内部結露が心配-材料の透湿性能

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透湿抵抗

前ページの実験-1のなかで、なぜ合板とダイライトに結露が発生する時間差がでたのでしょうか。それは、材料の持つ透湿抵抗という値が影響しています。
建築材料のほとんどが風や空気や水は通さないのに、実は湿気を通す事実を知っておきましょう。
下の表は、代表的な建材の透湿抵抗を表したものですが、数字が大きいほど、湿気を通さない、という数値です。 単位は、m3・h・mmHg/gという記号で表され、1m2当たり、1時間に1gの水分(湿気)を通すのに、いくらの気圧差(mmHg)が必要かということです。

公式
1気圧=760mmHg=1013hpa
(hps=ヘクトパスカル)

合板とダイライト

下の表を見ると合板の透湿抵抗値は10.3に対し、ダイライトは3.0となっています。つまり、合板よりもダイライトの方が3倍湿気を通しやすい性質を持っています。
言い換えれば、湿気を通しにくい合板は湿気に対して堤防のような役目を果たし、湿気がせき止められて結露が早く発生する
一方、ダイライトは、合板よりもより多くの湿気を通過させるために結露発生の時間が遅れる
この透湿抵抗の違いが結露発生の差となって表れているのです。

この表でもう一つ注目すべきことは、防湿気密シートの代表的な材料であるポリエチレンシートの透湿抵抗値は425に対して、外壁に貼られる透湿防水シートは0.087と大きな差があるという事実です。
これは、防湿気密シートは完全に湿気をせき止め、透湿防水シートはどんどん湿気を通過させる材料であることかよくわかりますね。言葉はよく似ていますが、防湿気密シート(ベイバーバリア)と透湿防水シート(タイベックが有名)は似て非なるものですよ。

注:透湿抵抗の値は、絶対値ではありません。教材、資料によっては、ある程度記載されている数値に幅があります。また、防湿層付き断熱材、ルーフィングやアスファルトフェルトなど、施工精度に抵抗値が左右されるような材料もあります。

材料の透湿抵抗の値(m2・h・mmHg/g)

材料名透湿抵抗
石綿スレート(屋根材)2.44
アスファルトルーフィング(材料自体)300
アスファルトルーフィング(完全施工)137
アスファルトルーフィング(雑施工)6
コンクリート 100mm厚69.9
モルタル 20mm厚4.25
ALC 100mm厚5.5
サイディング7
土壁 60mm厚3.4
吹き付けタイル50
アスファルトフェルト5~3
構造用合板 9mm厚10.3
OSB 11.1mm厚30.6
ダイライト 12mm厚3
石膏ボード 9mm厚0.78
防湿石膏ボード(チヨダウーテ資料)18.3
グラスウール・ロックウール 100mm厚1.25
セルロースファイバー 100mm厚1.25
防湿層付きグラスウール 50mm厚17
発泡系断熱材 50mm厚30~40
壁内空気層 10mm厚以上0.24
壁内通気層 10mm厚以上0.02
気密通気層(温度差無し)0.2~0.42
気密通気層(温度差有り)0.07~0.18
ポリエチレンシート 0.1mm厚452
透湿防水シート 0.2mm厚0.087

注意:透湿抵抗の計り方は、大きくJIS-A-1324法(単位m2.S.Pa/ng)と、 Box法 (単位m2.h.mmHg/g)の2つの方法があり、石膏ボードでは、それぞれ 3.07×10-4と0.64になります。(データはチヨダウーテ資料)
時々、石膏ボードの透湿抵抗値を3.0や4.1と高めに書いている断熱材メーカーがありますが、計測方法と単位が違いますから間違わないようにしてください。 m2.h.mmHg/g単位を使う場合の石膏ボードの標準的透湿抵抗は上記の表の通りです。
また、メーカー、HPその他各種資料でも透湿抵抗の表示値にバラツキがあります。上記資料は(財)建築環境・省エネルギー機構の文献より引用しています。

合板・ダイライト・OSB

よく使われる面材に合板・ダイライト・OSBという物があります。これは湿気を通しやすいかどうかという点で大きな特徴を備えています。
この3つの製品の中で、内部結露にもっとも有効なのが「ダイライト」と言われる商品で、合板よりも価格は少し高く、また、せんべいのように「パリッ」と割れやすいのが欠点ですが、透湿抵抗は、合板の1/3程度のため、内部結露のリスクは低減していきます。
反対に、OSBといわれる木片をプレスした材料では、透湿抵抗が合板の3倍も高いため、内部結露のリスクの高まる材料と言えます。(右の写真はOSB。木片チップの柄が特徴的です)

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