では、どうして断熱が必要になってきたかというと、下の図のように1973年の第一次石油ショックと、1979年の第二次石油ショックにより、先進国は石油自体が無尽蔵ではないことを思い知りました。
そして、これも時を同じくして、1970年代に世帯普及率7%程度だったエアコンも、1980年代には40%に迫る普及率となり、快適な生活家電の普及が促進されます。
さらに同じ頃、1970年代に地球温暖化の問題が提起されます。
これらのことから、資源は有効に活用しなければならない、「省エネ」を推進しなければ、将来大変なことになるということで、住宅で言えば、「断熱」を考え始めるようになります。
そして、1980年に初めて「省エネ法」が制定されました。その流れを組むのが、今の次世代省エネルギー基準を作っている現在の「省エネ法」で、これも資源の有効活用を目的とした法律です。
さらに1980年代には、エアコンの普及率は増すまず増加し、1990年代には60%を超える普及率になっていきます。当然に「断熱」をした方がエアコンは良く効くのですから、さらに断熱化に拍車がかかります。つまりは、地球規模の資源供給問題=価格問題、地球温暖化、快適な暮らしを求める声などが絡み合って、断熱の促進が進んでいったのです。
■気づかなかった断熱の副作用
しかしその副作用として、といううよりも「断熱化」を進めたゆえに、その盲点として「内部結露」などの問題が新たに浮かび上がります。
いわば「新薬」は良く効くので飛びついたものの、思わぬ「副作用」が見つかったとというところです。これがいわゆるナミダタケ事件で、1980年、北海道で新築3年目の住宅の床下にナミダタケが発生し、床が腐り落ちるという事件が発生しました。被害は道内に拡がり、マスコミでも大きく取り上げられました。
この解決には、断熱材を厚くするだけではダメで、「建物の気密化」をしないと「内部結露」が防げないということがわかってきました。
しばらく住宅業界は、これらの内部結露と悪戦苦闘を続けながら、これらをほぼ克服して現在の次世代省エネルギー仕様という基準が作られます。
では年代別に見ていきましょう。
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