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つじつま合わせの世の中 2008.03
法律は、国会で議決してつくられる。。
。。なんてのは建前で、実際には霞ヶ関官僚が、天下り財団法人などを配下に法律を起案させつつ、それを各党に計り、族議員が茶々を入れて薄くなったり、濃くなったりしたものを国会という場で議決されているに過ぎませんね。
お勉強などしていない議員族は、官僚が作った法律の抜け道や不備を捜し出せる議員など一握りしかいません。
そのため、議員立法でもない限り、多くの法律は官僚が作っています。
でも最近、霞ヶ関の高級官僚がつくる法律に変な法律がたくさん出回るようになりました。少し例を挙げてみましょう。
■建築確認の制度変更
このコラムでも2.3回ご紹介していますし、昨年末には社会ニュースにもなった法改正ですが、構造計算書類の偽造を防ごうという趣旨で建築確認申請の手続きを改正したものの、申請者側への法律認知の準備期間の欠落や、審査する側への具体的な運用指針が無いという2つの大きな原因が相まって審査の停滞という事態が起こり、マンションを含む住宅着工に著しい減少をきたし、業界では建基法不況とまで読んでいます。
法改正の問題点は、いままでのコラムで書いてきましたが、「無駄だらけ!資源消費制度」というタイトルでご紹介した、申請書への無駄な資料の添付は、法改正後わずか2.3ヶ月で、面子を重んじる官僚をして添付を不要とするような朝礼改暮の方向転換を余儀なくされました。
そして認定作業の遅れを取り戻そうと最近やっと、構造計算の認定プログラムが国家認定を通ったと思えば、泥縄式にたった1社だけの強引な認定だったようで、認定作業に協力しながら認定されなかった他のソフト会社からはブーイングの嵐だったようです。
このようなドタバタ劇の結果、萎縮した官僚は、国交省が兼ねてからのスケジュール(本来、今年末の予定)に織り込んでいた木造2階建て住宅にも構造審査を行うという制度改正がお流れになってしまいました。(注:1)
この制度改革は、今でも2.3割の業者が耐震性の計算すら出来ないで設計し、施工している業界の闇を葬り去る一手だったのですが、自分たちの今回の不手際でいつ改正されてキチンとした業者だけが仕事が出来るようになるのか分からなくなってしまいました。(注:2)
つまり、せっかく強度偽装事件の再発防止を考えたものの、自分たちの不手際で、著しい着工減でGDPにもマイナス影響を与え、次に予定した制度改革は頓挫するわ・・と、ほとんどなんの効果も上げられない、犠牲だけがふえた法改正だったのです。
| 注:1 |
現在の建築確認では、建築士が設計した建物では、構造面の審査は免除されています。
詳しくは「建築確認は構造審査をしていない」をご覧ください。(木造2階建て以下の住宅) |
| 注:2 |
その結果、下の住宅事件簿等で紹介しているような、基準法すら知らない設計者や業者がノホホンと仕事をつづけています。
当サイトが行っているサポートサービスの中でも、未だに法的な耐震金物の入れ方を知らない設計者、内部耐力壁をキチンと施工していない業者は後を絶ちません。
・住宅事件簿「耐震金物の不備」・・軸組工法
・住宅事件簿「内部耐力壁の不備」・・2X4工法
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話は変わって、少し皆さん方の知らない世界をご紹介しましょう。
■社長の年収800万円で88万円の大増税・・という税改正
このようなサイトをご覧になっている方の多くはサラリーマンなのでピンと来ないと思いますが、同族会社(親族間の身内の人が役員の会社)の役員給与と会社の利益の合計が800万円を超える時は、その役員の給与所得控除が一切なくなり、88万円もの所得税アップになると言う法律が出来ています。
法律の目的は、 1円でも株式会社が設立出来るという会社法の改正をふまえ、個人事業者が株式会社になって(法人成りという)合法的な所得減しに走る行為を食い止めるためのようですが、この法律では、800万円以上の給与を取っている社長さんは、給与としての所得控除が出来ないため、普通の800万円の給与をもらうサラリーマンより、なんと88万円もの大増税になってしまうのです。
あまりに無茶苦茶な法改正に、平成19年度以降の適用は1600万円に変わったようですが、ひどい法律が知らぬ間につくられていたのです。
社長になるだけで、わずか800万円の給与で88万円もの所得税(実際には法人税という形で課税されます)が余分にかかるなら、誰も社長になりたいなど思いません。起業家や日本の大部分を占める同族会社である中小、零細企業を葬り去りかねない税制度です。
しかも、その後の大ブーイングで改正されても1600万円以上が課税対象なのですから、社長などするな。儲けるな。。。言い換えれば、起業して成功しても年収1600万円の給与など取るな。所得税がすごいぞ!。社長の年収と会社の利益を会わせ1600万円を超えるな。と言うことは、会社名義の資産を増やして、年収は少なくしろ、といういわば所得隠しの裏街道を勧めているに他なりません。
そういう呆れた法律が出来ているようです。
(中小、零細企業の役員だけが対象の話なので、ニュースにもなっていません)
■赤字でも給与は下げるな
また、中小、零細企業では、いままで「どうも今年は赤字になりそうだから、途中で役員の給与を下げてでも、会社が赤字にならないように・・」といった事が可能でしたが、今回の税法改正では、1つの年度で一切の給与の変更はまかりならん。。という馬鹿げた法律も出来たようです。
年度の後半に会社の赤字が確実になると分かっても、給与は下げるな、と言うことなのです。
そして、わずか800万円の給与で、役員には88万円の所得税がかかり、サラリーマンはかからない、あるいは赤字でも役員給与を下げるな、という法制度は、一つの法律の抜け道をふさぐために、片方にあきれるほど過大な負担を強いるバランス感覚の無さ。
建築確認の制度変更も、構造計算書類の偽装を防ごう、という目的だったのですが、あまりに偏った意味のない書類や資料を提出させることばかりに終始したバランスの欠いた法令です。
法律をつくったのだから、現場でつじつまを合わせろ・・とでも考えたのでしょうか。
■やる気を削ぐ法改正
実は、最初の建築確認の制度変更の時も、構造設計者から『もう、構造設計をやめるよ〜』という声が多く聞かれましたし、実際に廃業したり、転業した人もいます。
次にご紹介した税改正では、私の会社の顧問税理士の方もあっちこっちからの非難の渦だそうで、『もう、税理士をやめたいよ〜』とも言っていました。
そりゃあそうですね。
がんばって儲けた。
社長の年収1200万円にした。やっと大企業の部長なみになったよ〜。
役人天国では年収1000万円なんてゴロゴロいるのに、会社の利益400万円を越えた時点で、社長の給与の所得控除は認めない。そして約110万円の増税になるのなら、馬鹿らしくってやってられません。
それならと、小遣いも経費で落としてしまえ。役人が裏金をつくっているんだから、裏金もつくってしまえ。と自堕落な考えになっても仕方のないことかも知れません。
■現場を知らない官僚
まさに現場のやる気を削ぐ法律がいっぱい作られるようになりました。
なぜ、こんな法律が作られるのでしょうか。
結局これらのことは、法律変更の趣旨は良くても、現場を知らない霞ヶ関官僚が机上で法律を作り、意味のない手続きや基準まで生み出され、それを運用する現場や当事者が大混乱を起こしているという構図のようなのです。
■窮屈な世の中
そして、少し違うところに目を転じれば、製紙会社が再生紙の混入割合が国の基準と違う、といって謝罪会見をしていました。
建材部門では、耐火試験を誤魔化して耐火認定を取得した会社がたくさんいました。
偽装、偽装に揺れた昨年ですが、賞味期限偽装、産地偽装など後を絶ちません。
つくられている基準がおかしいのでしょうか?
そして、気になることがあります。
昨年、残留農薬問題で、中国産しいたけがスーパーの店頭から一斉に姿を消しました。
今では、全部"国産"と書いています。おかしいですね。。。
国産のしいたけは、そんなにいっぱい取れていたの???
■つじつま合わせの世の中
バランスの欠いた法律改正と言い、偽装に走る企業活動と言い、なぜか、突然国産だけになった椎茸と言い、今の世の中は、屋上屋に屋上屋を積み重ねているがためのつじつま合わせの社会のような気がします。
国会では、道路特定財源を巡って、国民そっちのけの、ただの党利党略の綱引きが行われているようです。
さて、この問題もどうつじつま合わせをするのでしょうか。
『ところで、あの建物大丈夫かい??』
『まぁ。お偉いお上がキチンと計算してやってんだから、倒れることはないんでしょう。。』
『そうかい。でも社保庁いい加減だぜ』
『いや〜。また、どこかで帳尻合わすんでしょ。』.
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