結露の本当の怖さ-気化熱

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内部結露の本当の怖さ。

それは、気化熱にあります。

気化熱とは液体が気体になるときに周囲から吸収する熱のことで、風呂上がりにそのままにしていると、体が冷えて風邪をひきそうになりますね。
これは、体についた水分が気体になろうとするときに、周囲から熱を吸収するために体が冷えることによって起こります。

つまり、一旦表面結露が発生すると、そこに出来た水滴は気化しようとして、その周囲の熱を奪います。

気化熱はいつ起こる

具体的にはどういう動きになるかというと、下の図のように、外気温が日中は10℃。夜は1℃まで下がった冬の一日を例にとると、アルミサッシも外気温につれて表面温度が上下します。
そして、日中太陽に直接当たるアルミサッシでは冬でも30℃以上の表面温度にまで達しています。
ところが、夜に結露を起こしたサッシの部分は、午前中1℃から2℃ぐらいまでしか温度が上がりません。これは、表面結露で出来た水滴が気化しようとするときに、アルミサッシを冷やしていたのです。

気化熱です。

そして、ようやく全ての水滴が気化したときに始めて、その部分のアルミサッシの材料温度も周囲の温度に同化していきます。

一旦、結露が発生すると材料の表面温度は低いまま

つまり、一旦表面結露が発生すると、その水滴が無くなるまでは、その付近の材料の温度は低いままなのです。これは、どういう事を意味するのでしょうか。
私たちは、突然の雨で服を濡らすことがあります。 しかし、暖かいところに入って乾かせば、その服が傷むと言うことはありません。しかし、いつまで濡れた服をそのままにしておくとカビが生え、変な臭いもしてきます。

つまり、建物も全く同じで、一度や二度、壁の中で結露が出来てもそれが乾けば、建物にはなんの損傷も与えません。

しかし、濡れた服をそのままにしておくとカビが生え、臭くなるように、建物に使われている木材や金属も濡れたままにしておくと腐っていきます。これが内部結露の果てにやってくる木材腐朽、金属の錆なのですが、常に木材や金属が乾かない状態になってしまう原因が気化熱なのです。

内部結露の本当の怖さ-気化熱

それは、 表面結露ができ、水滴が出来ると、その水滴が気化しようとして気化熱が起こる。その気化熱は、水滴がついた木材や金属から熱を奪い、冷たいままにされてしまう。 そして、そのサイクルが1週間も10日も連続して起こり、木材や金属が乾かないとき、内部結露による木材の腐朽、金属の錆が始まるのです。
右の写真は、すでに何回もこのようなサイクルにあったのでしょう。私が水滴を触っても異常なほど冷たかったですから、気化熱によって鉄骨も冷え切っていたのでしょう。すでに鉄骨の錆が進行し始めています。相当長い期間、このような状態におかれていたのでしょう。

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