断熱、結露、シックハウス-遮熱材ってどういうもの住まいと法律・タイトル

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遮熱材ってどういうもの-遮熱材のミニ実験


遮熱断熱材の疑問
 遮熱断熱材の資料や広告を見ていると少し気になることがあります。それは.......
 遮熱断熱材は、確かに遮熱には効果があるのは理解出来るが、いわゆる直射日光が無い冷房をかけている夏の夜や真冬の暖房時にはたして「保温」が可能なのだろうか。
 メーカーは太陽を跳ね返すといった遮熱ばかり強調して、断熱の中の一つの性能である「保温」に関して何も実験をしていないので分からない。といった趣旨の説明をしてきました。

 そして少し前、とある工務店の方から電話を頂きました。「遮熱断熱材がダメと書いてあるが、根拠はどこからなのか。結露をしないという実験結果があるのだから、正しく伝えろ。」といったお話しだったのですが、正しくと言いつつ、どのメーカーも夏の断熱性能だけを強調し、太陽が照らないときや保温性能に関する情報をどのメーカーも提供していないのですから、正しい情報を伝えようにも伝えようがありませんし、判断のしようもありません。

 ましてや、結露しないから断熱性能がある・・と短絡的に考えるのも間違ったことです。

 それならと、せっかくの暑い暑い夏なので、分からないことは自分で実験してしまえと、急遽小学生レベルですがアルミホイールを遮熱断熱材に模した実験を試みてみました。

 さて、どんなに結果になったのでしょうか。。

 答えは意外なものでした。


夏と冬の再現
方法としては家庭でできる程度の簡単な実験です。
また、遮熱断熱材そのものはありませんから、アルミホイールを遮熱断熱材の代替えと考えました。

■夏の準備
紙コップに氷を作ります。そして、下の写真のように、右からアルミホイールを3重巻きにした容器。厚み50mmのグラスウール断熱材を巻いた容器。左の発泡スチロールの容器(保冷パックを加工したもの) を用意し、正午の炎天下に置き、どのタイプがどれだけコップの中の氷が溶けていたかを調べる。
(実験は2008.7.31)
いわば、外が暖かく、かつ、直射日光を浴びていて、室内を冷房しているイメージですね。
 このときの外気温は31℃、コップの温度は約10℃でしたから、外が暑い夏の温度差が再現出来ています。

■冬の準備
紙コップに沸騰させた熱湯を入れ、裸のコップが常温に達したときに3つの容器の中のコップの水温がどのぐらい下がったのかを調べる
 これは夏をイメージした実験と異なりと異なり、冬の曇天、あるいは夜間をイメージして直射日光の当たらない室内に置きます
 外が寒く、室内が暖かいというイメージです。この時点で室温30℃程度、コップの中の熱湯80℃程度ですから、真冬の外気温−20℃と室温20度のような温度差と同じですね。

 
・保冷パックは、市販の保冷パック(厚み14mm)を加工したもの
・グラスウール50mmは、住宅用グラスウールを加工したもの。ただし、圧縮しているため、実質的な断熱性能はグラスウール30mm程度に低下しているものと思われる
・アルミホイールは調理用アルミホイールを3重巻きにしたもの
・それぞれ型くずれしないように、段ボールで箱を作った上に貼り付けている。
・氷は、紙ヒップに66ccの水(1/3カップ)を入れ、家庭用冷蔵庫で凍らせたもの

■実験結果
 下の図の左が夏を想定した時の実験結果。第一回目の実験では保冷パックとアルミホイール3重巻きの容器が同じ結果となってしまいました。そうなると、断熱性能の違いではなく、単に容器の気密性が同じだから、同じ結果になったのかも知れない、という疑問が生じてきました。そのため、2回目の実験では、保冷パックをさらにアルミホイールを3重巻いて実験しました。(上の写真を参照)
 そうすると、明らかに違いが現れ、保冷パックだけの時よりもアルミホイールを巻いたときの方が保温性は高かったのです。 

■夏想定の実験結果(上の写真の状態で炎天下に置く)
1回目 露出された氷は、実験45分後、77%が水になっていましたが、アルミホイール容器では45%.グラスウール容器では27%が水になり、保冷パックでは41%が水になっていました。つまり、保冷された順番は、グラスウール容器>アルミホイール容器=保冷パックの順です。
アルミホイールと保冷パックは似た傾向です。そのため、ただ単に気密性が似ているから似たような結果になったことも考えられるため、保冷パックにさらに上からアルミホイールを3重にかぶせました。これで変化が出れば、気密性の問題ではなく、材料の断熱性=保温性が影響していることになります。
2回目

露出された氷は、実験45分後、65%が水になり、アルミホイール容器は44%が水に、グラスウール容器は29%が水になり、保冷パック+アルミホイール3重パックは、グラスウール容器と同じ29%が水になっただけでした。
前回と実験結果は大きく変わり、保温された順番は、グラスウール容器=保冷パック+アルミホイール3重容器>アルミホイール容器の順です。

 ・・ということはアルミホイールも保冷パックと同じだけの断熱性能=保温性があると考えられます。

 さらに冬を想定した実験でも夏と同様の結果になり、第2回目では、やはり、保冷パックだけよりも、保冷パックにアルミホイールを巻きつけると断熱性能=保温性能は高くなったのです。

■冬想定の実験結果(室内で実験。湯温は放射温度計で計測)
1回目 露出された熱湯は、実験60分後。36℃の湯温になっていましたが、アルミホイール容器では47℃.グラスウール容器では53℃の湯温となり、保冷パックでは47℃の湯温となっていました
アルミホイールと保冷パックは似た傾向です。そのため、ただ単に気密性が似ているから似たような結果になったことも考えられるため、保冷パックにさらに上からアルミホイールを3重にかぶせました。これで変化が出れば、気密性の問題ではなく、材料の断熱性=保温性が影響していることになります。
2回目

露出された熱湯は、実験50分後。38℃の湯温になっていましたが、アルミホイール容器では49℃.グラスウール容器では54℃の湯温となり、、保冷パック+アルミホイール3重パックは、グラスウール容器と同じ54℃の湯温でした。


   
     ・夏のイメージの実験では、%が少ないほど保冷効果が高い
     ・冬のイメージの実験では、湯温が高いほど保温効果が高い



■アルミホイールにも保冷パックに匹敵する保温効果があった
 ペットボルトの保温カバーや買い物などに使われている携帯用の保温パックには、アルミ箔が巻かれているような製品を見かけますね。実験の結果では保冷パックとアルミホイールを3重巻きにした2つの容器の比較では、確かにアルミホイールも保冷パックと同等の保温性が認められました。
 今回使用した保冷パックも市販の保冷パックを実験に必要な大きさに加工しただけで、その厚みも14mmです。他方、アルミホイールはこれも市販の調理用アルミホイールを3重にしただけですが、保温効果はほとんど同じです。


■遮熱効果は本当??
 アルミホイールと遮熱断熱材はイコールではありません。しかし、素材は同じアルミです。リフレテックスという遮熱断熱材も表面はアルミホイルと書かれています。
 ただ、1回目の実験のように、厚み14mmの保冷パック容器とアルミホイール容器が同程度の断熱あるいは保温効果を示してしましたから、断熱効果はあるが、保冷パックに圧倒的な差をつけて断熱性がよいといったインパクトのある遮熱効果ではなかったという印象です。

 特に夏のイメージの実験では、まさに真夏の正午の炎天下にそれぞれの容器を置きましたから、実験前は、保冷パックよりももっと強力に遮熱するのかな、差が出るのかな、と想像していたのですが、結果が同等なので、意外でした。
 そして、冬のイメージで行った室内での実験でも、保冷パックとアルミホイール容器は同じような傾向でした。

 つまり、直射日光の照り返す炎天下に置いていても、室内に置いても、結果は同じだったのです。

 このことから、遮熱断熱材はほんとうに広告で言っているような「太陽を跳ね返す遮熱」効果があるのかな??、と気になったのです。
 なぜなら、遮熱効果があるなら、冬(室内に置いた実験)と夏(屋外に置いた実験)とでは、差が出なければおかしいからです。(注:遮熱という言葉の受け止め方次第ですが・・)

 断熱とは熱移動をどうやって防ぐか、ということなのですが、従来の断熱は「熱伝導・・材料の熱の伝わりにくさ」でコントロールしていました。
 そして、遮熱断熱材は、アルミに当たる周囲の放射熱(熱輻射)を反射することで熱移動を妨げているのに、太陽を反射するといった言葉や、宇宙空間という言葉だけが全面に出すぎて、誤ったイメージを植えつけているような気がします。

 


広告で言うような太陽熱は、はね返していない
 オーバーな広告が原因ですが、上の実験の結果から、必ずしも太陽熱そのものを直接はね返しているような事ではありません。
 アルミの周囲の熱をはね返すことによって、熱を入れにくくしているのです。そして、そのために絶対に必要なのが空気層でしょうし、一定の気密性でしょう。

 

  

 


断熱性能のコントロールはできない。
 遮熱断熱材のもう一つの問題点は断熱性能のコントロールができないことです。従来のグラスウールや発泡スチロールという断熱材は、熱伝導を利用したものですから、使う断熱材の厚みをコントロールすることで、断熱性能そのものをコントロールする事ができました。
 たとえば、一般的な断熱性能である省エネルギー仕様であれば、天井にグラスウール100mmを敷き込むのが一般的ですが、次世代省エネルギー仕様にしようとすると、その厚みを増やせば対応することができます。(160mm以上)

 しかし、遮熱断熱材は一つの種類の断熱性能しか示されていませんし、重ねることで断熱性能がアップするとは書かれていません。

 


併用が最強力??

 結局、2回目の実験でしたように、断熱材+アルミホイールという併用する方法が一番強力なのかも知れませんね。
 つまり、今までの断熱材は熱伝導率といった単位で計算し、厚みが厚くなるほど断熱性能は比例して良くなりました。しかし、アルミホイールを何十枚重ねてもどの程度効果が上がるのか不明です。この辺りは従来の断熱材とは違う性質のものでしょう。

 そうであれば、今までの断熱材に遮熱断熱材を併用すれば、薄くても極めて強力な断熱性能のある建物ができるのかも知れません。

 たとえば、屋根に発泡スチロールの断熱材75mmを張り込み、その上に遮熱断熱材を張れば、実質的には発泡スチロールの断熱材150mm程度になるわけです。
(注:遮熱断熱材の断熱性能を発泡スチロール75mmと仮定して)

 

 そして、あと十数年先、超次世代省エネルギー仕様と名付けられた新たな断熱工法は、室内側に伝導系の最強力断熱材であるフェノールフォーム断熱材を貼り、外壁側に遮熱系断熱材を張って、文字通り除湿器程度の小さなエアコン1台で全館冷暖房をしている時代になっているのかも知れません。


3階建て住宅の断熱計画」等でも説明しているような3階建ての屋根あるいは、2階建てでも傾斜天井や2階リビングといった住まいでは、屋根の断熱に遮熱断熱材を併用すれば、薄くても相当高い断熱性能を発揮すると考えられます。

 まだまだ明確に原理が解明されていないが、一定の断熱効果があることが予見される実験結果でした。


  遮熱材ってどういうもの  
2012.10 「間取り図で見分ける買っていい家と悪い家」 を出版しました。住宅の購入や契約のための121のチェックポイントが網羅されています。
このホームページやサポートサービスのマニュアルにも載っていない部分もありますので、ぜひご活用ください

2011.6 「断熱」の本を出版しました。
『よくわかる最新断熱・気密の基本と仕組み』―断熱・気密がわかれば、結露と換気もよくわかる! 断熱・気密の技術 』
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