ほったらかし業界 20007.11
世の中に不祥事は絶えませんが、よく見ていると建築、不動産、住宅業界と他業界では、不祥事の成り立ちが大きく違っているように思えます。
それは何かというと、最近の賞味期限の改ざん、産地偽装、食品成分の偽装といったものは、ほとんどの場合、経営陣や上層部が指示をしたケースがほとんどですが、どうも建築、不動産、住宅業界は違うようです。
その例をいくつか追ってみましょう。
■積水マンションの構造計算書偽装
積水ハウスが事業主で計画していたマンションの構造計算書で孫請けの構造設計者が偽装した事件がありました。
売り主も大手の「積水ハウス」、設計事務所も設計事務所としては大手の「松田平田設計」。構造計算は、「松田平田設計」からさらに「構造計画研究所」に委託し、それをさらに個人の「遠藤建築士」に再委託し、「遠藤建築士」が構造計算書の偽造を行った事件です。
簡単に言えば、下請けに丸投げし、下請けがおこした不祥事を誰もチェック出来なかった、という事件です。
私の廻りで起こった最近の例では、
■事件−A
布基礎に底版を設けず、凍結深度にも達しないI型のろうそく基礎をつくる無責任業者。この業者は本州中部地方にあるほとんど個人企業のレベルの小さな会社ですが、北海道で仕事を受注し、北海道の下請けに丸投げしたために、監理もせず違法で建て替えしか是正方法がない呆れるほど無茶苦茶な基礎を作りました。下請け丸投げ「ほったらかし」わからなきゃいいさ。の典型です。
■事件−B
床の断熱材が設計の55mmではなく、30mmしかないのが完成後の発覚。完成後に後で断熱材を追加すると良いながら、いつまで経っても放置。同様に1年点検や2年点検をします、と言っておきながら、何もしない業者など、口先だけで仕事をする業者。
「どうすればやってもらえるのでしょうか」とご相談をいただくのですが、こればかりは、矢のような催促しかないのです。
これも自分で追加する、あるいは自分で点検すると言っていながら放置する「ほったらかし」の典型例です。(写真はイメージです)
■事件−C
本来、汚水と雨水を道路側溝と下水道管の別々の放流先に流さなければならない分流式といわれる排水工事をしないといけない地域で、しかも排水の申請図にはキチンと分流式で申請されているのに、汚水と雨水を一緒くたに放流する合流式配管で施工されていたことが、完成後の市役所の下水道局の検査で発覚。
これも遠隔地であったため申請図面は市の認定業者が作ったものの、実際の施工は元請け側の下請けが勝手に施工した下請け丸投げの構図です。
■事件−D
なぜか、窓の上だけ断熱材の施工不良。みごとに窓の上だけは、すべてこの状態。なぜ窓の上だけこのようにしているのか分かりませんが、誰も指摘しなかったから、延々と大工はこれでよいのだと思って、今まで建てたすべての建物でこのように仕事をしていたのでしょう。
大工丸投げ、監理をしていない典型です。
などなど、最近だけでもこれだけの情けない話が出てきます。
結局、違法工事や施工不良も元をたどれば、下請け丸投げ、あるいは分からないから大工丸投げなど、一切の工事監理をしていない、という構図が浮かび上がってきます。
それは、食品偽装などで見られた経営者や上層部が指示してやらせている不祥事とは全く異なる種類のものですね。
では丸投げがどうして起こるかというと、上司も部下に丸投げ、部下は下請けに丸投げ、という丸投げの連鎖が起きているのでしょう。
丸投げとは結局無責任体質そのものなのですが、それでも、問題があっても「大丈夫です。」という言葉は、最近でこそ、少し通用しなくなってきましたが、まだまだ幅を利かせている素人を黙らせるための名文句ですね。
そして、丸投げ体質を持つ人ほど、「大丈夫です」という言葉を連発しますから、一度「大丈夫です」という言葉をどれだけ使ったかを数えれば、その人の丸投げ度が分かるかも知れませんよ。.
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