスを用意せず、第三者に怪我をさせたような場合をいいます。

■ 不可抗力による災害、天変地変(危険負担 )

   地震や水害が起こったら、どうなるの?

 危険負担とも呼ばれ、契約上の専門用語で、風水害・地震・その他、不可抗力で生じた損害を誰が補填するかを定めた項目です。
 現在のほとんどの契約約款では、天変地変の損害は注文者が負担する形で書かれている場合がほとんどです。(建売契約では逆に売主が負担する契約になっています)
  しかし、それでは注文者の負担が大きすぎるため、一般的には請負者が工事保険に入り、天変地変の被害を受けた場合に、その保険金から損害を補填し、それでもまかないきれない部分についてのみ注文者負担、あるいは甲乙協議と書かれている場合が多いです。
民法では、異なった2つの条文が示されています。)

火災保険や工事保険等で補填する、と書かれているかどうかは半々です。もし、建築会社がこれらの保険に入っていなければ、あなたが損害を負担するリスクが極めて高くなります。
工事保険の加入有無は、要チェック項目です。
約款記載例 1.天災地変、風水火災、その他甲、乙のいずれにもその責を帰することのできない事由などの不可抗力によって工事の既成部分又は工事現場に搬入した検査済工事材料について損害を生じたときは、乙は事実発生後すみやかにその状況を甲に通知することを要す。
2. 前項の損害で重大なものについて乙は善良な管理者の注意をしたと認められるときは、その損害額と甲、乙の負担額とを甲、乙協議して定める。
3. 火災保険その他損害をてい補するものがあるときは、それらの額を損害額から控除したものを前項の損害額とする。

■ 近隣調整

   
近所から建物の影になる、と文句を言ってきたら、誰が対処するの???

 近年、近隣の煩わしさで近隣との交渉を工事会社に依頼してしまい、工事会社も工事ほしさにその面倒をみるといった例が多いですが、本来的には、工事以外の近隣の問題は、工事会社が解決してくれると考えるのは間違いですよ。
 ただし、工事中の騒音や近所迷惑な車両放置は、建築会社の責任です。

■ 瑕疵担保責任

   10年保証よりアフターサービス基準が明確な会社を選べ。

 構造体と屋外からの防水部分の10年保証は法的義務です。 約款に書かれていてもいなくても問題ありません。
 それ以外の保証は、どの程度の保証期間にするのかは、建築会社次第ですが、アフターサービスの基準や保証期間を明確にしている会社を選びましょう。大手では2年程度とする場合が多いです。  
 保証書もない。「言って頂ければいつでも伺います」というリップサービスしかしない会社は要注意です。釣った魚にえさはいらない。工事が終われば、さようなら。。になりかねませんよ。
 瑕疵担保責任。実は、これが有名無実になってしまうかどうかは、結局、建築会社の良心次第。契約では縛りきれない事柄です。
 よく、契約書に書いているから、来るのが当然と考えがちですが、それは建前。契約約款にいくら書かれていても、呼んでも来なければ、それは絵に描いた餅なのです。

この条文は品確法で定められているため、無くても支障ありません。でも保証期間も書かれていない契約書をもってくる建築会社の姿勢そのものがおかしいですよ。10年保証以外のアフターサービス基準や期間もしっかりチェックしましょう。
約款記載例 この契約が住宅品質確保促進法第87条第1項に定める住宅を新築する建設工事の請負契約である場合にあっては、乙は、前項の規定に関わらず、引渡の日から10年間、住宅の打ち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入する部分として同施行令第6条第1項及び第2項で規定するものの瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響の無いものを覗く)については民法第634条第1項第2項前段の規定する瑕疵の責任を負う。(抜粋)

■ 遅延金、違約金

   工事が遅れた場合の違約金の取り決めです。

 工事が予定の日に完了しない場合に工事の遅延金を支払い、注文者が予定日に支払いをしない場合も違約金が発生します。 通常、工事金額の1/1000程度が多いですが、この比率の過小よりもキチンと契約行為が出来ない会社を契約前に見抜くことの方がよほど重要です。(違約金の額や利率に法律上の定めはありません)

違約金の書き方は会社によって様々です。まったく違約金そのものを記載していない契約書を用意している会社もあります。
でも、これから契約をしようという時に、まさか工期は遅れまい。とかんがえるのも自然のことですね。
しかし、契約約款に違約金を書いていない会社ほど、工期の遅延が多いです。
もし、違約金そのものの記載のない会社と契約する場合は、せめて引き渡し日から遅延する場合は、賃貸料等の実費相当額の損害を支払うこと、といつた程度の表現は入れておいた方が良いでしょうね。
約款記載例 1.乙が契約期間内に、工事の完成引渡ができないで遅滞にあるときは、甲は契約書の定めるところにより、遅滞日数1日について請負代金の10,000分の4以内の違約金を請求することができる。
2. 甲が第14条の請負代金の支払を完了しないときは、乙は、遅延日数1日につき支払遅延額の10,000分の4以内の違約金を甲に請求することができる 。
3. 甲が前項の遅滞にあるとき、乙は契約の目的の引き渡しを拒むことができる。
4. 甲が遅滞にあるとき、乙が自己のものと同一の注意をして管理してもなお契約の目的物に損害が生じたときは、その損害は甲が負担する。

■ 注文者からの契約解除

   契約解除は、相当の工事遅延でもない限り、出来ないぐらいに考えよう。

 注文者は、いつでも契約を解除をすることができます。
 とは書かれていますが、実は、仕事が不完全なので、工事を解約できないのです。(詳しくは、住まいと法律をご覧ください。)
 それでも、解約することは出来ますが、それには、工事ができている部分の費用は支払わなければならないのです。
 また、工事遅延も解約事由になりますが、工事の遅れが起きる場合は、工事業者が極めて未熟か、資金繰りが付かなく、下請けが新たな工事を請けるのをいやがり、工事発注ができていないときに発生します。それでも、できあがった部分の費用は支払わなければならないのです。

 要は、民法では、不用意に結婚(契約)をするな。一旦、結婚したなら、最後まで付き添え。それがいやなら、賠償してから結婚(契約)を解消しなさい。という非常に厳しい立場を取っていますよ。


離婚と同様に、契約解約は、早々簡単に出来るものではありません。
約款記載例 過払があれば乙は利息をつけ甲に返す。 甲は、工事中必要によって契約を解除することができるものとし、これによって乙に損害を与えた場合にはその損害を賠償するものとする。
2. つぎの各号の一にあたるときは、甲は乙に工事を中止させるか、又は契約を解除してその損害の賠償を求めることができる。
  一、正当の事由なく、乙が着手期日を過ぎても工事に着手しないとき
  二、工程表より著しく工事が遅れ、工期内又は期限後相当期間内に、乙が工事を完成する見込みがないと認められるとき
  三、第4条又は第7条の規定に違反したとき、又はあらかじめ甲の書面による承認がないのに工事の全部又は大部分を一括して第三者に委任し若しくは請負わせたとき。
  四、前3号のほか乙がこの契約に違反しその違反によって契約の目的を達成することができないとき。
  五、乙が第18条第2項の各号の一に規定する事由がないのに契約の解除を申し出たとき。 3. 契約を解除したとき、工事の出来高部分は甲の所有とし、甲、乙協議の上精算する。これにより
 その他、約款上は、ローンが不成立の場合は、契約を白紙撤回するローン特約や、紛争が起きた場合の取り決めなどが書かれている場合がありますが、特に不利益になるような条文はありません。

  失敗しない工事契約書のカンどころ  
2012.10 「間取り図で見分ける買っていい家と悪い家」 を出版しました。住宅の購入や契約のための121のチェックポイントが網羅されています。
このホームページやサポートサービスのマニュアルにも載っていない部分もありますので、ぜひご活用ください
アマゾン(Amazon.co.jp)

2011.6 「断熱」の本を出版しました。
『よくわかる最新断熱・気密の基本と仕組み』―断熱・気密がわかれば、結露と換気もよくわかる! 断熱・気密の技術 』
下記でお求めいただけます。
アマゾン(Amazon.co.jp)
住まいの水先案内人・エンドパネル
サポートサービスのご案内