断熱、結露ミニ知識-自分で出来る断熱リフォーム

今からでも遅くない!!
すでに建ってしまった家でも、方法によっては今よりも快適な生活をすることが出来ます。これから建てようと考えている方。断熱をおろそかにするとあとあと不快な生活が待っています。

これから書くのは、当時築12年の少し低い断熱性能のわが家(Webmaster HORIの自宅)の、自分で出来る高断熱化工事の前とその後の報告です。
(平成9年完成なので、平成21年頃に行っています)

建物やガラス、サッシを高断熱なものにすること。それは、快適な生活が手にはいるだけでなく、省エネに貢献し、家計にも身体にも優しい優れた効果を生み出します。

低い断熱性能の家を、部分的にせよ高い断熱性能の持つ家に生まれ変わらせるだけで、快適になり、身体にも家計にも優しい家に変身します。
わが家を実験台にした住まいの高断熱化の方法と結果をご紹介致します。

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工事前の建物データ

データ

・場所 兵庫県明石市(断熱区分はⅣ地域。関西・中部・関西などの温暖地域に同じ)
・平成9年4月完成。軸組工法、中途半端2階建て? (理由は下記参照)

環境

阪神大震災の後、両隣の家が倒壊する危険があったり、世代交代などでいずれも解体されて空き地になり、右図のように朝の朝日も、夕方の西日もまともに照りつける極めて風通しも、日当たりも良い家になっていました。
あまり日当たりが良いのも善し悪しですよ。

間取り

間取りは変則的です。子供がいなかったことと、マンション的なワンフロアの生活をしたかったこと。平屋そのものでは道路からのプライバシーも良くなかったため、1階を車庫と玄関、4帖ほどの物入れだけの階にして、全ての生活を2階に上げています。1階の高さは車庫と収納だけなので図のように、わざと低くくしています。玄関の上は吹き抜けなので、1階が低くても大丈夫です。1階の収納室や車庫の天井高は195cm。また、環境で説明したように日当たりが良すぎる環境でもあったため、窓はリビングの南側に面した窓(2.0*2.0と、ダイニングキッチン(1.6*1.2)の東側に面した窓だけを大きくとり、後は幅40cm程度の換気を中心とした窓だけを設けていました。それでも、隣家という遮蔽物の無くなった夏の西日の暑さに閉口して、西側の4つの窓は全て閉鎖して、断熱材を入れて完全クローズとしていたのです。右の写真はカーテンを取って、窓に断熱材を入れている西側の窓の状態です。

当時の断熱材の厚み

当時は高断熱、高気密という言葉もやっとチラホラ聞き始めたような時期であったことと、私自身が建築設計(+設計監理)をしているにもかかわらず、一般建築の設計ばかりで住宅の断熱の知識もなく、建築会社の標準仕様のままの断熱仕様となっていました。
・天井・・グラスウール 10K 100mm
・外壁・・グラスウール 10K 50mm
・床 ・・グラスウール 10K 30mm
これを、現在の断熱性能の必要な厚みと比較すると右表のようになります。
天井と外壁は足して2で割ると省エネルギー仕様(等級3)レベルですが、床は低いです。そして、次世代省エネルギーには、全く達していません。
なお、上表の省エネルギー仕様(等級3)は、現在の新築住宅の標準的な断熱性能のレベルで、次世代省エネルギー仕様(等級4)は、いわゆる高断熱、高気密住宅の事です。
注:平成28年基準も各部位に必要な断熱材の厚みは同じです。

何とか快適に過ごせないか??

ところが、仕事を住宅関係にシフトし、どんどん新しい情報を知るにつけ・・

『夏は暑いなぁ~。仕方ないかな~。』
『次世代省エネルギー・高断熱、高気密住宅がうらやましいなぁ~』
と、断熱というものを知れば知るほどそう思っていきました。
(余談ですが、一般建築の世界では「高断熱」なんて言葉はさらさら無く、ひたすら空調に頼る設計ですよ。)

そして最初は、断熱強化など頭になく、まずは、
『え~い。24時間エアコンをかけてしまえ・・』
と思ってやってみると、
意外と夏場の冷房代も24時間冷房をしているにもかかわらず、
わずかに数千円程度しか増えないんですね。

『すごい!!案ずるより産むが安し。なんでもやってみるもんや。』
と感動し、この状態が2.3年続きました。
でも、24時間エアコンをかけっぱなしでいても、そんなに電気代がかからない・・
と知ったことは大きな収穫でした。
(それ以来、会う人ごとにエアコンの話が出れば24時間運転を薦めています。)

この快適さは得難いと、これに気をよくして、

『だったら、天井だけでも断熱材を厚くしてしまえば、もっと快適になるぞ~。』
と、今の天井に敷き込んだ断熱材に、さらにグラスウール100mmを重ねれば、
天井だけは数字の上では次世代省エネルギー仕様が達成出来ると思い立ったのが今年。

しかし、業者に頼んだら高いだろうなぁ~とぼんやりと考えていましたが、
『え~い。自分でしてしまえ・・・』
『ついでに、2つの大きな窓も断熱ガラスや二重サッシに変えてしまえ・・』

となったのが今回の発端です。
そして、平成21年春から初夏にかけて下の事を行いました。

どうしたのか!!

したこと(断熱の強化)

1.2階天井全面にグラスウール10K 100mmの断熱材を
追加して敷き込む・・30,000円(自分で作業、材料費のみ)
2.東側のシングルガラスを遮熱ペアガラス(Low-E)に
取り替える・・36,000円(サッシ屋に依頼)
3.南側のサッシにインナーサッシを取り付けて
二重サッシにする・・70,000円(サッシ屋に依頼)
の3点でした。
自分で作業をした天井の断熱補強は材料だけなので、わずか30,000円ほどですが、さすがにガラスの交換やサッシの取付は高くかかりますね。合計、約136,000円と、いっぱしのレジャー代程度かかったので、『これはわが家の夏のレジャーだ。』と夫婦でのたまっていました。
でも、ガラスの交換やサッシの取付は、新築の時に頼んでおけば最も安くすんだでしょうね。もっとも当時は、ペアガラスと言う言葉は聞けども高嶺の花。ましてや遮熱ペアガラス(Low-Eガラス)なんて言葉すら無かったですから仕方ありませんが。

その効果は!!

効果

わが家は、省エネルギーよりも少し低いランクの断熱性能です。ましてや完成している建物です。そのため、とりあえず触れる部分は天井しかないので、天井の断熱材の厚みを倍にし、2カ所の大きな窓の高断熱化をしたのですが、その効果はびっくりするぐらい高いです。では、どんな効果があったのでしょうか。
注:2009年は冷夏であったため、夏を通しての比較ではなく、猛暑日となったような暑い日を、前年までとの比較対象としています。

室温の暑くなるのが遅い

簡単なイメージとしては、毎年昼の12時ぐらいから室温が30度を超え始めるのに、断熱材を厚くしてからは、夕方にならないと超えない。暑くなるのが2~3時間程度遅くなる感じです。そのため、冷房をかける時間が少なくてすむとも言えますし、常時かけるなら弱い冷房で済む・・とも言えます。
最初は、外壁から入ってくる熱もあるので、外壁の断熱は変わっていない以上、それほど効果は無いのでは・・と思っていたのですが、天井の断熱材を厚くするだけでも大違い。さすがに四六時中太陽の熱を浴びている天井の断熱効果は大きいです。

エアコンが良く効く

また、夕方、あるいは夜になってエアコンをかけても非常に効きが良くなったという感じがあります。イメージとしては、今まではエアコンをかけてから室内が冷えたと感じるのに、強送風でうるさく送風機が廻り15~20分程度かかっていたのが、10分もかからずに、すっーとエアコンが効いていく・・という感じです
つまり、断熱を強化することで、
1.室内温度の上昇が2~3時間抑えられた
2.エアコンの効きが非常に良くなった(遮熱ペアガラスなどの関係もあります)

全館空調は可能か?

外気温30℃から31℃程度の比較的涼しいときは、右図のダイニングキッチンか、リビングのエアコン1台だけで、全ての部屋と廊下、階段を冷房することが可能でした。
この建物自体はそもそも全館空調など考えたこともないですから、図のようにダイニングキッチンと廊下とリビングはドアで仕切られ、かつ、風が通りにくい間取りです。それでも図のA.B.Cのドアを開け、かつ、扇風機かサーキュレーターをAのドア当たりで回しておくだけで、ダイニングキッチン、廊下、寝室、リビングの合計20帖前後の部屋が、わずかに10帖用クラスのエアコン1台でまかなうことが可能でした。(寝室とリビングのDの部分はもともとオープンです)
ただ、さすがに外気温が33℃程度を越えると、エアコンの能力もさることながら、やはり、エアコンの風を室内全域に行き渡らせること自体が難しくなり、2台のエアコンは必要です。それでも効きは早いですね。
そして、建物計画時から、ダクトタイプの全館空調システムを入れておけば、その広さに応じた大きなエアコンでなくても十分に全館空調が可能だと感じました。

余談:よく次世代省エネルギー仕様で建てたから、エアコン1台で大丈夫だ。と言う話を聞きますが、いわゆる酷暑日(35℃超え)のような日になると、それは不可能だと思います。このような説明は、高断熱な住宅は少ないエアコンで快適に過ごせるといった趣旨で捉えればいいでしょう。この場合でもエアコンの風をどういう風に他室に流せるかと言った工夫がなければ、実際にはエアコン1台で・・という宣伝文句はその通りの結果を生むことはないと思います。
つまり、いくら高断熱の住まいでも、エアコン1台ですますためには、それなりの工夫が必要・・と言うこと。そして、その地域の最高気温の高さに大きく関係してきます。夏の気温が暑くても30℃から31.2℃程度に収まるあまり暑くない地域なら可能でしょう。でも最高気温が常に35度前後の日が幾度と無く訪れるような地域では不可能です。言い換えれば、地域によって大きく異なり、一律的に話の出来る事ではないと言うことですね。

インターネットで見かけた記載を、その地域性や間取り(細かく区切られた間取りか、開放的な間取りかなど)を無視して一方的に判断するのは危険ですよ!!

何よりも良かったことは!!!

それは、冷房が良く効くため廊下まで気にせずに冷房出来ると言うこと。
夏でも冬でもそうですが、冷暖房の効いた部屋から、効いていない廊下などに出入りする不快感を感じさせず、これこそがもっとも快適と感じた部分です。

この断熱化の前にエアコンの24時間運転を試みた・・と書きましたが、この時点(天井断熱の強化をしていない時期)では廊下まで開放してしまうと、やはり無理があり、それが可能だったのはせいぜい夜に入ってからでしたが、天井断熱を厚くしてからは日中でも廊下を開け放して全館冷房的に運転しても、全く支障ありませんでした。

何よりも良かったこと。それは、高断熱化によってエアコンの効きが良くなり、一つや二つの室内だけが冷暖房が効くだけでなく、全てが均一な室温になると言う快適さ。温度ドラフトの不快さを感じない快適さだったのです。
(もっとも、ついつい今までの癖で、ドアを閉めてしまいますが)

遮熱ペアガラス+すだれ+遮熱カーテンは劇的効果

もう一つ劇的だったのは、シングルガラスを遮熱ペアガラス(Low-Eガラス)に変えた東側の窓です。
隣家もなく、広い駐車場だったために今までずっと暑かった夏の朝日の直射も、夕方の西日の照り返しもウソのように無くなりました。この窓は遮熱ペアガラスに変えたことと同時に、すだれをし、室内は遮熱のレースカーテンを付けるトリプル効果もあります。
左の図は、ガラスの種類の違いと日射遮蔽率の違いです。その効果のほどがよく分かると思います。もちろん、実際には、いくら遮熱ガラス+すだれ+遮熱カーテンをしたところで、数字上12%の熱は入っています。でもシングルガラスとの実体験の印象では、ほとんど無くなった・・と感じるほどの差を感じます。
今から新築を考える人にとって、直射日光の日射を避けたい人は、遮熱ペアガラス+すだれ+遮熱カーテンは絶対のお勧めアイテムです。

なぜ、インナーサッシ

南の窓は遮熱ペアガラスへの交換ではなく、インナーサッシを取り付けて二重サッシにしました。その理由は、この窓は庇を1.35mほども長くしているため夏でも直射日光が差し込まないことと、遮熱ペアガラス(Low-Eガラス)にしてしまうと、せっかくの冬のぽかぽかした日射しが無くなるからです。(Low-Eガラスとは、熱を反射してしまう遮熱だからですね)この場所は、冬のわが家のワンコの格好のうたた寝スペースなんですね。

インナーサッシの窓を片方に引き寄せれば、片方は昔のシングルガラス1枚の窓になります。暖かい冬の日は、ポカポカした日射しが床一面に広がり、人間も犬たちもまどろみを誘うに十分な陽気を与えてくれます。

わが家の断熱か工事の具体的方法

天井断熱材の敷き込み方法

費用

約30,000円
施工した面積・・約80m2(24坪)
2階の天井面全部
ホームセンターで購入した断熱材の費用のみ
幅430mm、長さ2730mmの断熱材が14枚入って,4980円。
(反射アルミ箔無し)

日数

1.5日(寸法計測半日。敷き込み1日)

作業手順

計測

まずは、どの程度の断熱材が必要なのかを、実際に天井裏に上って計ります。ムダに断熱材を買っても意味がありませんし、どのようにカットしていかを先に考えておいた方が、実際の作業がスムーズに行くからです。特に市販のグラスウールは幅45cm、長さが273cmとなっているものが多く、断熱材を敷き込むときに、継いだり、カットしたりする必要があるからです。

作業

ホームセンターで厚み100mmのグラスウール断熱材を必要量買って、敷き込むだけです。

作業の注意点

乗って良い場所

軸組工法の場合は、高さ150mm以上の梁であれば、その上に乗って作業をしても大丈夫です。2X4工法であれば、基本的に間仕切り壁の上しか歩けないと考えてください。

先に入れるには棒を使う(長さ2m程度)

屋根の先っぽなどは先すぼみの状態になっていますから、歩いても、かがんでも行くことは出来ません。そういうところは棒を使い、グラスウールを棒に滑らしたりして、先端まで並べるようにしていきます。

破れることは気にしない

上の作業の時、グラスウールの袋に少々穴が空いても、ひっかいて破れても全く気にしないことです。(天井裏は高温になる場所なので防湿効果は必要ありません)

グラスウールのカットは、カッター

グラスウール(ロックウールでも同じ)のカットは、家庭にあるカッターで十分です。ただし、作業性を考えれば、少し厚出の写真のようなカッターの方が作業性は良いです。
(切るときに歯がぐらつかない)
なお、グラスウールをカットしたときの切り口はそのままで良いです。わざわざ袋状にフタをする必要はありません。

電線に要注意

グラスウールを敷き込むときは問題ありませんが、カットするときは梁など、何らかの下地が必要です。(宙ぶらりんで切ることは出来ませんから)
そのとき、ところどころに梁の上や横に電線が通っています。くれぐれも、その電線をカッターで切ってしまわないようにしましょう。
私も危うく切ってしまいそうになったときがありました。

作業に適した服装と道具、日時

作業に適した服装は、汚れても良い服、捨てても良い服。運動靴も不可欠です。(サンダル等は厳禁)帽子や軍手のようなも天井裏の汚れ次第ではあった方が良いでしょう。
そして、天井裏はほとんど明かりがありませんから、簡単な裸電球などの照明も必要ですよ。(乾電池型の防災用大型ランプの類でも良いです。)
また、真夏の天井裏の温度は50~60度近くになっています。作業をすることは不可能です。季節的には、6.7.8.9月を外しましょう。

新旧併せて、厚み200mmのグラスウールの天井断熱の完成です!!

シングルガラスから遮熱ペアガラスへの取り替え

費用

約36,000円(2009年実価)
幅1.6m、高さ1.2mの窓
太陽が直接当たるような窓には効果的ですが、反面、冬のポカポカした日射しは無くなります。天井断熱の費用よりもはるかに高いので、効果的な場所をよく考えましょう。なお、デメリットは、サッシのクレセントがサッシの形状次第で開閉しずらくなってしまう場合があります。
注:よく似た材料でホームセンターで売られ、自分で張れるようになっている遮熱フィルムは、あまり効果がありません。遮熱ペアガラスの代替えとは考えない方が良いと思います。
注:すでにペアガラスなら、費用対効果の面からここまでする必要はないでしょう。むしろ、すだれや遮熱カーテンなど、別の断熱化を考えましょう。

インナーサッシの取付

費用

約70,000円(2009年実価)
幅2.0m、高さ2.1mの窓
夏、冬共に効果があります。ただし、天井断熱の費用よりもはるかに高いので、効果的な場所をよく考えましょう。
トステムオンラインショップで概算価格を調べることが出来ます。
商品名は、インプラスです。

すでに建ててしまった人

★天井面への断熱補強は簡単です。意を決して行動してください。また、グラスウールであれば大きなホームセンターで、ロックウールなどは通販もしています。
きれいに敷き込もう。失敗しないだろうか・・・なんて考えないことですよ。とにかく厚く敷き込めばいいんです。 ところどころダンゴになろうがね。
★ただし、天井裏に人がしゃがめる程度の空間が無いと出来ませんよ。勾配天井や3階建てなどで、天井裏に人が入れない狭い空間しか無ければ諦めてください。

★右図のような小屋裏収納の壁面も厚みを増やしておきましょう。
★断熱材の厚みは、グラスウールであれば200mm程度は目標にしましょう。もっと厚くても構いませんよ。(北海道の次世代省エネレベルの厚み285mmですからね)ただし、小屋裏換気や換気扇などの機能が損なわれない要にだけしておきましょう。ところどころ厚みが300mmになってしまっても平気です。
★遮熱ペアガラスへの取り替えやインナーサッシは費用が高いですから、効果的な場所に限定しましょう。(夏の直射日光の当たる窓や、西日の当たる窓が効果的)
注:この場合は、冬のポカポカした日射しはあまり期待出来なくなります。

これから建てる人

一番良いのは、「長期優良住宅仕様」などであれば最初から「次世代省エネルギー仕様」がついてきますし、単独で「次世代省エネルギー仕様」を付加しても良いでしょう。でもそこまでの予算がなければ、下のような部分的な補強を考えてみましょう。

天井断熱材を厚くする

屋根あるいは天井の断熱材は厚いほど効果があります。 「この地域では、これで十分です」なんて言う話など気にしない。右の表の「次世代省エネルギー仕様レベル-天井」を目標にしてみましょう。
注:この表はⅢ、Ⅳ地域の充填断熱の表です。
なお、3階建ての天井や、直天井も勾配屋根などは、私のような方法で後で断熱補強することは出来ませんから、計画時によく考えておきましょう。

直射日光の当たる外壁

予算がなければ、西日などの直接当たるような壁面だけを重点的に厚くするのも一つの方法です。

直射日光の当たる窓には、遮熱ペアガラス

直射日光が当たる窓、西日の当たる窓は、遮熱ペアガラス(Low-Eガラス)にしておくと、断熱効果が格段に違います。( 注:この場合は、冬のポカポカした日射しはあまり期待出来なくなります。)
全ての窓を遮熱ガラスにしてしまう人もいますが、費用対効果の点から考えれば、むしろ、直射日光の当たる部分だけでも十分に効果があります。

西日用のすだれ対策

(外観上不細工だ~というご意見もあるでしょう。お好みでどうぞ。)
西日の当たるような窓は、遮熱ペアガラスももちろんですが、窓の外側にすだれをたらすのも、室内のカーテンを厚くするよりも効果的です。ところが、軸回転などの開き窓はすだれは付けられませんし、ジャロジー窓も付けられません。こういう場所の小窓なら上げ下げ窓が良いですね。(上げ下げ窓でもダブルハングでないとダメです)

部位の優先順位

予算にも限りがありますね。これらの優先順位は
1.天井(又は屋根)断熱の強化(遮熱ペアガラスの利用)
2.西日など直射日光の当たる窓の対策
(方位で決めるのではなく、直射日光が当たるかどうかですよ)
3.外壁の断熱強化
の順番です。この順番を間違えないようにしましょう。

サッシ、ガラスの優先順位

なお、2の窓の断熱強化ですが、ガラスを遮熱ペアガラスにするなら、サッシも断熱サッシや複合サッシなど断熱性能の高いサッシにした方がよい・・と考えるのは当然ですが、しかし、こういったサッシは非常に高いです。そのため、窓の高断熱化は、
1.まず、ガラスの高断熱化を計る
シングルガラス→ペアガラス→遮熱ペアガラス
2.次に予算があれば、サッシの高断熱化を計る
一般サッシ→複合サッシ→樹脂サッシ→木製サッシ
の順番です。

住むのはあなた!!

今まで述べてきたことは、数字だけの性能評価や説明ではありません。
実際にやや低い省エネルギーレベル程度の断熱性能をもった家を、天井だけでも次世代レベルの高い断熱材にし、サッシやガラスを高性能化したその後と前との実感としての報告です。

ただ、この年(2009年)は、冷夏でした。電気代は前年対比60%に下がりましたが、冷夏の影響もあるため、全てが高断熱化が理由であるわけではありません。また、冬の暖房時の効果も未知数ですが、いずれにしてもあと2年程度光熱費のデータをとれば、より正確な報告が出来るでしょう。(過去数年の光熱費レシートを貯めていますから・・・ネ!)

■お断り:この年の冷夏のため、厳密な意味での前年比較は出来ていません。そのためやや身びいき的な部分が入っているかも知れませんが、ご容赦ください。


営業マン、設計者、建築会社の中には、『この地域では次世代省エネとか、高断熱高気密までは必要ありません』と平気で言う人も見受けられます。
わずか50mmの断熱材しか入れていない建売住宅を見かけます。
でも、こういう人達ほど快適な生活を工夫したいという興味も無ければ、邪魔くさい話は煩わしいだけだと考え、ただ建てればいい。売れればいいと考えるだけの人達なのでしょう。

そんな無味乾燥な人達の話を鵜呑みにするほど、馬鹿げた話はありません。
快適な生活を欲しいと切実に考えるのは、住む人なのです。売る側の人ではありません。

そんな人達の無責任な話に振り回されないようにしましょう!

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