個人の資質が左右する仕事

個人の資質がそのまま表れる仕事に『建築家』というものがあります。
関西はさほどでもありませんが、関東などは『建築家』の活躍する場面が多いようです。
さて、こんな『建築家』も、小さな会社の現場監督や、CM方式の「建築家」同様に、全てが万能なわけではありません。

Sponsored Link

建築家に時々みられる傾向

高い位置にある吹き抜け照明の電球の取り替えに気づかない建築家

以前、リビング全体が吹き抜けかと思われるほど大きな吹き抜けに、ダウンライトを配置した『建築家』がいました。

私が図面をみて、『これどうやって電球を交換するんですか?昇降付きの高天井用のダウンライトではありませんよ』と建築主に返し、『建築家』に質問をぶつけると、『私が交換しにくるワィ』とぶち切れたような返事を返した『建築家』なるものがいました。

暑さ寒さに無頓着な建築家

「ものすごく夏暑いんです。なにか良い対策ありませんか?」

吹き抜けに大きな、高い窓を配置した『建築家』がいました。
住んでからのち、別の件で相談に来られた方でしたが確かに、春と秋はこんな窓でも気持ちいいんですが、夏は暑く、冬は寒い。

出来てしまったものに、根本的な対策など取りようもなく、そしてこの人も例外ではなく、大方の人はその建物を設計した『建築家』に相談するのではなく、別の人に相談するケースが多いのですが、この2つの例のように、時々「生活感を全く持たない建築家」という人の図面に出会うことがあります。

 

最初から『建築家』を目指す人。たまたま会社倒産など別の事情で独立して『建築家』になった人。
事情は様々ですが、所詮は個人稼業です。個人の資質そのものが大きく左右します。

開業医のように、『建築家』もそれぞれ独立しているのだから、技量は同じだろうと考えるのは大きな間違い。
立派な見解、見識を持っている『建築家』もいれば、上のように自分の我だけを押しつける『建築家』も多いです。

で、この手の住んだ人が後で困る生活感のない『建築家』の特徴は写真写りの良い、いわば『格好いいデザイン』を指向し、必ず『作品』として、住宅雑誌に掲載をもくろみます。建築主も自分の家が住宅雑誌に載って鼻高々です。

というより選んだ建築主も住宅雑誌などを見て、「フィーリングが合う」なんていう感性を基本に選んでいるのですから、お互い様です。

でも、「やっばり、この先生に頼んで良かった・・」と思うのもしばらく。
その新居で四季を過ごすと、所々に違和感が・・・・。
でもね、「惚れた手前」ダメとは言えませんから、よその人に相談する・・・。

意外と多いパターンなんですね。

『建築家』ってどこまで行っても個人稼業。
そこには得意不得意、得手不得手があるのは当たり前。
なかなかバランス良く技量を磨いた人は少ないようですよ。

意外と広い建築士の職務分野

建築士の仕事は、間取りやデザインを提案するといった企画的な仕事。
顧客の予算に応じた材料や工法を選択したりする仕事。

法律的な知識も必要ですし、工法や技術的な知識を得ておく必要も不可欠です。

工事にはいればも職人に指示したり、工事全体の進行を管理する製造管理的な仕事も必要になってきます。
もちろん、会社の利益を得るための予算管理も必要です。
そういう意味では、企画・営業・技術・製造管理とその分野は非常に広いのです。

いわば、一つの会社が販売会社であり、企画会社であり、製造会社であると考えればわかりやすいでしょう。
そして、これら全ての能力をまんべんなく持っている人など現実にはいませんから、最初はいろんな会社に移ったりするものの、その過程で自分の能力を見極め、最終的には自分が得意とする、あるいは自分の能力に見合った分野や会社あるいはポジションに腰を落ち着けることになります。

そして、経験を経ていく中で、バランスの取れた能力を磨いていくようになります。
言い換えれば、一人前の建築士になるには時間も経験も必要なのです。

上で紹介した「建築家」は、人を引き込む「営業力」には能力があるもの、工事の知識などに疎く、いわば「具現化能力」が低いままに独立して建築家となってしまうので、このような例の建築家に遭遇することがあるのです。

Sponsored Link

Sponsored Link