いろいろあるわ。

pin_re.gif (122 バイト)ハウスメーカー三態   2000.03
 (サイト誕生のきっかけ)

今から3年前(1997年頃のこと) 私は、阪神大震災で損傷を受けた自宅を建て替えることにした。

地場工務店の施工レベルに疑問を感じていた私は、ハウスメーカーで住宅を建てようと思った。
そのときは、震災の建て替え需要が一段落しかけたときでもあった。

敷地が変形なため、当初から鉄骨系やALCあるいは、鉄骨ユニット系では建てられないので、在来軸組工法あるいは2X4工法と考えていた。

もう一つ、木造や2X4を選んだ理由は、1階を玄関や車庫・物入れ程度とし、全てを2階で生活し、同時に階段も緩やかにするため、1階の階高を普通の建物より相当低くしたいと考えていた。(上の図の状態)


ただ、せっかくだから1級建築士であることを伏せ、ただのおっさんとおばさんで行ってみよう。と思い、ごく簡単な間取りだけをたずさえ、まず、A社の展示場を訪れた。


A社の人に、1階の高さを低くして欲しいことを説明し、見積の提示を待った。
が、でてきた図面はこちらが考えていたものではなく、普通の2階建てであった。

再度説明をしても、その営業マンと支店内の設計スタッフとのコミュニケーションがまずいのか、どうもらちがあかない。

「1階を下げると言うことは、少し材木を切ればいいのではないのですか」
「いや−。むにゃむにゃむにゃ・・・・・」
仕方なく、見切りをつけ、私は、B社に行くことにした。


B社の人にも同じように説明をしたが、同じであった。
また、私は同じように、使う木材の高さを短くすればよいのではないのですか。と投げかけると、それからしばらくしてかえってきた答えは、1階を鉄筋コンクリートで作り、2階だけ木造の建物だった。

1階だけで2.000万円もかかるという。
(1階の面積は、床下など使わない部分も含めても、たった23坪なのに・・)
構造計算に50万円もかかるという。
傾斜地でよく見かける、1階がRCのガレージの建物と同じである。

あまりにばかばかしくなって、ついに3社目のC社に声をかけ、やっとC社が私の言っていることを理解してもらえたのである。

結局、工事もその会社でおこなってもらった。


そして、C社との工事契約が終わった後しばらくして、初めて設計事務所をしていることを告げた。

B社にことわりの挨拶に行くと、C社よりも安くするからさせて欲しいという。
建築主の要望も理解できないのに、値段だけ合わす。????
じゃぁ。1階だけで2000万円もかかるという見積もりはなんだったの・・と思いながら、私は、ばからしくなりながらも、あきれながらも、丁重におことわりをした。


多少なりとも建築を携わってきたものなら、木造や2X4で、1階の高さを少し低くすることなど、全くどうという問題ではないのに。
コストに跳ね返ってくるような問題でもないのに。
前の2社の対応は、あまりにばかばかしいものであった。



後でわかったことだが、こうなるには理由があった。
ハウスメーカーの会社組織に由来する問題であるが。

A社 展示場にいる人間は、全て営業マンで、設計は全て、支店(全国数カ所)の設計部で図面を引くため、細かな打ち合わせは、設計する人間に届かない。
また、見積も、支店内で統一的にするため、ちょっとイレギュラーな見積は対応できないため、設計も自社仕様から逸脱できない。
B社 設計は、全て外注であり、その外注設計者も成功報酬に近い形である。
そのため、営業マンは、自分の知識だけで内容を設計者に伝え、見積も代理店となる工事会社がおこなうため、主導権は全て建築の知識のない営業マンが取り仕切っている。
C社 自社の展示場と直結した設計部が、支店内にあるため、比較的、営業マン−見積担当者−設計者の意志疎通がしやすい社内組織


工事が始まってからも、ちょっとしたミスは起こった。
もっとも、致命的なミスではないのだが。
玄関ドアが入らない 実は、1階の高さを押さえたために、梁の位置を玄関だけ上げなせればならないのだが、軸組図という構造を示す図面を用意していなかったために、梁が玄関ドアに当たり、梁を現場で付け替えた。
不要な下がり壁が出来た。 設計者との打ち合わせでは、リビングと寝室の仕切を無しで説明していたが、現場の大工さんは、当然下がり壁はつけるものという固定観念で作ってしまい、結局撤去してもらった。
床下の断熱材が入っていない。 この地域でも、床下には、一定の断熱材が必要だったが、竣工間際になっても断熱材が施工されていず、住宅金融公庫の仕様をいうと、ミスを認め、完成までに施工してもらった。

少し、奇異に思われるかもしれないが、今回の場合は、自分で図面を書かず、全ての図面をC社のやりやすいように書いてもらった。それは、現場へ図面を渡すために、図面指示の方法や図面への書き込み内容が会社によって違うからである。



この3社を巡り巡ったとき、ただのおっさんとおばさんの言う要望が、如何に理解してもらえないのだろうか。と思った。
自社の仕様から一歩も抜け出せないハウスメーカー。
値段を合わすことしか考えていない営業マン。

それ以上に、もし、建築のことを何も知らない普通の人なら、立派な展示場の、立派なパンフレットを見せられて、その会社の人から、そんなことは出来ませんょ。それをするとやっぱり費用はかかりますょ。等と言われたら、きっとそう思ってしまうのだろうな。と思ったのである。



3社は全て、東証1部上場の大手ハウスメーカーである。
A.B社とは3回程度の打ち合わせをした。
C社の営業マンとは1回だけである。
それでも的確に私の要望を理解してもらった。

建築を全く知らない普通の人が、ハウスメーカーや工務店から、

それはちょっと難しいですね。
お金がかかりますよ。
これはこの程度のものなんです。
この方法が当たり前です。

等と説明されたとき、やっぱり、そうなのかと納得してしまう。
普通の人であれば、その善し悪しすら判断できないだろうと思った。



それから、新聞に入ってくる折り込み広告にも目を向けてみると、ちょっと見ただけで耐震基準をとてもクリアしていないであろう3階建て住宅の広告。
こんな事がなければ、 自分の当面の仕事にしか目を向けなかっただろう。

それが出来ることなのか、正しい方法なのかすら判断できない普通の人にとって、彼らの一言は自分の夢や要望をうち砕いてしまうことにもなりかねない。
あるいは本来は簡単に出来るのに、住宅会社の能力不足のせいで法外な値段となってしまう場合もある。
普通の人が、一生で一番高価な買い物をするには、一番大切な情報があまりにも少ない。

もちろん、住宅雑誌では、きれいな写真できれいなインテリアや外観を紹介しているが、その雑誌とて、広告収入の担い手である住宅会社を敵に回すことなど決して出来ない。



このホームページ開設のきっかけは、私自身が阪神大震災の影響で自宅を建て替えせざるを得なくなったとき、大手ハウスメーカー3社と打ち合わせや見積をとり、3社の格差の ひどさにびっくりした経験がもとになっています。

当時、一級建築士とは名乗らず、3社と打ち合わせ、見積もり依頼などをした経験から、 普通の人が読んで、 わかりやすく、自分の住まいの選択や契約等に関して少しでも正しい理解をもってもらえればと思ったのです。


1階を少し下げたいという要望以外にも、数点の些細な希望がありました。
もし、C社が理解をしてもらえなかったら、私は、自分で図面を書き、地場の工務店に頼むか、要望自身を撤回せざるを得なかったかもしれません。

そして、自分で図面を書き、自分で工務店に建物を依頼していたら、きっと井の中の蛙のように、自分自身の業界の裏表を知ることもなかったかもしれない。

このホームページを作ったきっかけは、こういう私自身の体験だったのです。。

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