社風が品質を決める

現場監督は、ある意味で監督業に近いと言えるかもしれません。
自分が手を下すわけではなく、全て職人という選手が仕事をこなします。 あるいは下請という専門業者に仕事をゆだねます。

一流と二流あるいは、一軍と二軍の選手のレベルが違うように、職人の腕も違います。
入団仕立ての若い選手は、まずは体力づくりが課せられるように、職人だって、一人前と半人前が同居しています。

そしてこれは、下請という会社に対しても同じことが言えます。
粒ぞろいの職人たちが集まったいわば一軍レベルの職人層がいる下請。雑多な腕の職人が集まったいわば二軍的な下請。もちろん値段も違います。後者の方が安いです。

一軍どころは、何も言わなくても自分の仕事を果たします。
二軍なり、入団したてを使うなら、目をはなせません。

だから、何も言わなくてもツボを心得、ビシッと仕事を決めてくれる職人が来たときは、仕事をチェックする必要もなく、時間をもてあまします。
でも、いつも仕事にルーズな職人が来たときは、おちおちしていられません。かといって、その現場につきっきりになっている時間もなく・・・・。
まぁ仕方ないか!とお茶を濁します。

前ページで、大手は下請の粒が揃っている。会社の規模が小さくなってくると下請の粒が不揃いになると書きましたが、このことですね。

下請だって心得たもので、仕事にうるさい相手(元請けや現場監督)には、しっかりした職人を振り向けます。
仕事の質を何も言わない相手には、それなりの職人しか送りません。

さらには、仕事よりお金に汚い相手(元請けや現場監督)には、間違いなくヘタな職人を振り向けます。
(お金に汚いとは、下請代金を不必要に値切ったり、支払い条件の悪い元請けのこと)

つまり、一人の現場監督の資質だけでなく、その会社としての仕事に取り組む姿勢次第で、下請ですら元請けの顔を見ながら、持ち駒の中の「適材適所」の職人たちを割り振りますし、金の切れ目は縁の切れ目で、支払いのわるい相手には、それ相応の仕事ぶりとなってしまいます。

ところで、このページを読んでいると職人たちの腕の差が大きくあるように思われると思いますが、思うほど職人たちの腕が大きく違うということはありません。(それは同じ職人同士がカバーしあいます)

むしろ、仕事の質より早さだ・・とか、仕事の質より安さだ・・といった風に品質を重視しない会社は、下請からすれば、やはり、それなりの仕事しかしてもらえないようですよ。(平たく言うと手抜き・・というより粗雑な仕事と言うことでしょう)

そんな時に現場監督が孤軍奮闘して、「キチンとした仕事をしろ」といっても一時しのぎで、その現場監督はそういう社風の会社を辞めるか、あるいはその会社の社風になじんでしまうか、個人としてはどちらかの選択肢しか無いでしょうね。

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下請次第のつらさ

これも私の経験ですが、私が設計施工で、自ら現場管理もしていたときがあります。いわゆる図面も書き、自分で見積もりをし、下請に発注し、現場監督もしていました。(店舗内装工事ですが・・)

そのときも、

  • 時間にルーズな下請け。
  • 安いんだが、つきっきりで見ていないとダメな下請
  • 図面で指示をするだけで、いつもキチンとした仕事をしていた下請
  • よく見ておかないと、頼んだ仕事を忘れる職人

などなど、実に千差万別の下請、職人が入るんですね。
つまりは、下請、職人の質のバラツキです。

これらを見ていると、必ずしも現場監督個人の能力や責任でもない、住宅会社としての下請選定の問題・・つまり、安かろう、わるかろう、癖のある下請でも善しとする企業姿勢も実は、建物の品質に大きく影響していますし、それがその会社に勤める現場監督の管理能力以前に足かせとなっている場合もあるんですね。

「もっともまともな下請を入れてくれよ~」と、会社の上層部に対して愚痴る現場監督なきにしもあらず。。。なのです。

意外と類は類を呼ぶの例え通り、良い元請けには良い下請が集まり、質の良くない元請けには同類の下請が集まる
前項でも書きましたが、社風が品質を創るんですね。

あながち、工事は現場監督の資質も大事なのですが、会社としての仕事に対する姿勢が一番大事なのかもしれません。
品質は、会社の社風(姿勢)が決めるのです。

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