マンションの末路

2019年2月17日の京都新聞に、「廃墟マンション崩壊の危険 所有者と連絡取れず解体に苦慮」というタイトルの記事が載せられていました。
記事の概要は、滋賀県野洲市野洲の老朽化した空き家マンションを巡り、市が対応に苦慮している。壁が崩れてがれきが散乱したり、鉄骨に吹き付けられたアスベストが露出して危険な状態だが、土地・建物の所有者の一部は連絡が取れず、自主解体の議論が進まない。

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記事の概要

築47年の鉄骨3階建て9部屋のマンションで、近くの住民によると約10年前から住む人はいないという。昨年6月の大阪府北部地震で県道に面した南側の壁は全て崩れ落ち、鉄骨や部屋の中がむき出しの状態になった。3階廊下の柵や2階天井が崩落し、階段も腐食が進んだ様子が分かる。近隣企業の通報で状態を把握した市は昨年8~9月に2回、所有者への説明会を開いて危険性を伝え、自主解体を求めた。解体には所有者全員の同意が必要だが説明会に集まったのは9人中7人。残る2人は、実態がなく連絡が取れない法人名義の所有者と、呼び掛けに応じない個人の所有者という。

市は昨年9月、空き家対策特別措置法に基づき同マンションを「特定空き家」に認定したが、市住宅課は「行政代執行での取り壊しとなれば、業者への解体設計の依頼や議会の予算議決などに時間がかかり、解体は来年以降になる。所有者に費用請求しても、どこまで回収できるか」と話す。

全国で代執行による取り壊し費用を全額回収できた事例は10%(5件)にとどまり、全額を自治体が負担したのは27%(13件)に上った。
引用:京都新聞、記事、写真とも

住宅を出て行っても、登記は残る=責任は残る

このマンション、所有者が9人と言うことは小さいながらも分譲マンションだし、もう一つある意味で驚いたのは、いくら自分が退去しようと「登記簿には残る」んですね。
という事は、つまり、所有者が判明するし、所有者は解体までの責任を、本来は追わなければいけない。もし、台風などでものが吹き飛ばされ、人が死ぬと監理責任を問われて、損害賠償請求をされるはめになるということですね。
つまり、自分は退去したから、あとは知らない・・とは言えないと言うことなのです。

もっとも、Aさんが登記しており、そのAさんが死亡するとどうなるのでしょうか。民事的にはその配偶者や子供達に請求が及ぶのか及ばないのかはわかりませんし、そもそも、強制捜査で戸籍を調べていけばわかるでしょうが、そこまで民事的にはたどり着けないでしょう。

でも、老朽化が進んだからそのマンションを出ていった。売れないから放置していた。だけでは責任を放棄したことにはならないという事でする。

駅近など利便性のある物件であれば、建て替えも可能性はありますが、そうでなければ、最後まで居続けたものが、メンテや近隣からの苦情処理をしなければならなくなってしまう負の資産になってしまうのでしょうか。

戸建ても同じ

下の写真は、私の家から50m程度しか離れていない古家です。
確か阪神大震災以降住み手が亡くなり、放置したままです。
右手前は家は家は解体して無くなったものの、残しておいた塀が朽ちて、内部に倒れ、雑草が茂っています。左の家は、2018年の21号台風で少し屋根材がめくれています。このまま朽ちていくと、上のマンションのような「崩壊」が始まり、下手をすると近隣に台風時の飛来物で被害を与えてしまうのかもしれません。
そして、中央と右にも放置した空き家が残されています。
空き家問題
もう少しすると、今以上に深刻な問題が次々に起こってくるのかもしれません。

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