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業界のチョット怖〜い将来 2008.12
最近のニュースは、世界的な同時不況から売上の下方修正にはじまり、派遣社員や非正規従業員の解雇、あるいは大田区や東大阪の中小企業の不況感などを伝えている二ユースが圧倒的に多いですね。
でも、よくよく見てみると産業構造が大きく大きく変わっています。それを調べるきっかけを作ってくれたページがあります。トヨタ営業利益二兆円を支える「奴隷労働」!」というページですが、このタイトルに興味をそそられ、このページで言っていることが本当なのだろうか、と調べたのがきっかけです。
さてそれは・・・・

上の表は期間従業員の解雇を真っ先に発表し話題になったトヨタと、最近、社員を含めた1万6千人のリストラ策を発表したソニーの売上高と従業員の推移です。(全て公開されている有価証券報告書から作成)
■トヨタ
世界での売上は8年間で倍増し、トヨタ本体の売上高も1.6倍になっているのに、社員数はほとんど変わっていません。その代わり増えたのが、平成4年からの非正規雇用従業員の増加です。
『トヨタ営業利益二兆円を支える「奴隷労働』というのは、少し偏った見方だとは思いますが、それにしても売上高の増加を期間従業員で対応するすごさ。そして、世界の売上が倍増し、本体の売上が1.6倍になっても社員を増やさないすごさ。絞りきったぞうきんをさらに絞るトヨタの恐ろしさすら感じる売上と社員の関係です。
■ソニー
トヨタと比較すると怠い(だるい)会社ですね。コマーシャルでは「世界のソニー」なんて言っていますが、売上はずっ〜と横ばいじゃん!!と感じてしまいます。でも、報道では「エレクトロニクス事業の正規社員は16万人で、その5%に当たる約8000人と、派遣社員など非正規雇用の従業員8000人以上が人員削減の対象となる。」と書かれていますから、上の数字では公開されていない非正規雇用従業員が多いと言うことですね。(有価証券報告書では、確かにエレクトロニクス事業の正規社員は16万人です・・世界で。)
余談ですが、トヨタが平成12年(7.4兆円)〜平成16年(9.0兆円)にかけて売上を増やしているのに、社員数は変えず、対してソニーは売上は横ばいなのに人員削減すら出来ていないことを考えると、ソニーはトヨタ式経営の足下にも及ばないと感じてしまいます。
でも、実はそんなことを感心しているのではないのです。
■非正規雇用従業員が増えると困る!!
売上が増え、景気が良くなることは良いこと。しかし、それが非正規雇用従業員によってカバーされるとしたら、それは住宅業界にとった大変なこと。
なぜなら、非正規雇用従業員は、一般的に住宅ローンは組めません。銀行の大好きな安定雇用ではありませんからね。
つまり、住宅を買う、中古住宅を買う、親の土地に家を建てるなどなど、住宅業界を支えている建築主は、何をするにしても住宅ローンのお世話にならざるを得ませんが、かれらが住宅ローンを使えないとなると、住宅業界の購買層は広がらず寸詰まり????
自動車が売れなくなっていると言います。不況感や、一時のガソリンの高騰も背景にありますが、このような雇用形態で働いていれば、簡単なローンも難しいでしょう。住宅ローンならなおさらです。
*自動車ローン200万円、住宅ローン2000万円。その差、実に10倍!!
トヨタさん。あなたは自社の売上拡大でうまく非正規雇用従業員を使って成功したのかも知れませんが、結果として、自動車が買える所得層を作り出せず、かえって自動車の購買にブレーキをかけたのではないでしょうか。ねぇ。。。。
だって自動車を買ってくれる所得層の社員はあなたの会社に増えず、自動車を買うのに清水の舞台から飛び降りる覚悟で買わなければならない非正規雇用の社員をいくら増やしても買ってくれませんよねぇ。。。
■正規雇用者の減少
住宅ローンを組める人は正規雇用の人以外にはいない。しかし、下の図のように、労働力人口全体はそう変わらなくても、正規雇用の人はどんどん少なくなっています。正規雇用の社員は8年間で8%も減少しています。しかも、今や世帯を持つべき男性でも非正規雇用に甘んじざるを得ない現実があります。

そうなると、住宅業界を支えてくれている住宅ローンを組める人は、これからどんどん少なくなっていく・・・つまり、労働人口などなんの関係もなく、日本の景気などなんの関係もなく、正規雇用の人が増えない限り、どんどん住宅着工数が減る・・とも考えられるのです。
これはまぁ、少し極端な推測ですが、企業が非正規雇用従業員の雇用形態を始める前は、不況になっても、みんなの給与を下げて、みんなで我慢しましょう式の経営でした。あなた(ご主人)の稼ぎが少なくても私(奥さん)がパートでがんばるわ、という時代だったように思います。だからこそ、みんなが平等に家を買えるチャンスがあったのですが、非正規雇用従業員が増えると言うことは、正社員が減る。その結果、販売機会がどんどん減っていくことにつながるような気がします。
■内需拡大、住宅ローン減税の効果
政府が今回の不況対策で、住宅ローン減税を打ち出しています。でも、非正規雇用政策をどんどん推し進めた結果、住宅ローンを組める人(正規社員)は少なくなったのに、内需拡大や住宅ローン減税を行っても、以前のような効果は期待出来るのでしょうか。
格差社会、多様な生き方という他人事できれい言葉ではなく、不況時にも対応出来ない脆弱な社会構造が生まれているような気がしてなりません。
そして、ぼんやりと、解雇される男性社員の表情をテレビでひとごとのように眺めている場合ではない・・上の表をつくるにつれ、雇用問題の根底にある、そら恐ろしい社会構造の変化を意識したのでした。。
注:今回は、建築主の側からではなく、住宅業界の視線から書いています。
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