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仕事が止まった日本列島 20007.09
昨日、国交省から2007年7月度の建築工事着工統計が発表されました。
それによると、7月の住宅着工戸数は、前年比23.4%の減となり、日本経済新聞では、次のような記事を掲載しています。
「耐震偽装の再発を防ぐため建築確認を厳しくした改正建築基準法が6月20日に施行され、住宅着工の遅れや着工件数の急減といった予想外の影響が出ている。
国土交通省が31日発表した7月の新設住宅着工戸数は8万1714戸と前年同月に比べ23.4%減り、減少率は1997年11月以来、約10年ぶりの大きさになった。」・・日本経済新聞インターネット版より抜粋
今回の法改正は、建築確認の制度の変更だったのですが、その周知方法に大きな失敗がありました。
改訂基準法の細部の法律(告示)が出されたのが、改正1ヶ月前の5月18日。
審査の具体的な指針が審査機関に示されたのが、なんと前日の6月19日。
さらに、建築確認を実際に行う建築士などへの説明会は8月から始まり、
構造計算の基準書も8月10日に発行される始末。
大型建築に取って最も重要な構造計算ソフトの改訂版は、構造計算の変更の細部も不明だったため、国の認定が取れず、未だに市場に出回っていない。
(9月から10月にかけて改訂版が各ソフトメーカーで予定されている)
すべてが法改正直前とその後の、まさに泥縄式の周知方法だったのです。
そして案の定、6月20日の法改正を1ヶ月経た7月の工事着工が前年比23%減だ、という発表である。
しかし、その統計の細部を見てみると、実は数字以上の大変なことが起こっているのです。
■地方は着工物件が激減
住宅の着工戸数23%減(戸数、床面積共)は、あくまでも全国平均です。
住宅着工戸数40%減以下の都道府県を列挙してみよう。
岩手県:40.7%減、栃木県:43.8%減、三重県:50.2%減、滋賀県:53.5%減、京都府:52.2%減、奈良県:53.9%減、鳥取県:47.0%減、島根県:44.9%減、佐賀県:49.0減%、熊本県:40.7減%、鹿児島県:44.3%減、沖縄:60.8%減。
マンションの着工件数がゼロになってしまった県を紹介しよう。
福島県、栃木県、石川県、福井県、三重県、滋賀県、和歌山県、鳥取県、岡山県、愛媛県、高知県、熊本県、鹿児島県、沖縄。
地方は公共工事も減らされ、建築業界は何とか民間の建築工事でやりくりをしています。 しかし、沖縄の琉球タイムスのインチーネット版では、次のように沖縄県の状態を紹介しています。
「県内の二〇〇七年七月建築確認申請数が十六件にとどまり、前年同月比97%減になっていることが十三日、沖縄タイムス社の調べで分かった。(中略)このままの状態が続けば、数カ月後には県内で大部分の建築工事が始められない恐れもあり、建設業界には不安が広がっている。」
■長期化する混乱
7月の統計には、改正前の6月20日以前に提出した建築確認が、7月に入って通り、着工件数に載せられた建物も多いでしょう。
7月にマンションなどの大型物件を建築確認で提出しても、現在の審査の停滞が続けば、審査が通るのは早くても9月か10月頃です。
(改正前は、3週間から1ヶ月程度で通った)
つまり、8月は、もっと着工率が大きく減少することすら考えられます。
■法改正とばっちり倒産
7月の着工は、実質的に都市部で25%、地方で50%以下に減少し、8月にはさらに低下すれば、今年の建築業者の受注は大きく激減し、1.2割の売上減少になってしまう建築業者、建売業者、デベロッパーが無いとは言えない状況です。
特に都市部の3階建てを専門に建売住宅を販売していたデベロッパーは、建築確認の停滞で、2.3ヶ月の空白期間が発生しそうです。その結果、これら業者の資金回収は、建物完成時ですから、資金力のない小さな不動産会社は資金繰りが悪化していきます。
また、地方では、7.8月の大きな着工減少は、12月の資金繰りを圧迫し、法改正のとばっちりを受けた倒産が発生する可能性も高いです。
8月9月の統計を見ないと、どうなるかはわかりませんが、官僚のいい加減な改正準備のせいで、経済まで悪くなってしまう可能性が、芽生え始めています。
そして、数字だけを見る限りでは、地方は、本当に仕事が止まってしまうかのような気配です。
なお、細かく見ていくと、6月などに駆け込み申請があったりして、激減という状態ではありませんが、実際の審査の現場では、2階建ての戸建て住宅以外は、ほとんど停滞しているのが現状です。
しかも、その停滞は2.3週間という短期のものではなく、2.3ヶ月にまたがる停滞のため、その影響がどこまで顕在化していくかは、まだまだ不透明ですが、経済活動のどこかにほころびが生じるのは疑いのないところでしょう。
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